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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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025 理事長は学園に出勤する

 久しぶりに学園に出勤した理事長。いつもはほとんど自宅にいて用があれば学園から事務局長がやってきてお伺いを立てていた。


 理事長室に入って、秘書が淹れてくれたお茶を飲む。いつもと少し違う気がするが今日もうまいお茶だ。


 事務局長がご機嫌伺いにやってくる。

「うちの倅が被害にあった件は知っているな」

 加害者だと思った事務局長であるが、

「はい」


「加害者はなんという」

「樹乃神といいます」


「退学にしろ。それと一緒にいた女は倅と同じクラスにしろ」

「それが、調べておきましたが、事件の該当者は、樹乃神、一緒にいたのは樹乃朱ですが、編入学してきた生徒です」


「それで」

「編入試験の成績は抜群でした」

「ふん」


「それから入試後に県の私学振興課から電話がありました。ご存知のように高校以下の許認可を握っている部署です」

「ああ」


「そこから、樹乃神様、樹乃朱様が入学するんですってねと電話がありました。エリート課長らしく、入学させろとは一言も言っていません。世間話ですが、なかなか難しい電話でした。幸い編入学試験が抜群の成績のため苦労はしませんでしたが」


「なんだそれは」

「全くわかりませんが、私学振興課が二人を知っているというサインを送ってきたということです。うちもいろいろあり、退学は余程のことがないと難しいかと思います」


「それじゃ女をクラス替えしろ」

「ご存知のように高校三年は、成績順に一組から生徒を並べています。神も朱も本学園開闢以来の抜群の成績です。ご子息のクラスには入れられません。それに噂ですが、ご子息の担任、神の担任、二人とも神、朱に位負けしているようです」


「どういうことか」

「わかりません。それに事務所の女性たちが、二人のことになるとすぐ書類を作ってきます。神と朱に都合のいいように」


「それはおかしいのではないか」

「物事は色々な方面から眺められます。ある方向から見て間違っていることも、見る方向を変えれば正しい。そういう正しい書類です」


 いつもの事務局長ではない。何やら中立方面に舵を切ったのかもしれない。神と朱というのは爆弾らしい。爆弾は爆発すれば被害が大きい。補助金も吹き飛ぶ。困った。


「他に何かないか」

「神様と朱様と同じ苗字の子供が三人一緒に小学部に編入してきました」


「そいつらは何か問題はあるか」

「今のところ何も聞いていません。が住所が一緒です」

「三人一緒か。苗字が同じならあり得るか」


「それが、神様と朱様と一緒です」

「なんだと、神と朱は一緒に住んでいるのか」

「はい。それに三人の子供。五人全て苗字は同じ」


「どうなっている。よく調べろ。もしかするとその辺で神を追い詰められるかもしれない」

「ところが五人の住所は、山城稲荷神社で、宮司は稲本様です」


「それがどうした」

「山城稲荷神社は、延喜式内社の後裔ではないかといわれ、千年以上の歴史があるとされています。宮司の稲本様もずっと宮司を務めている家柄で名家中の名家です。それに旧市街の連中は皆氏子で各方面にいろいろ関係者がおり、稲本様が良しとして住まわせている以上、迂闊に調べられません」


「やっかいだな。氏子に知り合いがいないのか」

「氏子は神社のこととなると結束が固く外から突くと一丸になってかかってきます。参道の大鳥居も市道に立っていて、宗教施設が市道に立っているのはおかしい、邪魔だという話がでましたが、旧市街の連中が騒ぎ出し、どうしたわけか大鳥居の敷地部分は神社のものであったということになり、鳥居の下は市が道路として借りていることになってしまいました。今もって経緯が不明です」


「お前は旧市街に住んでいるのではなかったか」

「はいそうです」


「氏子か」

「当然」


 神社のスパイがここにいたと思う理事長である。切り口を変えよう。


「三人の子供の成績はどうだ」

「まだ入ったばかりでテストもなく、わかりません」


「入試の成績は?」

「抜群です。ただ、うちは編入学がほとんどなく、試験問題の作成もしてありませんでしたので、過去問を試験問題としました。覚えていれば出来ます」


「副校長に言ってテストをさせろ」

「無理にしなくても間も無く中間テストです。うちは私立ですから、小学部も中間テストがあります」


「そうか。楽しみだな。それで三人のことを調べさせろ」

「三人のうち一人は五年です。その担任は、地元の荒木田先生で、親は総合病院の医師、妹は神様のクラスの学級委員長です」


「氏子か」

「もちろん。旧市街に住んでいます」


「他の二人は?」

「三年です。担任は大井先生です」


「そいつは氏子ではないな」

「はい。ですが荒木田先生の後輩で仲がいいです。迂闊に調べられません。そうそう、噂ですが校門ゴリラが神様、朱様、さらに小学生の三人にも位負けしたとか」


「肛門ゴリラとはなんだ」

「校門です。朝、校門で遅刻する生徒を待ち構えている山田先生です。ご子息の担任でもあります」


「山田か。確かにゴリラではあるな。小学生に位負けだと、下は三年だろう。ありえない」

「そこは噂ですからなんとも。山田先生は、理事長のもとに日参していますからお聞きになられたら」

「わかった。もういい」

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