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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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077 勝婆さんと舞 バイクで討伐に行く

 勝婆さんのバイク購入の話をしておこう。


 武蔵西南市のバイク店。婆さんがやってきた。

「Ninja H2 SXを買いたいのじゃが」

「お孫さんのバイクですか」

「わしじゃ」


「おばあさんが乗るのでしょうか」

「そうじゃ」


「あのう、足がつかないと危ないですが」

「心配せんでええ」


「いや、そういうわけにはまいりません」

「いいから売れ」


 店員が寄り集まってきた。店長らしい男も出てきた。

「それじゃこれに乗ってみてください。ほぼNinjaと同じシート高です」

「なんじゃ、足がつかん」

「はい。こけます」


「走り続けて止まらなければいいんじゃろ」

「バイクは必ず止まります」

「飛び降りればいいんじゃ」

「踏切でどうするんですか。交差点の一時停止はどうするんですか。その度ごとに飛び降りるのでしょうか。乗る時はどうするんですか」

「いちいちうるさいやつだ」


「これなんかはどうでしょう」

 店長が排気量125cc未満のスクーターを勧める。

「これはママチャリのバイク版ではないか。スロットルを回すだけのやつだろう。変速が面白いのじゃ」


「それではこちらでどうでしょうか。世界のスーパーカブ、スーパーカブ 110です。ママチャリではありません。ちゃんとギヤチェンジもできます」

「ジジイが乗るバイクじゃろう」

「そんな事はありません。これをご覧ください」

 すかさず若い女性が乗っているカタログを取り出す。

「ううむ」


「はい、お買い上げ。おい、書類、自賠責、任意保険」

「はいはい」

 あっという間に売りつけられた勝婆さんであった。


 店長以下、全員こう思った。

 Ninjaで立ちゴケして下敷きになったら困る。高速を突っ走られて事故でも起こされたら困る。加速についていけなくて振り落とされても困る。スーパーカブなら高速は走れないし、そんなに無茶な運転はしないだろう。


 それから任意保険も人身・対物無制限、特約も入れるものはすべて入ってもらった。事故を起こさないでくれと祈るばかりである。


 ころころ子犬とぶっ放し美月が山城稲荷神社の境内に転移して来た。

 稲本さんの自宅に向かった。


「こんにちは、美月です」

 勝婆さんが出て来た。


「なんじゃい?」

「異形討伐依頼です」

「おお、行こう。どこじゃ」

「奥多摩町の日原鍾乳洞あたりです」

「よしよし」


 稲本さんの自宅の玄関先でスーパーカブを出した。

「私も」

「怪我すると面倒じゃ。あそこでころころ子犬と遊んでいる舞と行って来る。舞、行くぞ」

「はい。何処?」

「日原鍾乳洞じゃ」


 舞がスーパーカブの後ろに乗って、稲荷神社の階段を走り降りていった。

「ちえ」


 黒龍と黄龍が美月を慰めるように寄って来た。

「私も眷属にしてもらえないかなあ」

 黒龍が尻尾を振って美月をつれて異形等対策室に転移して戻った。


 勝婆さんのスーパーカブは順調に進む。法定速度、制限速度無視、交通法規無視。守るのは信号のみ。ただし交差点に近づくとすべて青信号に切り替わってしまうので信号無視はない。


 スピードメーターは140を越えるとくるりんとメーター板がまわって300まで表示される。300キロ以上出すとまたくるりんと回ってその上を表示する。神式スーパーカブ 110の特殊仕様である。ちなみにメンテンナンスフリー、給油も必要なし、不壊、飛ばし放題である。


 奥多摩町の中心街を抜けたところの規制線を飛び越えて先に進み、日原鍾乳洞脇の規制線を通過。日原鍾乳洞を過ぎると道は細くなる。細い道をとばすバイク。

 すぐ日原浄水場に到着。異形が2体、浄水場に向かって来ていた。


 舞を乗せた勝婆さんのバイクは1体に向かって突進、異形に衝突寸前舞が飛び上がって隣の異形の首を薙刀で落とした。勝婆さんは立ち上がった異形に正面衝突、軽いバイクとは思えぬ重量感で異形をのけ反らせ、小太刀で喉を深々と切った。首はブラブラ。即死。周辺を確認。異常なし。2体討伐終了である。


「大したことはなかったな。帰るぞ」

 舞を乗せてバイクはゆっくり日原鍾乳洞脇で道路を封鎖しているパトカーに近づいた。


「四つ足異形2体討伐完了じゃ。報告しとけ」

 勝婆さんと舞はバイクで走り去る。


「あれはスーパーカブのようですが」

「そうだな。確かに」


「さっきパトカーを飛び越えましたが」

「確かに」


「あれはスーパーカブなのでしょうか」

「警察の内部書類では神式スーパーカブ 110という呼称だそうだ」


「もはやスーパーカブではないということでしょうか」

「そうだ。特例で高速も走行が許可されている」


「さっきはスピード違反のようですが」

「それがパトカー、白バイが追いつけない。写真を撮ってもナンバーが写っていない。物的証拠が何もない。信号は青信号で進行。結局異形関係なので不問というか、無視を決め込むことにしたという口頭の通達があった」


「無視ですか」

「そうだ。無視というのは、視無かったのだ。視無ければ問題はない。異形死体を確認に行くぞ。大きさを計測して自衛隊に搬送依頼を出さなくてはならない。当面封鎖だ」

「わかりました」

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