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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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112/160

112 高橋、宮川助教 コスプレ集団と危ないおばさんの現場に腰が引ける

 川のそばにすっくと立つ髪の短い目力のあるキリリとした顔つきの美人。背が高く、がっしりした体格で体幹が強いらしく、ビシッと立っている。棒を手に下げている。

 どうみても剣を持った某歌劇団の男役のスターである。服装は巫女装束であるが。


 スッと棒で指された。

「こっちだ」

 スター宗形先輩に呼ばれてしまった。


 刑場に引かれていく罪人のように渋々歩いていく二人。


「なんだと思う?」

 見ると骨のようなものが転がっている。毛もついている。

「かなり砕けているけど頭蓋骨の頭頂部分?」

「そうだ。他の部分はない。ここにはこれしかない。だから警察に呼ばれた。猟奇事件というわけだが、これは違う。わかるか」

「ええと」


「捨てられたものだと思うか?」

「ええと。川からこちらに何か跡がついています」

「どうやってできた跡だと思う?」


「あ、動物か何かの足跡があります」

「指が五本の何か。前と後が五本指」

「ずるずると這って来て、ワニ?」

「ワニの後は五本指ではない」


「ではなんでしょうか?」

「知られていないものかワニの奇形だ。ただし、ワニは熱帯から亜熱帯に生息する」


 秡川がやって来た。修験者の装いである。

「さてどうするか」


「先生、その服は?その棒は?」

「服は宗形と同じようなものだ。宗形は巫女、俺は修験者。これは錫杖だ」


「あっちの忍者服に忍者刀のコスプレイヤーは?」

「よく見ろ」

「荒木田先生に榊原先生?」

「そうだ。忍者刀はよく切れる。本物だ」


 歌劇団の男役スターに修験者に忍者、それに天才。人生間違えてしまった、わかっていたら遠慮した。どおりで異動の手際がいいわけだと納得した高橋と宮川助教であった。


「とりあえず頭蓋骨の一部は法医に届けておいてくれ」

 秡川が警官に指示する。警官は敬礼して頭蓋骨の一部を回収して、運んでいった。

 本当に秡川は偉いんだと思った二人である。


 川を見ていた歌劇団の男役スターと忍者二人の三人がやって来た。どう見ても異様な集団である。ジリジリ下がる高橋と宮川。


「釣りだな」

 荒木田が意見を述べた。

「豚か」

 榊原である。

「そうだな。唐獅子に頼もう」


 秡川が愛ホンを取り出した。

「唐獅子か。ヘリで豚を一頭吊り下げて来てくれ。釣りの餌だ。生きていた方が食いつきがいいかもしれない。それと捕鯨砲があったら持って来てくれ。ロープがついた銛だけでもいい。それがなければ船のアンカーだ。釣り針代わりに投げて引っ掛ける。それから手榴弾。口の中に投げ込んでみよう。対象は10メートルくらいのワニ型異形を想定している。頼んだ。皆殺し愛子と銃オタも一緒に来てくれ」


 唐獅子に皆殺し愛子と銃オタと聞いて、やばそう、コスプレに続き昭和任侠映画の世界かとさらに後ろに下がる二人である。


「ヘリが来るまで休憩だな。お茶を淹れてもらおう」

 どこから出したかテーブルが出ていて、椅子が周りに並べてある。


「高橋と宮川もこっちに来い。まだ安全だ」

 恐る恐るテーブルに近づき椅子に座った。


 黒龍が稲本夫人を連れてやって来た。

「よろしくね。歓迎会は楽しかったわね」

「はい。よろしくお願いします」


 稲本夫人が手際よくお茶を淹れてくれた。警官には缶コーヒーを配っている。心配りの稲本夫人である。


「今日は天気がいいし、釣り日和ですね」

「はい。大物を狙っています」

 のんびり稲本夫人と秡川が会話している。

 稲本夫人はわかっているのだろうかと高橋と宮川。


「そちらのお二人は釣りが始まったら灰色車両の中にでも入っているといいですよ。流れ弾に当たるといけません。灰色車両は一応防弾ですが、下がってもらって逃げられるようにしておいた方がいいですよ」

 稲本夫人も十分にわかっていたと二人。


 二時間ほど世間話をしていると遠くからヘリの音が聞こえて来た。

「それじゃ、またね。お二人は山城稲荷神社に遊びに来てください。お待ちしています」

 稲本夫人は片付けをして黒龍と消えた。

「消えた」

 高橋と宮川は昨日の歓迎会の出席者は荻野と高橋、宮川、技術職員を除いてヒトではないと実感した。


 ヘリが二機飛来した。

 一機が着陸。吊り下げて来た太い鎖付きアンカーを岸辺に下ろした。中から迷彩服の兵が降りて来た。箱を運んでくる。


 一機は豚を吊り下げている。空中でホバーリング、三人飛び降りて来た。刀、小銃、拳銃を持っている。昨日の飲み会でニコニコしていたおばさん達であった。それがすぐ使えるような構えで武器を持っている。大変危ない。


「あの、灰色の車両に乗っています」

「ああそうしてくれ。用があれば呼ぶ」


 二人は灰色車両の中に入って息を殺して窓から外を見ている。

 灰色車両は向きを変え退避の体勢でエンジンはかかったままである。

 なお、運転手席は座席と完全に隔離され、運転手は二人体制である。

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