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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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146 メルクリオ統括大僧正王 外国訪問する (17)

 さてメルクリオ大僧正王、10日ほど訓練していた気がするが、ホテルでは10分くらいしか経っていない。されど疲れた気がするのは当然だ。

 明日はインカの遺跡だ。楽しみ楽しみと早寝をした。


 翌早朝、ホテルからバス一台で空港へ。観光旅行なので人数は抑えてバス一台である。


 国内線に乗って、遺跡最寄の空港まで一時間三十分弱で着いた。

 最寄と言っても遺跡から最も近い空港というだけのことで、遺跡方面へ行く鉄道の駅までさらにバスで二時間くらいである。


 バス一台で鉄道駅まで向かうメルクリオ一行。


「遠いな。これでは隣国に飛行機で行くより時間がかかるのではないか」


 メルクリオがぶつぶつ言うと近くにいた随行記者が応える。


「大僧正王様、それだから価値があるのです。苦労してたどり着く先に遺跡がある。ロマンです」


「ロマンチストだな。ロマンを楽しむのは後何時間くらいか」


「鉄道の駅に着いたら三時間程度鉄道で移動、さらにバスで三十分ほど揺られてそれから・・」


「ああ、わかったわかった。大ロマンだ。遠いことがわかった」


 意外と気さくなメルクリオ、随行者達と話しながらバスに揺られ、やっと鉄道の駅についた。


 大僧正王の旅行である。もちろん政府関係者とツアコンがついてきた。案内はツアコンである。


「皆様、こちらから鉄道に乗ってください」

 みれば古き良き時代の豪華列車だ。


 ホームには伝統衣装を纏った踊り子と楽団が待っていた。メルクリオ一行を民族舞踏と歌で歓迎してくれた。


 メルクリオ達が乗り込むのを待っていたように列車は発車した。踊り子さん達が手を振ってくれる。


 列車は誰も住んでいないような谷底をぬっていく。ディーゼル機関車が列車を引っ張っていく。


 列車の中ではギターの演奏が始まり酒類が供され、しばし旅人気分で語り合うメルクリオ一行である。


 一時間ほど旅を楽しんでいたが、轟音と振動が列車を襲い列車は急停止した。


 車内に悲鳴が響き渡る。グラスが飛び散る。

 立っていた者は飛ばされ床になぎ倒された。座っていた者も椅子から投げ出され向かいの椅子などに叩きつけられる。阿鼻叫喚という言葉通りの状況になった。車内放送もない。


 全く無事なのはメルクリオと補佐と秘書達だけである。訓練の甲斐があった。


「何が起きた。見てこい」


 大僧正王に言われる前からドアに向かって走り出していた秘書、列車のドアをこじ開けて、外に出る。


 前方で機関車が線路上の大岩にぶつかって脱線している。機関車に続き数両の客車が脱線。

 四つ足IGYOがむしゃむしゃと食事をしていた。


 秘書はすぐメルクリオのところに戻り、「機関車が大岩に衝突、機関車と続く数両が脱線、四つ足IGYOが2頭食事中」と報告した。


 メルクリオが周りを見渡すと皆うめいていてこちらを見ていない。


「着替えるぞ」


 メルクリオと補佐と秘書が手早く忍者服に着替える。狐面をつけてメルクリオが補佐に命じる。


「宗形マネージャーに、「IGYOが今の所2頭、食事中。怪我人多数。応援を乞う」と連絡しておいてくれ。俺たちは前に行く。補佐は乗客の救助だ。もしかしたら後ろからもIGYOが襲ってくるかもしれん。気をつけてくれ」


「承知しました」


 メルクリオと秘書二人は列車から飛び降り、前方に走っていく。


 補佐がリューア様からもらった愛ホンで宗形マネージャーに救援要請をした。


「一人、列車の周りを見ていてくれ。IGYOが新たに出たら教えてくれ。すぐ行く」


 補佐の秘書が列車から飛び出して後方に走る。


「おい、遺体を外に並べるとIGYOのために餌を差し出したようだな」


「はい。誠に」


「とりあえず前方車両の人たちの救援だ。後方車両に移そう」


 補佐と秘書一名でまずは前方の脱線した列車の中の人たちを後方に移す。幸いIGYOはメルクリオ達と戦闘になったので列車を襲ってこない。


 脱線車両にいた人たちは大怪我が多い。またはすでに死亡している人もいる。さらにIGYOの餌になってしまったのだろう。体の一部が散らばっていた。


「ひどいな。息のある者から後方車両に移すぞ」


 補佐と秘書で息のある者を後方車両に移していく。腕から出血しているものは服の腕の部分を引きちぎり腕の付け根に近いところを縛って止血した。力は強いのでギュッと縛れば血は止まった。脚も同様。車両に挟まれた者はナイフで車両を切って助け出す。補佐と秘書の忍者服も手も血まみれである。


「後方一頭出現」

 秘書の叫び声が聞こえる。


「行くぞ」

 補佐が剣を抜いて秘書と後方に走る。


 IGYOが秘書と交戦中である。二人加わって三人でIGYOに切り掛かる。

「くそ、硬いな」


 補佐達三人ではなかなか討伐まではいかないが足止めはできている。


 先頭組は、

 メルクリオが一頭、秘書二人で一頭相手をしている。

「こいつらは飛ばないから楽だな」

「そうですがでかいのでなかなか」

「気合いだ、気合い」


 IGYOが立ち上がって、メルクリオを前足の爪で引き裂こうとした。

 メルクリオは前足を上手くかわしてIGYOの後ろ足一本を切り飛ばした。


 IGYOはグアーと喚いて立っていられなくなり3本足でメルクリオにかかっていく。

 前足でメルクリオを殴り飛ばそうとする。前足を避けて地面についているもう一方の前足を切り飛ばした。前足と後ろ足一本づつでかなり苦しくなったIGYOである。


 メルクリオは相手をしているIGYOから距離をとって二人の秘書が相手をしているIGYOに後ろから近づき後ろ足二本を切り飛ばす。


「あとはやれ。一人一頭だ。後方を手伝ってくる」

 メルクリオは後方に走っていく。

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