059 IGYOを討伐する
それでは異形討伐に出かけよう。
「これをつけて下さい。水の中、炎の中、毒ガスなどの中でも楽に呼吸が出来ます。つければ落ちませんが外すのは簡単です」
狐面を渡した。みんな狐面をつけた。僕らもつけた。
ドラちゃんに大きくなってもらってみんなで乗り込む。みんな訓練の時、ドラちゃんくるくるで、ドラちゃんがくるっと回って空から落とされたからお馴染みだ。
出発。ドラちゃんとドラニちゃんで飛んでいく。観察ちゃんが誘導してくれる。すぐ現場上空についた。ドラゴンだとか下の方で言っている。
ドラちゃんの声が響く。
「シン様からだよ。シン様たちがIGYOに対処するからみんな引いていてね」
宗形はバイクを出して跨り、棒を手に持った。
ドラちゃんくるくるで、ドラちゃんから全員飛び降りる。バイクに乗った宗形もバイクに乗ったまま飛び降りる。
あれはIGYOというのかと思いながら警官たちは犠牲者を運んで引いて行った。引いて空いたスペースにシンたちが着地した。
「祓川、荒木田、榊原、塩井阿闍梨で一体」
「ルーシー、舞、荒木田夫人、宗形で一体」
「塩井阿闍梨と宗形が責任者。では行ってみよう」
警官は今のままでは全滅となってしまう、英語を話す人たちが対応してくれるというので、ドラゴンから降ってくるなど大いに怪しいが引いた。固唾を飲んで見ている。
面白そうと思ったらしいアーダ。アーダの部屋から出てきた。僕とアカの周りを飛んでいる。
「行くぞ」
塩井阿闍梨の掛け声で異形にかかっていく。
棒、薙刀、錫杖、忍者刀、伝家の宝刀が舞う。
バイクの宗形が縦横無尽に走り回る。ハンドルを持たなくても自在なようだ。バイクごと異形に体当たりして棒を振るって楽しんでいる。
「おう、切れる切れる。これは癖になりそう」
「おい、一度に切るな。俺が切るところがなくなる」
「今度は脚」
「私は腕。あれ。これは前脚というのか」
「胴体はふたつにするなよ。途中でやめろ。抵抗してもらわなくては練習にならん」
「伝家の宝刀は飾りだったけど、シン様に手を入れてもらって実戦に使えるようになったわ」
「てめえ、それは俺の獲物の脚だ」
「うるさいわね」
「お前は隣だろう」
「脚、もらった」
「あ、汚ねえ」
「早い者勝ちよ」
地元のルーシーに花を持たせ、ルーシーが2体の首を落とした。
数分のことであった。
「妖精様が・・・」
「あれは伯爵家の伝家の宝刀だ。すると振るっているのは後継のルーシー様か」
「ルーシー様がIGYOの首を落としたぞー」
地元警官が叫ぶ。
警官たちがどよめく。
いくら銃で撃ってもなんともなかったIGYOを遊びのように楽しそうにあっという間に切り刻んでしまった。
僕は空中にスマホを作り伯爵に電話した。
「早速ですが、僕らはIGYOと言っていますが、こちらで言う未確認生物2体を討伐しました。ルーシーさんが2体の首を落とし息の根を止めました。これから戻ります」
「ルーシーが。ありがとうございます」
もちろん帰りはドラちゃんだ。宗形はバイクですっ飛ばして行った。
伯爵は村長に電話する。
「危機は去った。我が家の賓客のシン様たちとルーシーが対処した。村民は戻して良い」
「ルーシー様が。呪われているという話でしたが」
「賓客のシン様一行が治してくれた。呪いは消えた」
「それはおめでとうございます。早速の活躍、後継問題も安心です」
「うむ。住民のことは頼む」
「承知しました」
伯爵は奥さんに小突かれた。
「最初に私に言うべきです」
「すまん、すまん」
「で、どうしたって?」
「ルーシーが2体の未確認生物の首を落とした」
「まあ。祝いのパーティーに花が添えられるわ」
「未確認生物のことは秘密だ」
「警官が多数見ていたのでしょう」
奥さんに鼻で笑われた。
まあ、そうかもしれないと呟きながら、内務省の友人に電話した。
「おい、そっちも聞いているかもしれないが、未確認生物2体を俺の家の賓客のシン様たちが討伐した。未確認生物はIGYOと言うらしいぞ。首はルーシーが落とした」
親バカめ。花を持たせてもらったのがわからんか、そう思った高官であるが、機関銃も効かない未確認生物の首を落とせたのである。単なる花を持たせたということではないと思い直した。
「それはおめでとう。これで後継は万々歳だな」
「ああ、ありがとう。祝いのパーティーには来てくれ」
「わかった」
友人は、待てよおかしい、確かルーシーは難病だったはずだと電話が終わってから気がついた。
忙しいぞと高官。信じられないことが起きた。今まで倒せたためしのない未確認生物改めIGYOの首を落としただと、まずは内務大臣に報告だな。それともスコットランド大臣か。
電話が鳴った。
秘書がとって「内務大臣がお呼びです。すぐ来いとのことです」
「わかった。すぐ行く」




