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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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103 宗形の休日 (1)

 暇だ。

 暇だ。

 暇だ。


 龍愛直属の唯一の巫女には休みがない。休みはなくて当たり前で休まずに過ごしてきた。病院勤めのときも休みはないようなものだったから違和感はなかった。


 ところが、神様と朱様が来た時、たまには休みなさいと言われてしまって、強制的に休みを取らされた。


 異形討伐の受付は江梨子さんが来てやってくれる。巫女舞は舞が引き受けてくれた。


 病院に行って救急を手伝うか。それでは休みにならない。

 ううむ。暇だ。


 龍愛がやってきた。

「宗形のお姉ちゃん、ホーク龍とホーク愛の訓練に行こう」

 龍愛は、宗形マネージャーのご機嫌をとることを覚えた。呼び名は宗形のお姉ちゃんである。


「そうするか」

 休日だかわからなくなってきたが、暇よりいい。


「行ってらっしゃい」

 江梨子夫人に送られて、龍愛はポニーに乗って宗形、黒龍を連れて上空で大きくなったホーク愛の上に転移した。黄龍は留守番である。


 ホーク龍とホーク愛はドラちゃんとドラニちゃんに訓練してもらったから、羽ばたかず飛ぶことができるようになった。高空へ上昇していくホーク龍とホーク愛。バリアも張れる。


 高空にはドラちゃんとドラニちゃんが待っていた。

「南極まで行くよ。何かいるみたいだよ」

「わかったー。ホーク龍、ホーク愛、南に向かってフルスピードだ」


 ドラちゃんとドラニちゃんが先導していく。

 ほとんど転移だ。

 あっという間に南極の上空に着いた。


「あ、ペンギンを襲っている奴がいる。ホーク龍、異形を掴んで、ペンギンから離れたところに移動させて」

 ホーク龍が急降下して白い四つ足異形を掴んで数キロ離れたところに放りだした。


 宗形がバイクに乗ってこちらも急降下して、異形にアタックした。棒を取り出して首を落として討伐完了。秡川に連絡して、黒龍が自衛隊の異形倉庫に転移させた。


 ドラちゃんが呼んでいる。宗形は雪原をバイクで飛ばして行く。ヤッホーという声が聞こえそうである。


 ドラちゃんとドラニちゃんのもとにみんな着いた。


 ドラちゃんが見つけたものを見て龍愛。

「なんだ、こりゃあ。60年前に空から降ってきた石にくっついていたやつだ」


 まん丸の卵のようなものだ。いくつか転がっている。


「隕石があるだろう。探そう」

 黒龍が少し離れたところの雪を掘り出す。ワンワン吠えた。

 宗形が行くと地面に石が転がっている。隕石らしい。


「これにくっついて来て地面にぶつかってコロコロと転がったということだろう」


「割ってみよう」


 宗形が棒を取り出し軽く叩いた。

「丈夫だな」

 だんだん力を入れて行く。何回か叩くと丸いものが割れた。

 中から出てきたのは丸くなった異形の成体だ。死んでいた。


「死んでいる」

「これは初めてだな。祓川を呼ぼう。黒龍、祓川と手下を連れてきて」


 黒龍が転移して行く。

 すぐ祓川と荒木田、榊原を連れてきた。


「なんだ」

「異形の卵のようなものを見つけた。近くに隕石らしいのがある。卵のようなものを一つ割ったら死んだ異形が出て来た。初めて異形の出現の謎がわかる可能性がある。次のを割るが見ていてくれ」


「ちょっと待て、俺のところの助教を呼ぼう。奴は異形の論文を書いて着々と業績を増やしている。これも書かせよう。博士論文になるだろう」

「親切ね」


「法医は慢性的に人材不足だ。俺のところも准教授が辞めてしまってな。荒木田と榊原に穴埋めしてもらっているが、奴に出世して貰えば俺が楽になる」

「ああ、そっちの方か」

「奴も出世、俺も荒木田と榊原も楽になる。一石二鳥だ」


「それで准教授はどうして辞めた?」

「どうも異形に付き合い切れないみたいだ」

 宗形はお前に付き合い切れないのだろうと思った。


「助教はどうやって法医に入れた?」

「優秀な子だったので学生時代から目をつけておいてだ、今は法医は人がいないから、すぐ後輩が入って楽になると言ったら入ってくれた」


「だいぶ騙したようね」

「騙したわけではないが欠員があるので採用しようとしたら次々と断られてな。彼女はいつも新人だ。めんどうは見ているぞ。この卵で博士論文だ」


「動機が不純だが、黒龍、呼んできて。この頃転職サイトを見なくなったお姉ちゃんだよ」

 黒龍が消えてすぐ助教を連れて来た。


「ここはどこ。寒い。ハックション」

「ここは南極だ」

「あれいつもいない化け物教授とプロレスごっこの変人荒木田と榊原。それにデビル宗形」

 心の声がそのまま出て来たようだ。


「おい、夢ではないぞ」

「あれ、教授、お久しぶりです。それに荒木田、榊原、宗形先輩どうしたんですか。ハックション。風邪かな」

「ここは南極だ。風邪のウイルスはいない。寒冷刺激だろう」

「うう、寒い。そちらの方は、龍愛様?」


「そうよ。龍愛よ。神様よ」

「祓川、荒木田、榊原、宗形がいつもお世話になっております」


「お、なかなかいい子だ。バリアを張ってやろう。寒くないぞ」

 龍愛は言われたことのないお世辞にご機嫌だ。


「荻野、異形の卵らしい。くっついて来たと思われる隕石も近くにある。卵を一つ割ったら成体の死体が出て来た。もう一つ割るから見ていろ。論文に書け」


「医学部の法医学なんですが」

「人間の死体はいつも解剖しているだろう。そんなものは珍しくもない。これは珍しい。世界で初めてだ。NatureかScienceの表紙を飾れるぞ」


「それはそうですが。私は医師なんですけど」

「いまは学際的な研究が求められている。法医という狭い領域に閉じこもるな。それに臨床がやりたければ、宗形が救急に来た時に一緒にやればいい」

「えええ、デビル宗形と言われていて同僚医師が自信を無くしてしまうという噂です」


「それじゃ、舞とルーシーと一緒にやるか」

「デビルチルドレンと言われていて敬遠されています」


「そうか、そうか。それでは法医に励むようだな」


「私はそんなにひどくない。患者第一に丁寧に診療しているだけだ」


「患者が助かるのは事実ですが、周りが死屍累々」

「・・・」

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