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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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069 宴は終わりシン達が去る

 ハント伯爵が声を張り上げる。

「おーい、ダンスの時間だ。みんな踊り明かしてくれ」


 ルーシーに申し込む若者たち。

 踊ってみる。

 ルーシーは思う。

 なんだ、これは。体が柔らかい。山城稲荷神社で食べた日本のトーフみたいだ。芯がない。崩れそうだ。変だな。シン様の知り合いとは普通に踊れたのに。


 若者は思う。

 なんだこれは。体のキレが違う。一見柔らかいが、筋肉が躍動している。体にしっかりした芯がある。ちょっと腕を動かされただけで体がバラバラにされそうだ。とても俺ではお相手できない。


 それではと、強そうな宗形医師は避けて、優しそうなマイにダンスを申し込む。


 だ、だめだ。ルーシーさんと同じだ。歯がたたない。とてもではないがお相手できない。


 ルーシーやマイは楽しそうにリューアや一緒にいた二人の子供と踊っている。ということは、俺たちは子供にも負けるのか。若者はがっかりする。だが知らないことは幸せである。踊っている子供は、神とドラゴンだ。


 娘はというと、宗形にダンスを申し込む。背が高く引き締まった筋肉質の体で立ち姿が凛々しく美しい。髪はショートカット、顔はキリッとした美形である。そんじょそこらの男よりはるかに格好がいいのである。

 男が近づかない宗形は憮然としている。


 だんだん外が明るくなってきた。僕らは引き上げよう。

 最後にアカと踊った。飽きていたアーダが出てきて一緒に舞う。

 みんなどよめく。


 今日は信じられない日だ。神のダンスを見て妖精にも出会えた。呪いの代わりに子々孫々伝えようと一族は思った。


 「それでは、今日はお招きいただきありがとうございました。またいつかお目にかかりましょう」

 二人とアーダで挨拶して、出席者全員に深く礼をされて、僕らは退場だ。


 ハント伯爵夫妻、ルーシー、タイソーさんが送ってくれる。

 馬車は待っていた。すぐ二百人衆が扉を開けてくれる。

 ティランママの先導で城を出る。


 馬車を見送ってタイソーが伯爵に向かって言った。

「どこかの王様と王妃様なのか。周りの人たちは心から従っているようだ。馬車と馬はどう見ても王が乗るような風格がある。そこいらの貴族ではとてもかなわない。それに妖精。あんな美人の妖精を見たことがない」


「俺はあの人たちが神とその眷属であっても不思議ではないと思う。教会には申し訳ないが、俺は目の前に顕現した神を信じる」

 奥さんが頷いた。


 ルーシーが続ける。

「リューア様が体に広がっていた呪いの黒いもやもやを黒い蝶の痣のところに集め、アカ様がそれを引き抜いた。シン様が浄化して黒いもやもやを白くして、もやもやは人の形をとり、シン様とアカ様に跪いて、それから光になって空に昇っていった。三人は私の体を回復させ成長させてくれた。シン様、アカ様、リューア様は神様だと思う。妖精がそばにいても不思議ではない。このバングルはリューア様からもらった。マイも宗形さんもそうだ。この間討伐に参加した人もそう。まだいる。このバングルをした時、リューア様との結びつきが出来たと感じた。仲間の居場所もわかった」


 伯爵夫妻はなんとなくわかっていた。娘がリューア神の眷属になったことを。誇りではあるが娘のこれからの人生と自分たちの関わりを考えると少し寂しくもあった。


「神と眷属と妖精か。良く話してくれた。俺は信じる。だがスコットランドを出たら今の話はみんながいるところでは思い出さないようにしよう」


「それこそ友だ。中に入ろう。みんなを送り出したらゆっくり語り合おう」

 伯爵夫妻、タイソー、ルーシーは屋敷の中に戻っていった。


 城から離れたところで霧を出して、山城稲荷神社に転移した。馬車から降りるとみんなが待っていてくれた。ルーシーも来てくれた。観察ちゃんが連れて来てくれた。


「いっちゃうの?」

 龍愛が聞く。


「龍愛はしっかり勉強し、神として成長した。眷属も出来、もう十分やっていける。スコットランドにだいぶ信者ができたようだよ。これからも信者が増えるだろう。僕らは僕らの星に帰るよ」


 龍愛が抱きついてくる。撫でてやる。いい子だ。成長した。背は大きくならないけど。


 龍愛はアカと、ドラちゃん、ドラニちゃんに抱きついてお別れを言っている。


 龍愛の眷属、荒木田夫妻、円、舞、大井明日香、榊原強、勝婆さん、宗形、稲本夫妻、黒龍、黄龍、祓川、塩井阿闍梨、ルーシーに別れを言った。


 みんな涙ぐんだ。黒龍と黄龍は飛びついてくる。撫でてやる。短い時間だったが、濃い時間を過ごせた。ずっと前からの友のような気がする。


「名残惜しいが、お別れだ。さようなら」

 馬車に乗り込んだ。手を振ってくれる。


 バトルホースが引く馬車が空へと駆け上がり、稲荷神社の上を一周し、みんなと手を振り交わし僕らの星へ、神国へ転移する。


「行っちゃったね」

誰言うともなく言葉が出た。


 稲本夫妻の家に行き、応接間でお茶を飲んだ。

「その辺に、いつもシン様とアカ様が座っていたね」

 席は空けておくことにした。

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