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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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068 ハント伯爵一族の祝いのパーティー

 追いかけっこは楽しいが、そろそろ城に着かなくてはね。先方に霧を出して、その中に突っ込んで転移、城はすぐ近くだ。


 一族の車だろう、城に向かっていく。僕らもスピードを合わせて、ゆっくり進む。

 城に入って、館の車寄せにつけた。


 先に来ていた人たちは固唾を飲んで見ている。

 ティランママが馬車の扉を開けてくれる。

 正装の僕らが降りて、続いてオリメさん達が降りる。見知った使用人が控え室に案内してくれた。


 オリメさん、アヤメさん、ヴィーラント達はルーシーの支度を見にいった。うまく着付けができているようだ。


 係の人が僕らを呼びに来た。

 今日は、呪いが解けたことの確認と一族のお祝いだからね。目立たないように会場に入る。


 僕とアカ、龍愛、ドラちゃん、ドラニちゃん、舞、宗形さんだ。アーダは僕の服の中。


 会場の周りにテーブル、中は空けてある。ダンスだろう。

 軽くハント伯爵夫妻と挨拶。


 次に今日の主役のルーシーが入ってくる。エスコートは、タイソーさんだ。伯爵の友達だから無難だろう。


 一族はルーシーの綺麗な肩をみてどよめく。


「お集まりの我が一族の皆さん。ルーシーの肩を見ていただいてお分かりだと思うが、長い間我々を苦しめてきた呪いをここにご出席のシン様たちが解いてくれた。すでにみなさんはお子さん達に呪いの黒い蝶の痣がないことを確認されていると思う。呪いは完全に解けた。もう一族の子供が18歳になった時に呪いで死亡することはない」

 歓声がホールに響き渡る。


「我々一族は感謝してもしきれるものではない。この恩を忘れてはならない。我ら一族でシン様、アカ様、リューア様をお祀りしよう。シン様、アカ様、リューア様からお呼びがあれば命を投げ打って出陣しよう。われらスコットランドのハント一族の名にかけて」

 おーと声が上がる。山賊かよと思った。


「ではシン様からお言葉をいただこう」


「シンです。みなさんの一族を苦しめてきた黒い蝶の痣は、怨念、呪いのようなものでした。祖先に一族に恨みをもった女性がいて、子孫に祟ったのでしょう。女性を18歳になった時に呪い殺し、次の幼子へと乗り移り続けましたが途中から後悔したようです。ただ発動してしまった呪いを自分からはどうしても消せず、存続し続けたようです。もう怨念はなくなり、魂は天に還りましたので、これから一族に黒い蝶の痣が出ることはありません。ご安心ください。ルーシーさんは18歳の誕生日を無事に越えることできました。そしてみなさんの幼子に黒い蝶の痣はありません。この呪いがなくなったことが証明されました。おめでとうございます」


「ありがとう、ありがとう。治療をしていただいたシン様、アカ様、リューア様、診察してくれた宗形医師に感謝するのは当然だが、ルーシーの友達のマイさん、あなたがいなければシン様たちが来てくれなかった。本当に感謝する。今日は無礼講だ。存分に楽しもうぞ」


「おっと忘れた。我が地に現れ多数の犠牲者を出したIGYOは、今日おいでの方を初めとするシン様の手のものが打ちとらんと総掛り、最後はルーシーが伝家の宝刀で首を落とした。我が一族の名誉とするところである」

 また歓声があがる。少し盛ったハント伯爵である。


 タイソーが乾杯の音頭をとり無礼講に突入した。料理、飲み物が次々運ばれてくる。周り中から手が伸びる。まるで山賊集団だよ。中央と合わないわけだ。


 女性の方々は、ルーシーの衣装に目を見張り、ティアラに瞠目した。

「そ、そのティアラは全部ダイヤモンドでしょう。国宝級なのでは。どうなさいました」

「ガラス玉ですのよ。おほほ」

 伯爵夫人が誤魔化しにかかる。


 そんなはずはない。どう見てもダイヤモンドだ。最高級品質の質の揃った1000個くらいのダイヤモンドの真ん中に20カラットを超えたようなピンク、しかもファンシー・ビビッドのダイヤモンドが乙女の生きる喜びを高らかに謳っている。


 死を乗り越えたルーシー様には誠に相応しいが、真ん中のダイヤモンドだけで3000万ポンドを下らないだろう。全体でいくらになるのだ。気絶する値段だろう。死の呪いが解けた物語がつけばさらに価値が上がる。本物なら警備員が何人も周りを囲んでいてもおかしくはない。


 ピンクのダイヤモンドは今までこの世に出て知られているダイヤモンドを超えている。不思議だ。


「どこにお誂えになったのでしょうか。王室御用達ブランドでしょうか」

「作っていただいたのはシン様のお友達ですのよ。娘の18歳の誕生祝にシン様からいただいたものです」

「貰ったのでしょうか」

「そう。いただいたものです」


 それでは本当にガラス玉なのだろうか。いや、違う。小さい時から本物を見続けてきた貴族の勘が本物と言っている。


 ガラス玉をダイヤモンドと誤魔化せば軽蔑や憐憫の対象だが、その逆ではなんとも言いようがない。


「作家の方をご紹介願えませんでしょうか」

「材料はシン様が全部提供したそうですよ。材料を揃えれば作っていただけるのではないでしょうか」

 無理だと諦めた。


「ルーシーさんのドレスも素敵ですわね。どちらでお誂えになったのでしょうか?」

「シン様のお友達ですのよ。ちなみに誕生祝いにいただきました」


 そんな友達なら私たちも欲しいと願った夫人たち、シン様に熱視線を送るのであった。


 しかし隣はやや細身ながら均整のとれた彫刻の美女のような理想的な体躯に赤い髪、顔は小顔、目はぱっちり二重、鼻は高からず低からず、鼻筋が通り、口は大きからず小さからず、西洋とも東洋とも言えない、いわば人類の高みにあるような、いや人類を超えた絶世の美女だ。

 シン様は難攻不落そうである。


 若者はルーシーの周りに集まる。ずっと自宅で療養していたにしては、どんな話題を振っても気の利いた返事を返してくれる。立ち姿もしっかりと美しい。とても寝たきりだったとは思えない。


 びっくりした若者たち、熱が入るのであった。近づくと、宗形という強そうな医者とマイというルーシーと同じような歳のお嬢さんに面白そうに見られる。なんだか冷や汗が出る若者たちであった。


 タイソーはルーシーのティアラを見てこれはとても我々の調査案件ではないと早々に諦めて、若い娘をからかいパーティーを楽しんでいる。


 伯爵夫妻は後継のルーシーの評判に相好を崩して、18歳の死の呪いから解き放たれた歓喜の一族の間を回って歩いている。


 シンたちのところには、奇蹟をなし、王侯貴族の馬車で乗りつけたシン様とアカ様、リューア様にお近づきになろうと挨拶に次々来る。


 お近づきになりたいようだが、三人の威風辺りを払う様子に挨拶して早々に引き上げた。とてもかなう相手ではない。まさに神のようだと一様に思った。

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