081 壱番国IGYO対策室長 IGYO討伐を依頼する
在日本国壱番国大使館から、CIAが田舎警察に捕まったと連絡を受けたCIA本部。知らぬ存ぜぬを決め込もうとしたが、交渉した大使館から向こうのネゴシエーターは石鹸ランドのお得意様割引券をもった不良外人ということで構わないというので交渉に応じたと報告があり、また例の件の調査を命じた職員でもあり諦めた。
壱番国IGYO対策室長 レナード ブライトマンは英国と壱番国のCIA駐在員からの報告書を読んだ。
神が3人。呪いを浄化できる。妖精がいる。筒腐らしという罰を与えられる。
これは先祖より語られる大いなる神秘なのではないか。妖精がいても不思議はない。そう思ったネイティブアメリカンのレナード ブライトマン室長である。
早速英国のIGYO対策室室長のミッチェルに電話した。
「おれはシン様、アカ様、リューア様が神様と信じる。だから教えてくれ」
「わかった。討伐はリューア様とその眷属らしい人たちがやった。IGYOは切り刻まれていた。窓口は武蔵西南市にある山城稲荷神社の巫女の宗形薫医師だ。リューア様の専属巫女らしい。初穂料として一体につき一億円。そのほかに顎足枕付き。税金なし。税金は日本政府と調整しておかなければ祟られる」
「承知した。安いものだ。しかし初穂料とはなんだ」
「お花料なのだろう。宗教だからな、あからさまに料金は取らないのだろう」
「高い花だ」
「まあな。しかしそれ以上の功徳はあると考えればいいのではないか」
「その宗形氏は信頼できるのか」
「宗形氏は山城稲荷神社に住んでいる。山城稲荷神社にはMI6は立ち入れなかった。CIAもそうだったろう。立ち入れるのは信者か眷属、善男善女だけだ。宗形氏は神に認められた眷属だろう。神の眷属以上に信頼できる人物はいない」
「わかった。お願いしてみる」
「言っておくが口は悪い」
「承知した。ありがとう」
それでは礼を尽くして俺が行ってみよう。できるだけ早いほうがいいな。
室員に手配させた。
大統領には報告した。それ以外に討伐の方法がないならしょうがない。全権を委任すると頼まれた。
すぐヘリで空軍基地まで。複座の戦闘機が用意されていた。確かに大至急とは言った。耐Gスーツを着せられた。虫歯がないことを確認された。
空中給油を受けながら厚木基地まで。すぐヘリで武蔵西南市へ移動。郊外のグランドに着陸。
パトカーが待っていた。パトカーで山城稲荷神社の階段下まで。
大いなる神秘に敬意を払って一礼して階段を登り始める。10段目で登れなくなると言う話だったが、参拝者が登っていく。自分も登れた。
鳥居があったので再度礼をして鳥居を潜った。境内を赤と白の二色の服を着た若い女性が箒で掃除をしていた。高校生のアルバイトか。2匹の子犬がコロコロと箒にじゃれついて邪魔をしている。
参拝者が社殿でお辞儀をしている。パラパラと絶えることなく参拝者が登ってくる。
新しく作ったらしい建物があった。色々なグッズを売っているらしい。アルバイトらしい女性に聞いてみる。
「宗形さんにお会いしたい。壱番国のレナード ブライトマンと申します」
「いま社殿で舞っているのが宗形です」
建物の中で赤白の装束に頭に金色の冠を被り、鈴を振って踊っている女性がいた。シャンシャンシャン、澄んだ鈴の音がする。見たことのないダンスだが上手だ。一流の踊り手だ。神も喜ぶだろう。一応拝礼して、箱にチップを入れた。
コロコロ子犬がズボンの裾を咥えて引っ張る。こっちに来いと言っているらしい。
ついていく。
子犬に神社の隣の家に案内された。
引き戸を開けて老婦人が出てきた。背筋はピンとしている。
「どうぞ」
応接間に案内された。
「この頃神社の参拝者が多くなって、高校生のアルバイトを雇って、宗形さんにも神楽を踊ってもらっています。大変上手なので、評判が良く、次々に申し込みがあって、困っています。時々病院に行って救急を手伝っていたりして大変忙しいのです」
だいぶボディーブローを喰らってしまったレナードである。
「それで、宗形にご用でしょうか」
「はい。IGYOの討伐をお願いしたく参りました」
「場所はどちらでしょうか」
「西部山脈、380万都市の東です」
「そうですか。大変ですね。受付は宗形に統一しました。もう少しで来るでしょう」
「龍愛は遊びに行ってしまっているのに、こっちは忙しい」
宗形が戻って来たようだ。
「誰?」
「壱番国のIGYO対策室室長 レナード ブライトマンです。今日はIGYOの討伐をお願いしにまいりました」
「そう。龍愛がいいと言ったらね」
「リューア様は」
「遊びに行っているわ。人に仕事をさせて、自分は遊びに行っているのよ。ドラちゃんとドラニちゃんと遊んでいるのよ」
「ドラちゃんとドラニちゃんとは?」
「シン様とアカ様の眷属。龍愛のお姉ちゃんみたいなものよ」
「いつ見えるのでしょうか」
「もう来るんじゃない。黒龍と黄龍が呼ぶだろうから」
「黒龍と黄龍とは?」
「コロコロしていたでしょう。子犬よ。親神様がつけてくれた子犬。龍愛の見張り」
「それにしてはさっき箒にじゃれついていましたが」
「あれよ。日本人に躾けられた犬を預けると駄犬になるというやつ」
子犬が上がってきた。なんとか言っている。違うと言っているのだろう。
1匹が消えた。
「消えた」
「迎えに行ったんじゃない」
女の子の服の裾を咥えて戻ってきた。
「なあに。いまドラちゃん、ドラニちゃんと溶岩合戦、じゃなくて溶岩操作の練習をしていたんだけど」
ゴン。
「もっと働く」
「お姉ちゃんがいじめる。幼児虐待反対」
「お前は神だ。幼児じゃない」
「ダメ?」
「ダメ。この人から討伐依頼が来ている」
「スーさん。いいよー」
黒龍と黄龍の隙をついて龍愛が消えた。
「全く駄女神よ。それで一応いいみたいだけど、スーさんて何?」
「私はスー族です。大いなる神秘を信じる者です」
「ネイティブアメリカンというやつね」
「はい。誰にも言っていませんでしたが、さすが神様です。でもいささか信心が揺らぎます」
「シン様、アカ様、ドラちゃん、ドラニちゃんに鍛えてもらって随分良くなったんだけど。まだ子供でね。この先ずうっと子供のような気がしてきたけどね。それで条件は聞いた?」
「はい。初穂料一体につき一億円。そのほかに顎足枕付き。税金なし。税金は日本政府と調整ということでした」
「そうね。それでいいわ。口座はこれよ。何体?、何処?」
「3体です。380万都市の東、西部山脈中です。だんだん380万都市に近づいています」
「この間英国に行っていない、荒木田円、大井明日香、榊原勝婆さん、稲本夫妻だね。少ないと有り難みがないね。私が加わって六人。一人一体で十分だけど」
「わかりました。足ですが厚木基地より戦闘機でいかがでしょうか」
「いいわ。3機あれば十分よ。あんたの分を入れて4機」
「複座戦闘機ですので足りません」
「みんな自分で運転するわ」
「それは・・・」
「乗り逃げされると困るか。早いほうがいいのでしょう?」
「もちろん。こうしている間にも何人も犠牲になっています」
「それじゃドラちゃんに頼むか。夜中に出ればちょうど早朝に着くか」
レナード室長は宗形は移動時間を全く考えていないと思う。
「移動費用はちゃんと払ってね。格安航空はダメ。ファーストクラスの料金相当よ」
「承知した」
「黒龍、黄龍。駄女神を連れて来て」
黒龍と黄龍が消えて、すぐ龍愛の服を咥えて戻って来た。
「何よ」
「異形を討伐しに行くんだけど、ドラちゃんに行きの足を頼みたい。夜中の11時に出る」
「ううん」
「美味しい夜食」
「わかったー」
消えた。
「夜中に来るでしょう。それまでどうします?帰る?」
「現場はわかるのでしょうか」
「駄女神はこの星の神だからね。一緒に連れていくのですぐわかる」
「後学のためにご一緒させてください」
「それまでどうする?」
「どこかホテルで寝て来ます」
「ここに泊まっても良いけど。只でいいわ」
「それじゃお願いします」
「黒龍、黄龍。案内して」
黒龍と黄龍が2階の空き部屋に案内していった。
「さてと、円と明日香に連絡しとこう」
スマホを出して連絡しておいた。すぐ了解と返事が来た。
夕方、神社のアルバイトに日当を払って帰ってもらって、一日の仕事の整理をして夕食。宗形は忙しい。




