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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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115/160

115 大統領は州知事からIGYOを退治出来ないと聞き対策を始める

 大統領補佐官は大統領執務室に戻った。


「IGYO対策室を潰したと発表したところで記者会見の中継は終わりになったが馬鹿に短かったな」

「それが報道各社の判断だそうです」


「何があった」

「IGYOについて色々言われました。IGYOは討伐できない。IGYOの餌は生物で当然人も餌で、人口の多い方へ行くだろうと言っていました」


「なんで奴らが知っている」

「わかりません。報道姿勢は抑制的と思いました。ただ、公園でIGYOがバッファローを食べている間が報道の猶予期間で、それが終われば今まで得た情報を一斉に報道すると言っていました。それと大統領と私たちが、前政権から是非これだけは聞いてくれとIGYOに関する引き継ぎの申し出があったが意図的に引き継がず、IGYO対策室、IGYO対策マニュアルも廃止し、資料は全て破棄したと報道するとのことです」


「前政権のやることはなってない。IGYOに関する引き継ぎなど馬鹿らしい。IGYO対策室を廃止し、人件費など削減できたのは成果だ。会見には俺たちに近かった記者もいたのか」

「その記者が代表して質疑応答になりました。ここに録音があります。聞いてみたらいかがでしょうか。私は一応、元IGYO対策室を見てきます」


 不安になった補佐官は急ぎ元IGYO対策室に向かった。すでに何もなかった。労働者が掃除をしていた。


「おい、ここにあったものはどうした」

「あんたは誰だね。大統領令だかで全て破棄した。なんでも直ちにやれと言うことだったそうだ。何を考えているのかわからないが、ここの室長は俺たちにも挨拶してくれた。あんたは偉そうだが、挨拶はなかったな。どけ、そこを掃除する。どかねえとワックスが。ああ靴とズボンにかかってしまった。お前さんは勝手に入ってきて大統領令執行中の俺たちの邪魔をしたのだからお前さんが悪い」


 くそ、こいつらクビにしてやると補佐官は思った。

「ああ、言っておくが俺たちは外部の業者だ。お前がクビにすることはできない。清掃代を払わなければ訴訟だ」


 補佐官はワックスを盛大にかけられた靴とズボンの裾を気にしながら部屋を出て行った。清掃中の部屋の中からは笑い声が聞こえた。


 補佐官は大統領執務室に戻った。

「おい、なんだ、このIGYOというやつは」

 録音を聴いた大統領が質問した。


「わかりません。元IGYO対策室に行ってみましたが大統領令が執行され既に資料は破棄されていました」


「要は帽岩渓谷州立公園を出る前にIGYOとやらを退治すればいいんだろう。州兵はどうした。州知事に聞いてみろ」


 側近は州知事に電話した。電話は通じたが電話口の向こうから緊迫感を伴った話し声が聞こえてくる。


「知事、州兵の装備ではIGYOを倒せません。至急連邦軍の派遣をお願いする」

「ちょっと待て。大統領執務室から電話だ」


 受話器を取った知事。

「州知事です。大統領に連邦軍の派遣を要請します」


「替わろう。サビオだが、どうした」

「大統領。州兵を派遣しましたが全く歯がたちません。退治出来ません。バッファローを食べ尽くすと移動を始めると思います。いま退治しないと大変なことになります」

「わかった。友のためだ。なんとかしよう」

「お願いします。動き出すと次は人が餌になってしまいます」


 電話を切った大統領。

「国防長官を呼べ。統合参謀本部議長を呼べ。30分後に会議だ」


 サビオ大統領は側近に報道機関に接触して情報を収集しろと命じた。

 側近が報道機関に電話したが知り合いも責任者も捕まらなかった。居留守らしかった。どの報道機関も同じであった。


 30分後、会議が始まった。

 大統領が発言する。

「大南部州の帽岩渓谷州立公園にIGYOというものが出現し、バッファローを襲って食べている。州兵が出動したが、殺せないそうだ。国防長官、どうしたらいいと思う」

「私は・・・」


 大統領は、こいつ気の利いたことを言うコメンテーターだった。我が陣営を持ち上げたので国防長官にしたのだがと思った。


「意見はないのか」

「状況がわかりませんのでコメントできません」


「お前がするのはコメントではない。無責任なコメントなら誰でもできる。対策を考えるのがお前だ。何も考えがないのか」

「IGYOは強いと聞いています。軍の装備では対応は難しいかと」


 参謀本部議長が発言する。

「我が軍で対応できない事態はない。IGYOとやらもミサイルを撃ち込めばいい」


「国防長官は何を知っている?」

「報道機関にいた時噂を聞いただけです。緘口令がしかれていて私には少しの噂しか流れてきませんでした。CIA長官を呼んだらいいのではないでしょうか」


「CIA長官を呼べ」

 CIA長官の到着を待って会議が再開した。


 大統領が聞いた。

「CIAはIGYOについて何か知っているか?」

「IGYOですか。特に何も」


 サビオ大統領は自分の権力を強化、誇示するために国防長官もCIA長官も更迭して自らに近い人物を充てた。ただし素人である。何もなければ良いが有事の際は問題である。そして今は有事である。問題が露呈した。


「CIA副長官がいるだろう。聞いてみろ」

「副長官は私が赴任した時に首にして私の側近を充てました」

 副長官も素人であった。


 首にした前長官に聞くことは大統領のプライドが許さない。


「国防長官とCIA長官は組織の把握に努めろ。帰って良い」

 残ったのは統合参謀本部議長のみである。


「核ミサイルは使えなかったのだな」

「はい。使えません」


「使える武器で最大の威力の武器はなんだ」

「MOABという爆弾があります」


「ミサイルに搭載可能なのか」

「いえ、輸送機で運び投下します」


「近くの基地に運べるだけ運んでおけ。戦車とミサイルで攻撃して効果がなければそれを使え。MOABを運び終わったらすぐ戦車とミサイル攻撃だ。急げ」

 参謀本部議長も出て行った。

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