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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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159 オーストラリア在住のカンナの日常 (12)

 龍愛達はウルルからアリススプリングスのすぐ南側に背骨のように東西に走る低い山脈?の上に転移した。


 異形は街が全くない西から進撃したらしい。アリススプリングスの西の街で初めて餌に出会ったのだろう。街はすでに蹂躙されていた。だいぶ食べたらしく異形が休憩している。アリススプリングス側では車を並べてバリケードを作っていた。バリケードの後ろから警官が恐々覗いている。


「異形が食べ尽くした街はララピンタだ。あの街を出る前にやっつけよう。出れば次はアリススプリングスだ。車のバリケードなど何の役にも立たない。なおアリススプリングスはこの準州の二番目の大都市だ。人口3万人くらいだが」

 宗形の大都市発言に不謹慎ながら笑ってしまった眷属である。


「向こうは10頭だ。こちらは何人かな。龍愛、ポニー、私、荒木田夫人、円、舞、ルーシー、大井。秋月、美月、荻野、高橋、宮川、カンナ、フリーマン。ジェナ、チルドレン、ジュビア、アイスマン。黒龍、空にはホーク龍だな。十分だな」


「宗形のお姉ちゃん、今度の異形は見たこともない形だよ」

 ホーク龍が拡大映像を送ってくれる。


「ほんとだ。初めてだな。全身円錐状の棘だらけの四つ足トカゲだ。ワニぐらいな大きさだな。初物だからみんなを呼ぼう。黒龍、ひとまわり回って集めてきて」


 しばらくして黒龍が残りの眷属を一緒に連れてきた。

 荒木田剛、榊原強、勝婆さん、稲本夫妻、塩井阿闍梨、祓川、姫乃、常陸、高倉、劉、タイソー、メルクリオである。


「さてみんな揃ったな。ホーク愛と黄龍はカンナが始めたツアーの観光旅行に付き添っているが初物だから呼ぼう。代わりにクセナキス大僧正王補佐と秘書達にツアーに付き添ってもらおう。何かあれば愛ホンで呼んで貰えばいい。カンナ、メルクリオと一緒に手配してくれ。黄龍に転移を頼もう」

 黄龍がやってきてカンナとメルクリオを連れて転移して行った。


「さて初物だ。異形にどういう攻撃手段があるかわからない。先陣に異形の攻撃手段を引き出してもらおう」


 この前は俺一人で先陣だったとタイソー。


「今回はオーストラリアが地元のフリーマンに先陣を頼もう」

「え、私ですか?」

「そうだ。前回はタイソーが頑張った。なに大したことはない。タイソーだって怪我一つせず生還した。あの時はサソリ型でハサミは見てすぐわかったが尻尾が伸びて毒針が出てきた。先陣を切ったタイソーのおかげで異形の攻撃手段が全てわかった」


「あの、刺されたら死ぬのでは」

「毒針があるかどうかわからない。タイソーは毒針に刺されハサミに挟まれてチョキチョキされたが何でもなかった。心配ない。大丈夫だ」

「本当ですか」

「生き証人がいるからな。嘘はない」


 今回は自分ではないとホッとしたタイソー。

「大丈夫だ。何とかなる」


「そう先輩も言っている。何なら先輩と一緒に行くか?」


「いえ。一人がいいです。二人で行くと異形が気が散ってしまうかもしれません」

 慌てて否定するタイソー。


「それも一理あるな。頑張れフリーマン」

「・・・・・」


「では異形も休憩に入っているようだから、こちらもカンナとメルクリオ、ホーク愛と黄龍が戻ってくるまで休憩だ」


 稲本夫人と荒木田夫人でお茶を配る。コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶など多種のお茶を希望に沿って配った。


 一方カンナとメルクリオを大僧正王庁のメルクリオの部屋に黄龍が転移させた。真夜中である。

 メルクリオが秘書を呼び出した。

「ずいぶん早かったですね。そちらの連れ込んだ女性は?」

「連れ込んだのではない。先輩眷属のカンナ ハシモト嬢だ。IGYO討伐で手が足りなくてな。お前達を呼びにきた。それと補佐と秘書を呼んでくれ」

「すぐ呼んでまいります」


「へえ、ずいぶんいい部屋だね」

「一応世界宗教のトップの部屋ですから。それなりに整えなくては地位が保てません」

「ふうん。旧大陸は階級社会なんだね。地位にふさわしいところに住まないといけないわけか」

「階級社会云々はさておいて、そうです。地位にふさわしい住まいに住み、旅行すればふさわしいランクのホテルに泊まらなければ自分が保てません」

「天皇陛下と皇族以外は平民の日本人にはわからないかもね。だから平民都知事が良いホテルに泊まると日本から嫉妬と非難が集まるんだな」

「日本国の首都のトップですから、それにふさわしい高級ホテルに泊まらなければ馬鹿にされます。それは日本の損失につながります」

「なるほど。でも欧州特派員などは知っているだろうに。知っててきちんと意見を言わないのだな」

「雰囲気に乗らないとまずいと思うのでしょう。それか上に握りつぶされたか」

「意気地なしだな」

「保身でしょう」

「よくわかっているね」

「権力を手に入れるには色々とありますから」


「在外公館でワインを溜め込んでけしからんとなって処分させられたようだけどあれも文化が違うのだろうね」

「ワイン一本で外交が円滑に進むこともあります。ワインを貯蔵するのはあながち悪いこととは思いません。その流用などはいけませんが」

「日本酒と焼酎の酔っ払い文化とワインの蘊蓄文化の違いか」

「そうかもしれません。日本酒も良い日本酒が出てきたようですから、近い将来蘊蓄文化の仲間入りをするでしょう」

「期待していよう」


 寝ぼけ眼の大僧正王補佐とその秘書二人がやってきた。


「夜中に悪いな。IGYO討伐をするのだが手が足りなくてな。ハシモトのツアー客がオーストラリアのエアーズロックにいるんだが、秘書達はそれを見てくれ。補佐は討伐に参加してくれ。まだ准眷属だから後方で良い。見学のつもりで構わない」

「わかりました」

「では行くぞ」


 橋本のバスの近くに転移した。

 バスにはすでに参加者と巫女さんが戻っていて、弁当を食べていた。ちょうどよかった。

 なお警官は流石にパトカーに戻っていた。弁当はもらったらしい。


 バスの外にグレースとミアを呼び出し、カンナが簡単に説明した。

 バスの中に戻りカンナが説明する。

「少し急用ができましたので私は出かけてきます。代わりにこのイケメン神父さん4人がみなさんのお世話をします」

 イケメンだという小さな声があちこちから聞こえる。

「では顔をよく覚えてくださいね。最初にカタ ジュタの近くに転移してしまいましょう」


 バスごとカタ ジュタの近くに転移して、グレースがエンジンをかけ駐車場へ向かって走り出した。

「ではみなさんよろしく」

 カンナとメルクリオと補佐が黄龍と消えた。空を飛んでいたホーク愛も消えた。


「ねえねえ、カンナさんといた人はメルクリオ大僧正王様と大僧正王補佐だよ。この頃テレビによく出てくる」

「あ、ほんとだ。サインをもらっておけばよかった。カンナさんてすごいのね」

 何気に信用度が上がるカンナ商会であった。

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