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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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027 体力測定

 明日は体力測定の日。どのくらいの値を出したらいいのだろう。調べよう。


 空中に作ったタブレットを使ってAIロボット君を作った。インターネットの海に放す。

「行ってらっしゃい」

 敬礼して出て行った。

 すぐデータが送られて来た。


 新体力テストというらしい。平均値は、ほうほう。

 たとえば握力、高三男子が40.53kg、女子が26.52kg、小五女子16.56kg、小三女子11.89kg。

 なるほど、だが低い。低すぎる。こんなので生きていけるのか。


 しかし目立つといけないな。平均値にしておこう。僕とアカは体格が良いから、少し増やしておくか。

 握力なら僕の場合、40.53×1.2=48.64kg。アカなら、26.52×1.2=31.82kgこんなところでどうだ。

 ドラちゃんとドラニちゃんは1.2倍、龍愛は平均値でいいだろう。 

 みんなにデータと調整方針を送っておく。うまくやってくれるだろう。


 AIロボット君は、帰ってこない。データセンター、クラウド、研究機関、大学、図書館、IT関連企業、情報流通企業、金融、軍関係を含む各国の機密システム、犯罪者ネットワークなど、ありとあらゆるネットの隅々まで進出したのだそうだ。

 物理的に切断されている機密システムにはデータの出し入れの時に侵入し、侵入してしまえば、データは自在に送れると言っている。どうやっているのか。知らん。

 引き続きデータ収集にあたると言っている。そうですか。


 用意万端、では学校に行こう。

 龍愛が「お兄ちゃん、龍愛だけ平均値だ、やだあ」と言っている。

「そうかい、それじゃ、1.1倍だ」

「うん。わかった」

 わかりがいい子だ、よしよし。


 体力測定です。

 小学3年生。体育館内で出来ることから、まずは龍愛は握力測定。


「ここを持って、はい、そう。力を思いっきり入れて握って」

 龍愛はシンに言われた通り、ちゃんと数値を調整した。


 ただし、龍愛は11倍してしまった。11.89×11=130.79kg。

「100キロ、ええええ」


 幸い100kgまでしか測れないデジタル握力計だったから、後ろにいた龍華が誤魔化した。

「あれ、エラーかな」


 ゴンと一発。小声で、

「1テン1倍だからね」


 涙目の龍愛。先生が握力計をリセットしてもう一度測定。

 13.1kgになった。

「よしよし」

 龍華になでなでしてもらった龍愛。ニコニコしている。


 上体起こし、長座体前屈は簡単に終了。

 反復横とび、シャトルランは多少調整に苦労したがまずまず1.1倍にした。

 体育館内での測定は終了。次はグラウンド。


 グラウンドに出た。

 50m走。

 同級生はどうやっていい記録が出せるかスタートラインで真剣な顔をして必死に走って行く。


 龍愛も必死である。1テン1倍、1テン1倍と呟き、スタート。必死に1.1倍の記録を目指す。ゴール。11.5秒。

 平均値の10.48を1.1倍した龍愛であった。きっちり結果が出て自慢げである。

「まあいいか。確かに1.1倍だ」と龍華。なでなでしてやる。


 ソフトボール投げ

 龍愛が投げる動作に入った。大井先生が声をかける。

「向かい風だよ。思いっきり投げてね」

 龍愛は投げる動作の途中に急に言われて、我を忘れて思いっきり投げてしまった。パンとボールが粉々になった。急加速に耐えられなかったらしい。


「ええと、ええと」

「先生、ボールがだいぶ傷んでいたところに、今日空気を入れ過ぎたので、パンクしたようです」

 龍華が入れ知恵をする。


「そうよね。そうよね。ただのパンク。ただのパンク」

 繰り返す大井先生。


 龍華がすかさず替えのボールを龍愛に差し出す。

 ゴン。

 再び涙目の龍愛。投げてボールが飛んでいる途中で操作。無事平均値1.1倍の10.4mの記録を出した。


 龍華になでなでしてもらって回復。


 立ち幅とびは調子良く踏み切った。あれ、飛びすぎた。まずい。これでは何十倍にもなってしまう。着地前だから、慌てて空中でバックした。飛距離を調整して無事クリア。


「今、空中で戻ったようだけど」

 大井先生は困惑する。


「向かい風です。強い向かい風が吹いたんでしょう」

 龍華がまた助け舟を出す。


「それにしては10mくらい」

「向かい風、向かい風。気のせいです」

「そうよね。ありえないわね」

「そう。ないない」


 同級生は龍愛の記録を相当怪しんでいるが、龍華が怖いので黙っている。


 龍華が龍愛の頭をゴンゴンやっている。どう見ても俺たちでは大怪我で病院行きだ。いや死んでしまう。しかし、龍愛は頭をゴンゴンやられても涙目になるだけで、頭はなんともないらしい。あの頭で頭突きを喰らったら病院行きだ。


 泣き虫龍愛も実は危ないと思い始めた同級生であった。


 今日の龍愛の握力もどう見ても100キロオーバーである。数字がどんどん上がって行くのを見た同級生である。


 50mはわざとスピードを落としているようであった。きっとどの種目も平均より上であったらおかしいと思われるから、わざとスピードを落としたに違いないと思った。


 同級生は馬鹿にしていた龍愛であったが龍愛も怖くなってしまった。


 隣のクラスの先生が心配して大井先生に聞いた。

「大丈夫なの?相当痛いんじゃない」


「大丈夫、大丈夫。龍愛は頑丈だから。それに龍華は龍愛のお父さんに頼まれているから」

「でもゴンって言ったわ」

「大丈夫、大丈夫。精神注入拳、精神覚醒拳です」


 隣のクラスの先生は、大丈夫、大丈夫という大井先生に呆れて、そして頑丈な龍華の拳と頑丈な龍愛の頭に呆れて引き下がっていった。


 再び龍愛の同級生。

 それにしても、大井先生は鈍感だ。ゴン、ゴンと龍華が龍愛の頭を殴っていても何も気にしていない。もしかすると大人物なのかもしれない。涙の大井ちゃんとあだ名をつけていたが、実は危ない人なのかもしれない。


 変なところで再評価される大井先生であった。学級崩壊はおさまりそうである。


 小学部 3年生の教員会議

 学年主任が発言する。

「それでは体力測定の結果ですが、健やかな身体に健やかな魂をという我が学園の基本方針に則り体育に力を入れて来た所でありますが、お手元の資料をご覧ください。3年生は、まずまずの成績と思います」


 パラパラと測定結果を確認する教員たち。

「ドラゴンシスターズの落ちこぼれの成績がバカに良いように思いますが。測定ミスなのではないでしょうか」

「そんなことはありません。だいたい平均値より少し上なだけです」

 憤然とする大井先生。


「それはそうだが平均値よりみんな少し上だ。50メートルだけ少し下だ。50メートルを除きまるで調整したような数字だ。龍華のほうはもっと完璧に調整したように見える」


「きちんとやっています。握力も握力計がエラーを起こし計り直しています」

「どんなエラーだったのですか」

「上限100キロを表示して動かなくなったのでリセットしました。次には正常に測れました」


「確かに100キロはないだろう。それは多分何らかの加減で握力計がエラーを起こしたのだろう」


「それに50メートルは少し遅い」

「それはそうだが」


「ソフトボールは、ボールが破裂してしまって、やり直してまずまず普通の距離に収まった」

「なんだか変な話だな」


「立ち幅跳びだって、ちゃんと踏み切って、飛びすぎたら向かい風が強くて、普通の記録に収まった」


「大井先生、なんだかわざと普通の数値に収めたように聞こえますが」

「そんなことはありません。一生懸命普通の数値を出したのです」


 おかしな成績だが、まあ突出した成績ではないから、統計上の影響はないだろうと思ってドラゴンシスターズの話は収まった。


 小学部 5年生の教員会議

 学年主任が発言する。

「それでは体力測定の結果ですが、健やかな身体に健やかな魂をという我が学園の基本方針に則り5年生も体育に力を入れて来た所であります。お手元の資料をご覧ください。5年生は、まずまずの成績と思います」


 パラパラと資料を見ていた教員。

「荒木田先生、ドラゴンシスターズの長姉龍姫はみごとに測ったように平均より少し上だが、おかしいのではないか」


「きちんと計測しています。それともそれ以上の成績を求めるのでしょうか」


「そうだな。本気を出すとこれでは収まるまい。データとしておかしくなってしまう。これでいいのではないか」


 とんでもない成績を出されてもそれはそれで始末に困る。ドラゴンシスターズは末っ子はともかく実はとんでもない成績を出せるのではないかと疑っている教員連中。学年主任の発言で龍姫の成績は有耶無耶になった。


 高等部 3年生の教員会議

 学年主任が発言する。

「それでは体力測定の結果ですが、健やかな身体に健やかな魂をという我が学園の基本方針に則り、進学・就職準備の学年ですが、体育に力を入れて来た所であります。お手元の資料をご覧ください。3年生は、まずまずの成績と思います」


 パラパラと測定結果を確認する教員たち。

「竹田先生、先生のところの樹乃神、樹乃朱の成績が綺麗に平均を少し上回っていると思いますがこれは」


「体育は山田先生の担当です」

 逃げた竹田教員。


「え、いや、全体を見ていただけで、個人の測定を見ていたわけではありません」

 山田教員も逃げる。


「樹乃神、樹乃朱は一緒に住んでいるとか、どうなっているのか」

「え、いや、まあ、その、親戚です」


「手を繋いでいたという話もある」

「それは、今時の高校生ですからそのくらい当たり前でしょう」

 竹田先生は忙しい。


「手を繋いでいる男女が一緒に住んでいるのだぞ」


 今まで黙っていた教員が発言する。

「住んでいるところは山城稲荷神社の神主の稲本様のお宅で何か起こるはずがありません。それに県の私学振興課が二人をご存知のようです」


 ここにもいた神社の氏子。県の私学振興課が止めとなって話は終わった。

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