030 親神さんが龍愛に犬二頭をプレゼント
ゆっくり階段を上がって鳥居を潜って、さて僕は犬を探しに行こう。
と思ったら子犬が二頭、社殿のほうからやって来た。オスとメスだ。親神さんが龍愛にプレゼントだ。この頃一生懸命やっているのでご褒美だろう。
コロコロと走ってくるので僕とアカで一頭づつ抱いて撫でてやる。二ヶ月くらいの柴犬だな。耳がピンと立って、尻尾は背中に巻き上げている。背中の上で一生懸命尻尾を振っている。
「待っててね。ご主人さんは夕練に行っているから」
ぺろぺろ舐めてくる。いい子だいい子だ。
足を拭いてやって家にあげてやる。
稲本さんがびっくりしている。夫婦のもとに尻尾を振りながら走って行った。
「おー、おー。可愛いな」
二人で抱き上げている。
「この子達の名前は?」
「龍愛へ親神様からのプレゼントですので龍愛につけてもらいます」
「何を食べるんでしょうか。ドックフード?」
「食べなくてもいいんです。でも食べたがるだろうから龍愛が少し分けてやるだけでいいです」
食事はアーダと同じようなものだ。アーダはどうしているかな。
明日は日曜だ。舞さんもこれから色々巻き込まれそうだ。大学入試用の勉強を日曜日の午後半日することにしよう。アカの塾だ。半日で十分だろう。
英語が少し苦手のようだ。ふむ。文法、語彙は、十分。あとは本場で使って、ニュアンス、コロコーションなどが分かればいいか。本場で使えばすぐ慣れ、理解できるだろう。
英語の訓練は、オーストラリア、イギリス、壱番国あたりでいいか。転移するのはまずいか。
作った。英語シミュレーター。二階の使っていない部屋に設置。設置といってもVRヘッドセットと机と椅子だけなんだけど。
上品な英国上流階級あたりから行くか。装着してみる。おお、ロンドンにいるようだ。貴族の城で同じような年の子がいるところで遊んで貰えばいい。ふむふむ。良くできている。
アカもやってみている。良く出来たと褒められた。
そんなことをしていると夕練から三人が帰って来た。
「だだいま」
ワンワンと犬が玄関に向かって行く。龍愛に飛びついた。龍愛はびっくりして泣き出した。よほど嬉しかったらしい。犬がクーンクーン、ぺろぺろとしている。
「龍愛がこのごろよくやっているから、親神様からのプレゼントだよ。名前をつけてやりな」
「うん」
二頭を床の上にそっと下ろした。
「それじゃあね。男の子は、黒龍」
オスの子の体が光った。確かに毛色は黒い。そのまんまだ。
「女の子は、黄龍」
メスの子の体が光る。こっちもそのまんまだ。まあいいか。
「大事にするんだよ」
「うん」
子犬の役所への登録はマイクロチップで終わっているらしい。さすが親神様。
マイクロチップなど入っていないけどね。いいんです。読み取ればそれらしい情報が読み取れる。
龍愛は、明日黒龍と黄龍と遊びたくて、頑張って高三の課程まで終了してしまったとドラちゃんが教えてくれた。よしよし。
勉強している時、黒龍と黄龍は龍愛の足元で大人しくしていたそうだ。
翌朝、ドラちゃん、ドラニちゃん、龍愛、黒龍、黄龍は、朝練の奥駈に行った。
観察ちゃんの映像では、黒龍も黄龍も余裕でついて行っている。二か月程度の犬だけど、親神製だから強い。
一度朝食に戻って来て再び奥駈に行った。ジェナとチルドレン、アーダと合流して走っている。
お昼には全員で戻って来た。ジェナとチルドレンが僕とアカに抱きついてくる。アーダはアカに抱きついてから僕の服の中のアーダの部屋に入った。
お昼の後はみんなでお昼寝。黒龍と黄龍は龍愛の両脇。可愛い子達だ。
お昼寝が終わったらジェナとチルドレンは帰って行った。ドラちゃん、ドラニちゃん、龍愛、黒龍、黄龍、アーダで再び奥駈に行った。
舞さんがやってきた。今日は約束の英語の勉強だ。2階に行ってヘッドセットをつけてもらう。同じ年くらいの女の子がいる貴族の館だ。遊びに来た友人の設定。夕方までやっていてもらおう。
僕とアカは暇になった。
ドラちゃんたちはどこかな。僕たちの星の熱帯雨林にいる。熱帯号が先頭で走っている。
巨大蛭に抱きつかれて龍愛がキャーキャー言っている。黒龍と黄龍が龍愛に巻き付いている蛭に飛びかかっている。楽しそうだ。