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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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107 荻野 異形入りカプセル発見を論文発表する

 荻野の異形入りカプセル発見についての論文が世界を驚かせる。


 丸いカプセルに入っている異形を南極で発見した。丸いカプセルを割ると丸まった異形の成体が出て来て、まわりの環境に合わせて変化する。

 異形が入っていたカプセルの殻の成分は地球外の成分を含んでいる。またカプセルの形状は真円球、カプセルは人工物の可能性が非常に高い。発見地点の近くには隕石が散乱している。

 このことから隕石にカプセルが付着し地球外から飛来したと推定される。意図的な行為であったと強く示唆される。


 そんなことが論文のAbstractに書いてある。Abstractだけで衝撃的である。


 荻野が論文に書かなかった事実がある。カプセルの中の機械である。この星では龍愛神と眷属だけが知っていればいいことだろう。そう思った。書いても全く証拠がないのも事実だ。


 もちろん荻野論文は捏造だと騒ぐ研究者がいる。

 だが、論文にはカプセルの発見地の詳細なデータと写真が掲載されていた。


 国連は発見地点を立ち入り制限区域にした。珍しく常任理事国も反対する国はなかった。各国のIGYO対策室は南極のその地点に押し寄せた。


 論文に示された地点に着き、雪原を掘ると隕石が広範囲に散乱していることが確認された。


 隕石に押しつぶされ割れたカプセルも発見された。カプセルの中には論文の通り成体の陸上型異形が入っていた。もちろん押しつぶされて絶命しそのままの状態で凍結していた。


 各国のIGYO対策室、大学等研究機関でカプセルの殻、死体の取り合いである。

 結局カプセルの殻は希望するIGYO対策室、大学等研究機関に配られることになった。少しずつ配ればいいので十分であった。


 隕石に押しつぶされた死体の方は揉めたが、死体を持っていない国から優先的に配ることにして解決した。部位は抽選、そして自分で切り取ることになった。獲得した箇所にメスの刃が立たず切り取れない国が続出した。日本の刀鍛冶に解剖用刃物を作ってもらった国がカット料をとってカットした。


 隕石に潰された異形入りカプセルの発見により荻野の論文捏造疑惑は払拭された。殻の分析により地球外物質を含んでいることも分かり隕石に付着して来たという説もほぼ証明された。


 荻野の所属、連絡先は論文では日本国異形等対策室としてあった。マスコミが押し寄せようとするが、警察庁の中である。立ち入りできない。地団駄踏んで、帝都大学に押し寄せる。こちらもガードが硬く、医学部棟の出入り口はガードマンが固めている。ここも立ち入りできない。荻野は医学部棟から出た様子がない。全く足取りがつかめない。

 ヘリが警察庁と帝都大学の上空を舞うばかりである。


 そのうち芸能人と政治家とマスコミ人の三つ巴の女衒、不倫、暴行、乱交大スキャンダルが発覚し、マスコミはそちらに総力を注いで荻野論文のことはワイドショーから忘れ去られ、警察庁と帝都大学周りは平穏を取り戻した。


 帝都大学はスター研究者を逃してなるものかと医学、生命科学関連、獣医学などの博士号を荻野に押し付けた。変わったところでは哲学博士号も押し付けられた。なんでも生命の起源の哲学的考察だそうだ。

 荻野博士の誕生である。そしてめでたく講師に昇格である。


 荻野の名誉のために言っておくが、今回の論文の前にも、地道に異形の血液相当物質の特定とその役割とか、細胞相当物質の発見とか、エネルギー代謝の仕組についての考察とか異形の解剖図とか異形を理解するための基本的な論文を書き続けている。マクロとミクロの両方から異形に迫っている。荻野の論文から他の研究者のいくつもの論文が生まれている。


 さらに隕石論文以後に、荻野は宗形に呼ばれた。電顕写真を渡された。


「試料は異形だ。調べれば面白い」

 なんだか見たことがある。なんだろう。

「ヒトからとった試料と思ってみろ」

 荻野の声が震える。

「こ、これはDNA」


「そうだ。綺麗すぎるDNAだ。自分でも調べてすぐ論文にしろ。私の名前は出すな」

「どうしてですか」


「私は人ではない。巫女だからな」

「そんな。発見者は先生です」


「たまに救急を手伝うくらいがちょうどいいんだ。私は龍愛と共に生きるものだ。ものは漢字の者ではなく平仮名だ」

「者でない?」

「そうだ。だから人の世の業績は不要だ」


「で、では本当に先生はヒトでない?」

「そうだ。公表はしていないが。祓川、荒木田、榊原も同じだ」


「うえええ、それじゃ法医にはヒトがいない・・・」

「お前さんをのぞいたらヒトはいない」

「舞さんやルーシーさんは」

「もちろんヒトではない」


「どうしよう」

「心配するな。異世界からの侵略者ではない。この星の神の龍愛の眷属だ」


「うへ。ははああ」

「これ、そんな平伏はしなくていい。今まで通りで良い」

「いや、薄々そうとは思ってはいても直に聞いてしまったので中々難しいです」


「そうか。でも特に今までもヒトと変わったことはなかったろう」

「いや、化け物と変人とデビルと思っていました。舞さんとルーシーさんはデビルチルドレン」


「それでいい。誰が聞いても納得するだろう。余計なことを考えずに済むだろう」

「それでよければ」

「そうしてくれ」

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