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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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073 井の頭池の水棲異形を討伐する

 気がつけば全員井の頭公園にいた。多分初めての水棲異形だから龍愛が全員集めたのだろう。


 すぐ龍愛、黒龍、黄龍も来た。

「それじゃあ始めるよ。池の中の異形は熱で蒸発させても凍らせてもいいよ。熱を加えれば水分が蒸発して死ぬし、凍らせて叩けば砕けて死ぬ。シン様からもらった武器は熱を持たせたり冷やしたりできるよ。ちょっとやってみて」


 みな収納から武器を出した。

 武器を持って集中している。数分したらそれぞれの武器から赤い炎が上がるようになった。


 祓川が「まだまだ温度が低い」

 だんだん黄色から白に最後は青くなった。みんな青い炎が出るようになった。


「よし。次は低温だ」

 武器が冷気を放ち始める。初めは霜がついた。次に氷結晶が舞うようになり最後は氷剣のようになった。


「みんな出来るようになったね。湿っぽいから凍らせたほうが楽だよ。池の周りを囲んでね。キラウエア火山から溶岩を持って来た」


 眷属が池の周りを囲んだ。

「いくよー。槍のように体を伸ばしてくるだろうから気をつけてね」


 龍愛が大きい黄色い溶岩を取り出して池に投げ入れた。たちまち池は沸騰して水は水蒸気になってなくなった。池の底にゼリー状の異形が大量にいた。すでに魚などは食い尽くしたらしい。周りの人を襲い出したわけである。


 秡川が収納から法螺貝を取り出して吹いた。

「行くぞ」


 塩井阿闍梨が水がなくなり熱によって乾いた池におり氷に包まれた錫杖をゼリー状の異形に突き刺す。

「凍れ」

 たちまち凍った。錫杖を抜いて叩くと粉々になった。温めても生き返らない。


 敵認定したらしく、あちこちのゼリー状異形から、鋭い槍が伸びてくる。氷の錫杖で叩く。叩いた先が粉々になった。集まらない。


「槍を叩け。そしたら槍の先は砕けて再生しない」

 塩井阿闍梨が叫ぶ。


 槍の先を叩かれると槍が凍り、一瞬ゼリー状異形の動きが止まる。その瞬間突き刺して凍らせる。


 皆殺し愛子と銃オタは伸びて来た槍を極低温の弾丸で砕いている。楽しそうだ。

 本体にはたいしてダメージを与えられなくても細く伸びた槍なら砕けると気付いたらしい。

 神式銃の弾丸はこの星の余っているエネルギーを弾丸に変換している。したがって弾倉を取り替える必要がない。撃ち放題である。二人が喜んだのは言うまでもない。

 右手の銃で槍を撃って、左手でぐさっと本体を刺して凍らせてから弾丸で本体を砕いている。


 槍にうっかり突き刺されそうになった秡川。塩井阿闍梨が叫ぶ。

「根性なしは、引っ込んでろ」

「棺桶に片足突っ込んでいる爺いは串刺しになってしまえ」

 秡川と塩井阿闍梨も楽しそうだ。


 宗形はバイクに跨り、槍はバイクでへし折り棒を本体に刺して凍らせてバイクで踏んづける。こちらも楽しそうだ。


 榊原の婆さんは、槍に飛び乗って「ほっ、ほっ、ほっ」と言いながら次から次へと飛び移り、本体に近づきぐさっと小太刀で刺す。八艘飛びというのがあったが、こっちは八槍飛びであろう。


 ルーシーと舞はルーシーが伸びて来た槍を切って、舞がリーチに勝る薙刀でぐさっと突き刺して凍らせている。なかなか良いコンビネーションだ。稲本夫妻も同様に二人で対応している。


 荒木田夫人と円は剛の者だ。槍の穂先から本体まで真っ二つにして凍らせてお陀仏させている。それを見た異形、いくらか知恵があるらしくプルプルとイヤイヤをして逃げようとするが待ち構えていた荒木田にぶすりとやられる。

「それは私の獲物よ」

 夫人に文句を言われている。その隙に逃げようとした隣の異形、今度は榊原にぶすりとやられる。


 唐獅子牡丹は、ニターッと刃を舐めて向かっていく。どう見てもヤバい人である。異形もわかったらしく逃げようとするが、唾液の威力か、凍っていなかった刃が、異形に刺さった瞬間極低温になって引き抜かれたら異形は粉々である。


 遠巻きにしていた警官、自衛官は、眷属の活躍に心持引いている。


 危機感が全くない。強いという言葉以外に、ヘンタイという言葉も警官から聞こえる。そして眷属は疲れを知らないようだ。


 暗くなっても昼間同様の動きだ。見えるらしい。投光器を慌てて用意したが使わずじまいだった。


 龍愛は現場指揮所という名目でシンに作ってもらった小さな家を出して寝転がって黒龍と黄龍と遊んでいる。暗くなったらスウスウと寝てしまった。


「龍愛、こら。起きろ」

 宗形が起こしにくる。神に対して雑な扱いである。龍愛の見張りの黒龍と黄龍。一緒に寝てしまっていた。まずいと思って龍愛をぺろぺろして起こす。


「なあに」

「全部片付けた。見てくれ。それから冷えた溶岩をどかしてくれ」


 黒龍と黄龍は宗形のもとへ行って尻尾を振って抱きついて、龍愛の見張りをしっかりやっていたと誤魔化しにかかる。宗形マネージャーは怖いのである。

 撫でられて安心してしまう子犬の黒龍と黄龍であった。


 龍愛が外に出ると朝である。眷属がテーブルを出して朝食中である。

「龍愛も」

「はいはい。用意してあるから先に池を見てね」

「うん」


 龍愛が池の中にあった冷えた溶岩を加熱して溶かして、さらに溶岩を足して池の中を覆い、池を十分加熱して消毒した。

 人を襲うときに舌が伸びた痕跡があるところも加熱した。異形の成れの果て、汚泥、ゴミも全て溶岩に取り込み溶岩を無害化して溶岩をとって来た火山、すなわちキラウエア火山の火口に転移させた。

 水を生成し池の底を含め動植物を復活させた。


「さすが神だわ」

 宗形に褒められ抱っこされて朝食を一緒に食べようと言われて嬉しがる幼女神である。

 黒龍と黄龍の食事も忘れずに稲本夫人が用意してある。


 幼女神と子犬は可愛いことは可愛い。


「終わったから祓川老人、一億円振り込んでね。稲荷神社の口座でいいわ」

「わかったが、老人は余計だ。それは阿闍梨だ」

 余計なことを言うから阿闍梨に錫杖で叩かれる。

「痛え」


「みんなの口座には今日の手当を振り込んでおくわ。国家公務員の皆さんには国からの手当の分は引いて振り込みます。国からしっかり手当をもらって下さい。祓川祟が祟ってあるから勿論無税よ。ルーシーも英国当局に祟ってあるから大丈夫」


「俺は崇だ」

「細かいことは言わない。唐獅子は土嚢を片付けさせてね。それからヘリを一機。みんなで乗って川を下って異形が逃げていないか河口まで確認しよう」


 唐獅子がヘリを呼んで、龍愛が上空でホバリングしているヘリの中に全員転移させ、川を下って河口まで飛行、異常はなかった。


「龍愛」

 宗形マネージャーに声をかけられた龍愛。


「みんな今日はありがとう。またお願いね」

 1佐殿が機長に、「お疲れ様。基地に帰投していいわ」。

 龍愛がみんなを転移させた。


「消えた。機長、今のはなんなのですか」

「あれか、あれは国家機密の龍愛神様率いる異形バスターズだ。バスターズのおかげで異形相手の戦死者が出なくなった。俺は龍愛神様の加護付きお守りを持っている。墜落することはないだろう」


「何処で手に入れたんですか?」

「龍愛神様が坐します武蔵西南市の山城稲荷神社だ。巫女さんの舞は天女の舞のようだった」


「本当に神ですか?」

「巫女さんの舞を撮影してSNSにアップしようとしたらスマホが溶け出して大火傷を負ったやつがいる。俺は見ていた。なんでもバッテリーは無事でスマホメーカーに賠償させることは出来なかったらしいぞ。外国メーカーだが「バッテリーが無事だから発熱する原因がない。バチが当たったのだろう」と開き直ったらしい」

「訴訟しようとしたが、裁判所からは裁判所は神の奇蹟を扱わないと門前払いを食らった。結局泣き寝入りだ。バチを当てられるから本物の神だ。霊験あらたかなお守りだ。行ってお祓いしてもらってお守りをもらって来たほうがいいぞ」

「行ってみます」


 かくして龍愛神の信者が増えていくのであった。


 財務省。異形等対策室から回って来た一億円の支払依頼。異形討伐代は財務省から支払うことで上で決着していた。


 井の頭池の異形退治、サービス初穂料一億円と書いてある。こんなもの払えるかと担当者は放置した。

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