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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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83/160

083 北の大国にIGYOが出現した

北の大国

 中央高原山地の村の連絡の取れなくなった親戚を訪ねた男。

 村に着いたら仰天した。村人が食べ散らかされていた。親戚の家の中には足しか残っていなかった。

 慌てて逃げようとしたら後ろから大型の見たことのない四つ足の生き物にバクリと食べられた。


 それから数週間、党の地方組織の会合に出てこないいくつかの村に非難が集中、電話も通じない。


 怒った地方組織の幹部たち、怒りに燃えて村に押しかけた。一番近い村に入るとたちまちバクリと食べられた。


 なかなか帰ってこない幹部たち、数日経っても帰ってこない。

 いくつも村があるから指導に大変なのだろうと待っていた家族。一週間経っても帰ってこない。連絡もない


 流石におかしいと思い出した。地方組織の事務局に夫が帰って来ないがどうなっていると押しかけた。


 太ったおばさん連中に突き上げられて困った事務局、数人で村に出向いた。車から降りたらすぐにバクリと食べられた。


 事務局も帰ってこない。家族は党の上部組織に、いくつかの村が結束して反乱を起こしているのではないかとチクった。

 反乱の証拠に、電話が通じない。様子を見に行った者が帰ってこない。反乱を隠すために捕えられているのではないかと訴えた。


 反乱となれば重大事件だ。軍が出動した。ただし、規模の小さい村々である。それでも念の為30人ほどが装甲車1台、トラック1台で向かった。兵員の装備は小銃である。


 一番近い村についた。不気味なほどの静けさだ。腐敗した手、足、胴の一部、齧られた頭などが落ちていた。


「おい、これは反乱ではないぞ。おかしい。一度村の外に出よう」


 Uターンを始めたトラック、荷台にいた兵が目にしたものは、異様に大きい四つ足の生物2頭だ。


 1頭が荷台に飛び乗って来た。荷台の幌が吹き飛ぶ。兵が頭から齧られる。荷台の兵はパニックに陥った。何発か小銃の発砲音がしたのみ。


 運転台の後ろのガラスを破られ運転手が荷台に引き摺り出された。


 トラックは運転手を失って建物に衝突、止まった。2頭が荷台で兵を齧り始めた。


 装甲車の兵はムシャムシャと仲間を食べる怪物を見た。

「撃て、撃て。本部に連絡しろ」

 重機関銃を撃ちまくった。


「本部、本部。怪物2頭出現、村人を食い荒らし、今、兵を食べている。応援乞う」

 怪物には全く重機関銃が効かない。


「おい、酔っ払ったか。ウオッカの飲み過ぎか。酔っ払い運転するなよ」

 無線は本部によって切られた。


 怪物が食べていた兵に銃弾が当たってしまった。餌を飛ばされた怪物が装甲車を振り返って、装甲車に突撃して来た。

 体当たりして、装甲車を持ち上げて叩きつけた。中の兵隊は即死。ゆっくり食事の時間になってしまった。


 兵を派遣した司令官。夕方になっても派遣した兵から連絡がない。


「おい、何も連絡がないのか」

「調べて来ます」

 副官が出て行った。


 通信兵に聞く。

「派遣した部隊から連絡がないか」


 通信兵は仲間が酔っ払って無線で連絡してきたのは隠してやろうと思った

「何もありません」


「そうか。おかしいな。なにか連絡をよこしそうなものだ。おかしいと思わないか。司令もおかしいと言っている。本当に何もないか」

 通信兵の表情が動く。まずいことになりそうだと思った。


「実は、酔っ払って、装甲車からいたずら無線をして来ました」


「なんと言って来たか」

「酔っ払いと思って記録はとってありませんでした。2頭の怪物が兵を食べているとか」


「装甲車を呼び出せ」

「それが、酔っ払ったらしく、何度呼びかけても出ません」


「いつ頃連絡があった?」

「14時頃です」


 副官はすぐ司令官の元に戻った。

「14時頃装甲車から、怪物が兵を食べていると連絡があったようですが、酔っ払いと思って通信員が放置、記録もとってありませんでした」


「熊か」

「わかりません」


「通信員は営倉にぶちこめ。兵は緊急出動だ。今何人出せる?」

「この基地は小さいので最大200程です」


「それで良い。対戦車擲弾発射器、重機関銃を持って行け。今から行くと現地に着くのは暗くなってからだ。村から十分距離をとって包囲。見張りは通常の倍。仮眠をとってもいいが、武装したまま、すぐ作戦行動に移れるように。連絡は15分に一回必ずよこせ。連絡がなければ異常と判断する。不審なことがあれば躊躇なく連絡しろ」


 緊急出動の兵200がありったけの対戦車擲弾発射器、重機関銃を持って出動した。


 暗くなって一番近い村付近に到着。村から1キロほど離れて村を囲むように一箇所40人、五箇所に別れて布陣。緊張の一夜が明けて空がしらみ始めた。村は不気味なほどの沈黙を守っている。


 合図を待って村に通じる道路から装甲車を先頭に少しづつ前進。今回は先頭に何かあっても基地と連絡が取れるように一番後方にも装甲車を配備した。


 十分明るくなった頃村の外縁についた。村の家の前に食い散らかされた人の一部が散乱していた。


「基地に連絡。村の家の前の道路は食い散らかされたと思われる人体の一部が散乱している。引き続き前進する」

 通信要員が基地に連絡、返事があったのを確認してから前進を始めた。


 兵はしっかりと武器を構えて前進する。

 一軒一軒確認しながら進む。


「基地に連絡。家を一軒一軒確認しながら前進、家の中にも人の一部が散乱」

 通信要員が基地に連絡、返事を確認して前進。


 基地では、司令と副官が通信室に陣取っている。


 村の中ほどまで進んだ兵。何も出てこないので少し安心した。その時、どこに隠れていたか後方から怪物が出現、兵を襲った。

 最初は一番後ろの装甲車がひっくり返された。


「基地に。4本脚の怪物に装甲車がひっくり返された。攻撃する」

 前方装甲車が必死に基地に連絡。返信があった。


 重機関銃を撃ちまくる。効かない。対戦車擲弾を撃つ。当たると少し後退したが、傷はないようだった。


「基地に、重機関銃、対戦車擲弾が効かない。無傷」

「撤退せよ」


「撤退、撤退」

 バクリ。


 途切れた通信。司令と副官は顔色が悪い。


 近くの大きな基地に、怪物が出現、兵が食べられたので応援をお願いすると依頼するも相手にされなかった。


 司令は、元の上官が首都で出世しているので連絡した。

「上官殿。久しぶりです」


「おう、どうした。たまには遊びに来い」

「はい。今日電話したのは、緊急案件です。中央高原山地の村に怪物が出現したらしく、兵を200派遣しましたが、食い散らかされた人の一部が散乱、4本脚の怪物に装甲車がひっくり返された、重機関銃、対戦車擲弾が効かないと連絡してきて連絡が途絶えました。近くの基地に応援を頼みましたが、荒唐無稽の話と思ったのか応援を断られました」

「わかった。よく報告してくれた」


「信じていただけるのでしょうか」

「もちろんだ。お前のことは信頼している。それに実は東の凍土平原からも同じような報告がある。今真偽を確認しているところだ。お前の報告で真実とわかった。近隣の村人を応援を断った基地に避難させよ。その基地にはこちらから連絡を入れておく。無理をするな。凍土からの連絡でもどの武器も通用しないとのことだ。いざとなったら逃げて、間違えた。退避せよ」

「ありがとうございます。すぐ村人の避難を手配します」


「200人食えばしばらく満腹だろう。今がチャンスだ。通信担当を残して全員で行く。武器はどうせ役に立たないから小銃程度で身軽で行く」


 司令を先頭に出動し、無事な村々から基地まで住人を避難させた。


 基地は避難民受け入れの命令を受け取っていたので住民を受け入れた。応援を断った司令官は命令を伝達して来た将校の慌てぶりからかなり上層部から言われたらしいと想像し永久凍土平原行きを覚悟した。


 惨劇の村からだいぶ離れた地点に斥候を出した。車はもちろんすぐ退避できるように村と反対の方に向けている。一日目は何もなかった。夜も何も変化なし。


 翌朝、村から四つ足の怪物が出て来た。車のエンジンをかけた。エンジンがかかると同時に、怪物は車の方を見た。


「基地、こちら斥候、今怪物が村から出ました。エンジンをかけたらこちらを向きました。走って来ます。退避、退避」

 すぐ無線が切れた。


 基地が襲われた。怪物に全ての火器を並べ撃ちまくった。効果はないが少し足が鈍った。


「一頭しかいないぞ。おかしい」

 基地の反対側からもう一頭が襲って来た。基地は兵、避難住民ともに全滅した。

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