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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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076 山川内閣総理大臣臨時代理が異形等対策室の留守番をする

 電話が鳴った。

「あれえ、今日は忙しいねえ」


「はい、異形等対策室」

「青梅警察署です」


「どうしました?」

「異形が日原鍾乳洞付近に出ました」

「何体ですか?」

「一体みたいです」

「わかりました。誰か行きます。私ですか、美月2佐です」


 子犬が事務員さんのズボンを咥えて引っ張っている。

「連れてってくれるの。じゃあ行こう。おじさん留守番お願いね。すぐ帰って来る」

 ロッカーから機関銃のようなものを引っ掴んで子犬と消えた。


「あれはなんだね」

 SPに聞いた。

「SIG MPX サブマシンガンと思います」

「普通に持っていていいものなのかね」

「ぶっ放し美月ですから」


「さっきのは実弾秋月で、今度はぶっ放し美月か。何をしたのかね」

「噂では、訓練で移動中、たまたま人質をとったたてこもりに遭遇、たてこもり犯を蜂の巣にしたとか」


「問題にならなかったのかね」

「すでに二人人質を殺しており、警察は射殺を考えていたところで、自分でやらずに済んでほっとして、犯人は覚醒剤中毒の暴力団ということにして、丸くおさめたそうです。美月2佐は海自の特別警備隊の優秀な指揮官であったという話です」


「怖いねえ。それが事務員をやっているのか」

「ここは人外魔境と呼ばれています」


「左遷かね」

「本人の希望でしょう。ここなら平然と室内で発砲が行われているようですから。ぶっ放したくてうずうずしている人にはちょうど良いのじゃないですか」

 美月が黒い子犬と帰って来た。


「一発も撃てなかった。つまらない」

 ヘッドホンを代理たちに放り投げて、自分もヘッドホンをして扉に向かって連射した。扉はなんともない。扉の内外共に危ないと思った代理であった。


 薬莢は黒い子犬が睨むと消えてしまった。

「おじさん、留守番ありがとう。お菓子をもらって来たけど食べる?」


 耳が痛いおじさん。でも銃口を突きつけられたので返事した。

「あ、ああ」


「そっちのお兄さんもどう?」

「いただきます」


「それで奥多摩の方はどうなったのかね」

「勝婆さんがスーパーカブ 110に舞さんを乗せて向かった。勝婆さんがNinjaを買いに行ったら、店の人に足がつかないだろうとか言われて粘られて根負けして、スーパーカブ 110になったみたい」


「いや、その討伐の方」

「異形一体でしょう。楽勝よ」


「強いのかね」

「それはもう眷属だからね。私もなりたいなあ」

「多分なれるよ」


「ほんと。おじさんいい人だね。また遊びに来て」

「はい。ごちそうさまでした」


 異形等対策室をでた山川代理。ふと思った。スーパーカブもNinjaのように爆走するのか。


「あとでいいからその婆さんのスーパーカブの暴走ぶりを調べておいてくれ」

「はい。私も興味がありますので調べておきます」


 後に報告を聞いたがやっぱり暴走したそうだ。それもスーパーカブ 110では絶対出るはずのないスピードでかつ安定して走行したそうだ。見かけはスーパーカブ 110だがもはや違うバイクらしい。


 秋月は警視庁の屋上から迎えのヘリに乗って百里基地へ。百里からF-15に搭乗、離陸した。


 途中、レーダーが後方からの高速飛行物体を捉えた。すぐ横に狐面巫女乗車Ninjaが並んできた。宗形が棒で三陸沖を指す。もちろん行ってみる秋月である。


 しばらく飛ぶとレーダーに何か写った。領空内に某北の国の哨戒機を視認。何か投下した。もちろん実弾秋月が実弾を撃って破壊する。神技である。


 宗形のNinjaは哨戒機の機首に近づいた。

 哨戒機はあわてて基地に連絡する。


「狐面の赤白服が乗ったバイクが近づいてきた」

「おい、気は確かか。ウオッカを飲んでいるのか?」


「これがレーダードームね。領空侵犯だからいいね」

 独り言を言って棒を振り回し機首上下、胴体後端のレーダードームを破壊した。機体から出ているアンテナ類も綺麗さっぱり切り落とす。


 哨戒機は基地との通信が不可能となった。


 「ついでよね」

 4発あるエンジンのうち2発を黙らせた。機体の下に行きタイヤハウスを破壊、タイヤを切り落とす。


 バイクが哨戒機の操縦席に近づき宗形が窓ガラスを叩く。バイクに跨った狐面が笑った。ように見える。


 乗員の頭に言葉が流れ込んでくる。

『こんにちは。私は親切だから教えておく。着陸する時は気をつけてね。バイバイ』

 バイクは去って行った。


 哨戒機は基地を呼ぶも無線は通じない。

「機長、駄目です。無線が通じません」

「レーダーも効きません」


「き、帰投。有視界飛行だ。暗くなる前に帰る。日本から離れる」


 哨戒機はあわてて陸地から距離をとってUターンして北方へ去って行った。


 明るいうちに基地上空に到着した哨戒機。管制塔と連絡が取れない。やむを得ず着陸を強行。操縦席は警報音が鳴りっぱなし。胴体着陸して、乗員は退避。機体は炎上した。


 乗員はすぐ拘束されて取り調べを受けた。

 乗員からはF-15が近づいてきて投下したブイを狙ったらしく海面に向かって発砲。狐面の赤白服が乗ったバイクが機体に近づいてきてレーダードームを破壊したとの証言が得られた。


 狐面を被った赤白服を着てバイクに跨って飛んでいるとのあまりな内容に薬物を使って尋問したが、同じ回答であった。何回も尋問したが供述は変化なし。やがて乗員は廃人になった。


 炎上した機体を調べたが、高温で炎上したらしく、エンジン、レーダードーム、タイヤハウス、各種アンテナ付近、各種計器、装置類、フライトレコーダー等は全て溶けていた。機体の燃え滓からは何も得ることが出来なかった。


 日本政府にはとりあえず、F-15の発砲について抗議した。

 日本政府の回答は、

「F-15は我が国の領空内において、海面への実弾射撃訓練を行っていたところである。わが国の領空内に貴国の軍用機が飛んでいたとは思われないが・・・。なおF-15のパイロットは実弾秋月である」


 とぼけられてしまった。パイロット名を明かすなど、日本政府はだいぶ実弾秋月という者に含む所があるらしい。我が国で消せということかと訝った。

 もちろんすぐ調べさせた北の大国。


 日本の工作員が調べた結果は、

 昨年、北の大国機が日本の領空侵犯をしたとき、「たまたま」付近を飛んでいたF-15編隊。そのうち一機が操縦席の上数メートルまで背面飛行で接近。我が国のパイロットが壱番国でいうところのFuck you!の仕草をした。F-15は機を追い抜き、反転して、実弾を撃った。北の国の機体の下方から撃ってきて上方へ機銃掃射。機体はギリギリ撃たなかった。だが乗員は機体の下から上へ連続して銃撃されたように思えただろう。そのパイロットが実弾美月である。

 と報告があった。


 そんな報告はない。すぐ再調査させた。

 基地司令で止まっている報告があった。


 F-15編隊と遭遇したがパイロットからはっきりした証言が得られなかった。撃墜される、殺されるとそれだけ繰り返していたという証言であり、精神を病んで退役したとあった。


 再調査したがすでにパイロットは病死。最後の言葉はやっと楽になれる。そういう報告である。

 基地司令の処分は無かった。


 結局日本政府にダメージを与える抗議ができず哨戒機一機丸損となった。


 秋月と宗形はご機嫌で三沢基地上空を通過、函館上空に到着。藻岩山を降り出した異形に秋月が機銃掃射、異形が立ち止まったところを後ろからバイクで近づいた宗形があっさりと首を落とし討伐完了。


 その日、藻岩山観光客、函館市民・観光客は、F-15とバイクらしいものが飛行するのを目撃した。写真や動画をとってアップしたが写っているのはF-15のみであった。

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