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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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141/160

141 メルクリオ統括大僧正王 外国訪問する (12)

 それからしばらくの間、補佐とその秘書はメルクリオに連れられて眷属たちの間を回った。みんな歓迎してくれた。


 勝婆さんという眷属のところに行った。

「コンスタンティノス クセナキスと申します」

「コンスタンティノスか、長い名前だな。わしなどは「まさる」だ。短いだろう」

「はい。覚えやすくていいと思います」


「迎えに行った男がいるだろう。あれはエドワード タイソーと言ってな、長いからエドだ。でも日本の百均に同じような名前のチェーン店があって皆タイソーとしか言わん。おまえさんは宗形マネージャーがコンと言っていたな。稲荷神社だけにコンだ」

 ???なコンスタンティノスであった。


「ところでおまえさんたちはまだ訓練をしていないな」

 近くにいた榊原と荒木田、やばいと思って孫の榊原が勝婆さんの口を塞ぎにかかる。


「何をするんじゃい。訓練の話じゃ。大事な話じゃぞえ」

 勝婆さん、つい大声を出した。


 向こうで勝婆さんの訓練発言を聞いて龍愛がニコッと笑った。

 幼女の無垢な笑いに見えるが・・・遅かったと榊原と荒木田。


 龍愛が宗形の袖を引く。またかと思った宗形であるが、訓練は絶対必要だ。それにほぼ全員集まった全体訓練もいいものだと思った。


「それでは勝婆さんの希望により訓練です」

 宗形はさりげなく責任を勝婆さんになすりつけた。


 一瞬の後、足元は草原である。言わずと知れた世界樹の星の滅びの草原である。


「しまった。また訓練になってしまった」

 そう言う勝婆さんにどの口が言うかとの顔の榊原と荒木田であった。


 バトルポニーに乗った龍愛がご機嫌である。空にはホーク龍とホーク愛。


 あ、靴は脱いでいたと思ったタイソー、

「あの、靴を履いていませんが」


「常在戦場。今日は裸足で訓練だ」

 ブーツを履いた宗形がのたまう。


 よせばいいのにタイソーが続ける。

「あのう龍愛様と宗形様は靴を履いているような」


「みんな覚悟が足りない。駆け足ー」

 龍愛が無視してご機嫌でポニーの上から号令をかける。


「頑張ってね。コーチを呼んでくるから」

 宗形もご機嫌でバイクを出して爆音を轟かせ草原をすっ飛ばす。


「ボーソームナカタだー、よけろー。轢かれるー」

 魔物の心の声が聞こえる。魔物もボーソーという言葉を学んだらしい。


 宗形はバイクごと消えた。


「宗形のお姉ちゃんはバイクに乗ると転移できるのかぁ」

 龍愛が感心している。


 榊原と荒木田が勝婆さんの方を見る。

「できるか。こっちは人間だ。バイクはスーパーカブ 110だぞ」

 そうだろうなと思った眷属達であった。


 半神宗形しか転移できないなら転移でこっそり逃げることはできない。もっとも神を相手では逃げることはできないが。


 諦めた塩井阿闍梨。

「では一団になって行くぞ。新人は真ん中あたり。遅れれば魔物に食われるぞ。殿は祓川」


 祓川が法螺貝を吹き鳴らした。草原に響き渡る法螺貝の音。魔物が法螺貝を聞いて四方から寄ってくる。


「バカ、未熟者め。魔物が寄ってくる。みんな急ぐぞ」


 走り出した塩井阿闍梨、慌てて走り出す眷属たち。訳もわからずとりあえず走り始めた補佐と秘書、足裏が痛い。靴下はすぐレッグウォーマーと化した。


 遠くにパラソルが見える。

「あちゃー」

 塩井阿闍梨である。


 不安になる補佐と秘書。姫乃、常陸、高倉のおばさんトリオが隣を走っていたので聞いてみる。


「あれはなんでしょうか」

「あのパラソルは魔女のパラソルだ」


「魔女?」

「またの名を性悪ツアコンさん」


「ショーワル?」

「性悪だ」


「そんなに悪いのですか」

「訓練では最悪だ」


「他に名前はあるのでしょうか」

「もちろん。エスポーサ様だ。シン様の眷属だ。二つ名どころではない。三つ名だ」


 息が上がっている補佐と秘書。悪い予感がする中、息も絶え絶えになってパラソルの元に着いた。


 龍愛と銀髪美女が待ち構えていた。銀髪美女の足元に白い大きな狼。


「あれ、みなさん、今日は気合が入っていますね。裸足ですか。頑張りますねえ。私が魔女、性悪ツアコンのエスポーサです」


 聞こえていたとおばさんトリオと補佐と秘書。


「急なことだったのでコーチにまだ連絡してないのよ。宗形さんが連絡しに行った。コーチが集まるまで駆け足。転移してきた場所にもパラソルを立てておいたからここと往復ね。新人さんは一団の中程がいいわ。魔物が襲ってくるから外側の人は頑張ってね。陣形を崩されれば新人さんは魔物の餌よ。では水を飲んで向こうのパラソルまで頑張ってね」


 みんな渋々水を飲む。


「あの、初めてでもう走れないのですが」

 果敢に補佐が魔女に挑戦する。


「大丈夫。誰にも初めてはあるわ。水を飲んで疲れは忘れて頑張りましょう。だいぶ燃焼しなければならない脂肪があるからちょうどいいんじゃない。新人さんは足が血だらけね。魔物が寄ってくるわ。まあ治しておこう。途中また血が出るから急いでパラソルまで走ってね」


 あえなく魔女への挑戦は失敗し、かつ状況がよくわからない補佐と秘書。喉が渇いていたので疑いもせずコップの水を飲んだ。


 体がやけに熱くなった。走り出したくなる。


 おばさんトリオが走り出す。続いて補佐と秘書も走り出す。


「ワンワン印だー。飲まされたー」


 はや数百メートル先まで走り去ったおばさん連中が叫んでいる。


「連中はワンワン印だ。エスポーサ様から離れると魔物が襲ってくる。新人を囲め。食われるぞ。急げ」


 塩井阿闍梨が号令して急いでおばさん連中と補佐たちに追いついて新人の補佐と秘書を取り囲んで走り出す。


 少しパラソルから離れると魔物がちょっかいを出してくる。一団の外側を走る連中は獲物を手に魔物を追い払う。


 ヘロヘロになってパラソルまで到着した補佐と秘書。ヘロヘロになったが止めようと思っても足が止まらない。エスポーサから渡されたコップの水を飲んでおばさんトリオと一緒にユーターン。


「行くぞ。遅れればワンワン印だ」


 塩井阿闍梨が言って眷属たちはワンワン印を飲まされてはたまらんとまた走り出す。

 エスポーサはニコニコしている。


 パラソルとパラソルの間を何回往復したかわからないくらい往復した。

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