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040 巻き込まれた宗形医師 巫女さんになる

「ただいま」

 ドラちゃん、ドラニちゃん、龍愛、黒龍、黄龍が帰って来た。


「お客さん?ふーん。荒木田先生、大井先生と一緒にゴードンブートキャンプね。それまでは神社の境内で鍛えよう。今日は引っ越しで忙しいだろうから明日からね」

 ???な宗形である。


「あたしは、龍姫。こっちは龍華と龍愛」

「ドラゴンシスターズ?」

「それいいね。龍愛は親戚だけどね」


「ただいま」

 シンとアカが舞を連れて来た。


「お客さん?こんにちは、宗形さん」

 なんで知っていると思った宗形である。あれ会ったことがある。


「下のバイクは宗形さんのでしたよね」

「はい。そうです」


 そうかわざとらしい頬にあざがあった高校生の診断書を書いたっけ。その高校生だ。

「バイクは壊れないようにしておきました。存分に使ってください」

 引き続き????な宗形である。


「あれ、舞ちゃん」

 知り合いを見つけてホッとする宗形である。


「こんにちは」

「この人達とどういう知り合い?」

「同級生です」

「申し遅れました。樹乃神です」

「樹乃朱です」


「どこにお住まいですか?」

「ここです」

「神、様ですか」

「そうです」

 ヤバくなった。妄想の症状が進んだと宗形。


「少し話をしましょう」

 稲本奥さんがお茶を淹れてくれる。


「稲本さんと榊原さんは聞いた事が理解できるでしょうが他の方は初めて聞く話で理解が難しいと思います」

 他の方とは、私と舞ちゃんかと宗形。


「今この星は危機に直面しています。この星の神は幼くて対応できません。それで親神さんから僕たちが呼ばれました。僕と朱、宗形さん命名のドラゴンシスターズです。一柱はこの星の神ですが。60年前に隕石に乗ってやって来たこちらでいう異形のものが繁殖してしまったようです。各地でこの星の生き物、人を含めてですが、食べているようです」

 妄想が、妄想が止まらないと宗形。


 もしかしてと聞いてみる。

「昨日、変な患者が30人来たのですが」

「ああ、あれはこの星の犯罪者です。誘拐して婦女暴行をして、記録して脅してを繰り返していました。僕とアカが昨日散歩に出た時に、ちょうど舞さんが誘拐されるところでした。助けて犯罪者には罰を与えました。筒腐らしです。この星には筒枯らしというのがあるそうですので敬意を払いネーミングは筒腐らしにしました」

 それは小説だと思った宗形。密かにファンだったりする。


「あの、あれはどう進行するのでしょうか?」

 つい医師としての興味が沸いてしまった宗形。


「あれはだんだん腐っていって、根元までいくと身体中が腐り、腐乱死体です。荒木田診療科長に切られて短くなった鬼頭さんが腐乱死体の一番乗りです。あそこも命も短くなりました」

 聞かなければ良かったと宗形。


「もしかすると渋谷の事件も?」

「はいそうです。僕とアカと舞さんをモデルにスカウトして睡眠薬を飲ませて思い通りにしようとしました。余罪もたくさんあり筒腐らしの刑に処しました」


「舞さんは巻き込むつもりはなかったのですが、昨日のこともあり、強くなってもらおうと思って今日お呼びしました」


「宗形さんはこの神社を手伝ってください。ここが本部です。忙しくなります。忙しくなる前に鍛えましょう。バッグは、ホルスターバッグをお持ちですね。中身は見ませんので貸してください」

「はい」


「龍愛、おいで」

 トテトテと龍愛がシンの元に行く。抱っこされた。


「これに不壊と収納機能をつけてご覧」

「りゅうあ、わかんない」


「バッグを持って」

 バッグを龍愛に持たせたシン。


「このバッグは壊れない、壊れないと思ってごらん」

「壊れない、壊れない」

「もうちょっとだよ」

「壊れない、壊れない」

「はいよくできました」

 龍愛がニコニコ笑っている。

「出来た。出来た」


「今度は収納だよ。そうだな。収納、体育館くらい、収納、体育館くらいと思ってごらん」

「収納、体育館ぐらい。収納、体育館ぐらい」

「頑張って」

「収納、体育館ぐらい。収納、体育館ぐらい」

「もう少し」

「収納、体育館ぐらい。収納、体育館ぐらい」

「もう一声」

「収納、体育館ぐらい。収納、体育館ぐらい」

「はい出来たよ」

「出来た」


 龍愛はコテンと寝てしまった。

「龍姫、龍華」

「はーい」

 二人で2階に運んで行った。


「大丈夫なのでしょうか」

 宗形医師が聞く。


「そうですね。初めて力を使ったので、疲れたのです。このように訓練していくとだんだん神としての力を取り戻していきます。とりあえずこれが出来ました。不壊のホルスターバッグ、体育館程度の収納付きです。どうぞ」


「もらっていいのでしょうか」

「この星の神製ですから、この星の人が持つのが相応しい。ついでに使用者権限をつけておきます。あなたしか使えません」

「そうですか」


 恐々とホルスターバッグを持つ宗形。

「引越しの荷物はそこに入れて来てください。体育館程度の容量がありますから十分でしょう。あ、バイクも不壊ですよ。バッグに収納出来ます。駐車場いらずで便利です。使うところは見られないほうがいいですが」


「引越しですか」

「2階に部屋が空いていますので今日中にそこに引っ越してください。バストイレ付きです。明日朝から鍛錬です」

「ひえええ」


「あ、マンションは今日までです。手続きは、この星の神の親神さんが済ませてあります。お金も払う必要はありません。いくらか戻ってくるでしょう」


「武道はなにかやったことはありますか」

「棒術を少し」


「そうですか。一見刃が見えないからちょうどいいですね。これをあげます」

 シンが棒を取り出した。


「はいどうぞ」

 受け取ってしまった宗形。


「それにも使用者権限がついています。収納と思ってください」

 棒が消えた。収納できた。ホルスターバッグの中に棒が入っていることがわかる。取り出せそうだ。取り出せた。


「そういうふうに出し入れができます。中に入っているものもわかります。では引越しを頑張ってください。その前に部屋を案内します。アカお願いね」

「はい。こっちです」


 案内された部屋はやけに広い。今いるマンションより広い。部屋は三つある。そのほかに居間、食堂、キッチンがあって、バス、トイレが別々にある。どうなっているのかわからないが、十分であることはわかった。ほとんど一戸建ての一階と二階を合わせたくらいの広さである。それよりも広い。床も壁も材質はわからないが硬くて、そして柔らかい。天井も同じようだ。隣との遮音は今いるマンションより良さそうだ。というか何も聞こえない。


「ここを使っていいのでしょうか」

「はいどうぞ」


「木造ではないような」

「はい。親神様の作ったものですから。ここで運動しても周りは壊れませんし、音は響きません。音楽も流し放題です」


「家賃は?」

「山城稲荷神社に奉仕する人ですからただです」

「へえ。こんないい物件がただですか」


「一応申し上げておきますが、本物の神に奉仕するので、労働基準法は適用外です。深夜、休日、早朝いつでも出動です」

「えええ」

「今のところ出動はありませんが」

「はあ」


「禰宜でもいいですが、巫女さんにしておきましょうか。服はこれです」

 例の白と赤の巫女さん服を朱が出した。


「では着替えてください。引越しは私がお手伝いします」

 有無を言わせない圧力があって、渋々隣の部屋で着替えた。下着から一セットである。ブラはスポーツブラ仕様らしい。運動させられるのか。諦めて着替えた。大変着心地がいい。足元はブーツである。足にぴったりフィットである。シューズフィッターに選んでもらってもこんなフィット感はない。誂えたような靴だ。


 巫女装束は、近所の神社でアルバイトをしていたので着付けは慣れている。着替えて部屋を出た。


「ホルスターバッグをつけてください。見えないようにと思えば見えませんから便利です」

「基本そのスタイルでお願いします。着替えは収納に入れておきました。もっとも汚れないし、やぶれませんが。では引越しに行きましょう」


 朱さんは、ジャージだ。ずるい。

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