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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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129 海のIGYO (4)

 こちらは龍愛の眷族。

 シロナガスクジラと同じくらいの巨大サメ型異形を相手にしている。


『30メートルはあるぞ』

『巨大ジョーズだな』

『獲物をとられてしまって怒っているようだ』


『おい宗形、6頭いるぞ』

『一頭は研究用。討伐代を払ったのに持って行ったといわれそうだからね。5頭にしておいた。討伐代は水中加算で調整しておいた』


 抜かりのない宗形マネージャーである。本当のような嘘っぽい水中加算ではある。


『なるほど。一番状態のいいのをもらって行こう。荻野がよろこぶ』


『しかし、シンさんの星の水棲魔物に比べればちょろいな』

『ああ、もう終わりそうだ』


『ありがたみが無いといけない。もう少し派手に逃げてもらうか』

 何人かで異形を下から突き上げて海上にジャンプさせた。


『飛行機から見えたかな』

『見えたろうけどもう一度やるか』

 再度やってみた。ほとんど息絶え絶えの異形は災難である。


 一番大きく立派な異形を黒龍が祓川、荒木田、榊原と一緒に自衛隊の倉庫に転移させる。


『よし、終わりだ。こいつらどうする』

『近くの海岸に並べておこう』

 黄龍が異形を海岸に転移させる。


 帰ってきた黒龍が全員をホーク愛の上に転移させて山城稲荷神社に戻った。


 シンさんの船の上。

「フリーマン。討伐完了、異形は近くの海岸に並べておいたと連絡。船室確認要員が揃ったか、ドックは確保できたか聞いてきてくれ」

 龍愛がそう言ってフリーマン州政府連絡員を転移させた。


 またまた会議室に出現したフリーマン州政府連絡員。

「こんどはなんだ」

 外務・貿易大臣がうんざりした顔で聞く。


「討伐完了、異形は近くの海岸に並べておいたそうです。それから船室確認要員が揃ったか、ドックは確保できたかとのことです」


「おい、海岸に並べておいたとはなんだ。始末に困る。討伐代を払ったんだから片づけさせろ」

 外務・貿易大臣は文句が多い。


「分かりました。言ってみます」

 大臣が無能め、とつぶやいた。


 少し後の話であるが、恩着せがましく実は喜んで水棲異形の死体を引き取った宗形、世界を相手にオークションである。

 水棲異形は世界で初めてなので入札に世界中の政府、研究機関等から参加希望が殺到した。


 結局国連が仲介して、切り分けて販売することになった。切り分け料もとって宗形は大もうけであった。


 そしてオーストラリアにも販売した。地団駄ふんだオーストラリア連邦政府であった。


 さて、船室確認要員とドック確保の詳細を聞いたフリーマン州政府連絡員、再び空に浮かぶ船の甲板上に転移。


 龍愛が、クルーズ船運行会社社長室から船室確認要員の100人と社長をクルーズ船の甲板上に転移させた。確認要員は廊下まで溢れていたが全員転移させた。

 転移に驚いた社長と確認要員であったが、すぐ仕事を始めた。


 まだ下船は続いているがシンは船を空中移動させる。

「エスポーサ、シドニーにむけ出港」

「面舵一杯、全速前進」

「アイアイサー」

 ブリッジは楽しそうだ。


「龍愛、シドニーの海軍基地に寄港、クルーズ船から下船した乗客乗員を下ろして、イタリアに向かう」


 龍愛が再びフリーマン州政府連絡員を会議室に転移させる。電話でもよさそうだが、面白くなった龍愛である。


 連邦首相はすぐ海軍東方艦隊基地に連絡、接岸場所の確保をさせ、下船者の対応を命じた。


 シンの船は宙を進んで程なくして基地近くまで到着。

 シンはティランママ、ティランサン、エリザベスに下船者を一ヶ所に集めさせ、やっと下船が終わったクルーズ船をシンの船の甲板上に移動、テントがたくさん張ってある岸壁に静々と着水、接岸した。


 シンは転移もまずいかと思ってそのまま甲板の一部を巨大エレベータとして下降させ、ドアが開くとそこは岸壁である。下船者を上陸させ、すぐエレベーターの扉を閉める。


 クルーズ船を積んだ船はゆっくりと上昇を開始、高度をとると一路イタリアへ向かう。


 シンはクルーズ船を乗せたらあまり船に余裕がない、全長500メートル、幅100メートルに改造しようと思った。


 岸壁に残された人は呆然と船を見送る。

 テントの下には水と軽食が用意されていた。初めてお腹が空き喉が渇いていることに気がついた下船者、水と軽食に群がる。

 軍人が下船者名簿を作り始める。

 

 シンの船は最短距離でイタリアに到着した。

 シンは、社長から客室部分に浸水はなかった、代金は支払うと確約され、乗員ごとドックにクルーズ船を下ろした。


 シンの船は高空に上昇。

 龍愛達は山城稲荷神社に船から転移した。シン達は世界樹の星に船ごと転移して帰って行った。


 宗形マネージャーは早速討伐代等の請求である。

 なお船の運行会社社長は、船に転移した時点でこれは人間の為せる技ではない、すぐ支払わなければ危ないと思って親会社と交渉、300億円用意させた。社長は船が客室より上は全く浸水がなく奇麗だったので、すぐ親会社に支払わせ、自分は人の救助代10億円を振り込んだ。

 すぐ支払われて喜んだ龍愛、エンジンをシンお兄ちゃんに直してもらった。


 リューアからすぐ支払ったからサービスでシンお兄ちゃんにエンジンを直してもらったと連絡が来て、社長が喜んだのは言うまでもない。造船会社の社長と相談して、とぼけて船の所有会社にエンジンの修理代も請求することにした。その修理代は運行会社と造船会社からのリューア様への初穂料とした。


 運行会社の社長は、船の修理が終わったらリューア神様、シンお兄ちゃん?一行を世界一周クルーズに招待しようと思った。


 フリーマン州政府連絡員は宗形マネージャーから呼ばれ、討伐代金等の督促をされ、会議室に戻った。


「龍愛様の宗形マネージャーがすぐ討伐代等を支払うようにとのことです。すでに船会社からは入金があった。なぜ貴国は支払わないのかと抗議がありました」


 外務・貿易大臣が、

「IGYO討伐はたいしたことはなかった。言い値で払う必要はない。値切ればいい。だいたい海にいるんだ。我が国が飼っているわけではない。もともと我が国が討伐代を支払う義務はなかったのではないか」

 と発言。


「それはまずいです。天を恐れぬ所業です」

 と答えたフリーマン州政府連絡員に外務・貿易大臣が、

「アボリジニの役立たずめ」

 と言い放った。


 途端に外務・貿易大臣の頭が爆ぜた。四方にいろいろ飛び散った。

 会議出席者は床に伏せた。


 床に伏せたまま連邦政府首相が叫ぶ。

「い、急げ支払え」


 財務省の連絡員が這って会議室から出て行った。四つん這いで必死に廊下を進む。

 すぐ支払われた。


 なお、シンが神国でのんびりしていると龍愛がやってきて、人と船を助けたのはお兄ちゃんだから、310億円受け取れとうるさい。


 シンは龍愛を抱っこして龍愛のためにやったのだからいらないと断った。それじゃ少し減らすからどうしても受け取ってと200億円押し付けられた。


 カンナはオーストラリアの州政府の官舎に住んでいた。リューア神連絡担当終身官(非常勤)という名目である。費用は連邦政府もちであった。頭が爆ぜたくないのでどこからも異論は出なかった。


 黒龍が貯金通帳とハンコなどをもって官舎にやってきた。

 通帳の残高は一千万円である。


 宗形の手紙がついている。曰く、仲介料だ。この口座は無税、自身の収入に組み込まれることもない。自由に使って良いと書いてある。だいぶ儲かったからお裾分けかとカンナは思った。

 前にもらっていた収納袋に収納した。


 倒産船会社の失業中の事務員さんを雇って日本の旅行社向けのホエールウオッチングオプショナルツアーの企画、販売か日本人向け英語学校でも始めるかと気分は上々である。


 事件が終わって倒産船会社の処理を押し付けられたフリーマン州政府役人、何故自分がと海岸のベンチに座って遠い目をして海を眺めて昼休み中である。


 黒龍がやってきて紙袋をフリーマンに渡した。

 中を見ると折り畳まれた紙幣が入っている。神社の箱に入れた札だ。すっかり同じ形に折られた札が99枚、全部で100枚あった。コピーかと思ったが本物のようだ。あの箱はosaisenを100倍にして返してくれる魔法の箱なのだろうと思うことにした。


 紙袋の底に首から下げる袋と鈍く輝くリューア神たちの像が入っていた。


 宗形の手紙がついていた。

「ご苦労さん。袋は容量は小さいがフリーマン専用収納袋だ。龍愛からのご褒美である」

 と書いてあった。使い方の説明も書いてあった。


 袋を首から下げて、像を拝んで、像と紙袋を収納と思ったら収納できたのがわかった。ありがたく頂戴した。


 黒龍はベンチでちゃっかりとフリーマンの昼食のフィッシュアンドチップスを食べていた。

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