地蜂せんべい
本作品は、しいな ここみ様ご主催の「500文字小説企画」の参加作品です。
また、武 頼庵様ご主催の「24秋特別企画 秋の収穫祭!! 味覚祭り!!」企画の参加作品です。
新聞部に所属する私は2年生の女子高生。
「食欲の秋」ということで、次号で特集を掲載する事となった。
特集を任されるのは初めてだから頑張らなければ、と決意した。
秋の食べ物といえば、パッと思いつくのは「松茸」「秋刀魚」個人的に好きなのは「栗ごはん」だ。
編集長である部長にその事を伝えると、「インパクトがない」と却下された。
日本には珍しい食べ物は沢山ある。と思う。
でも珍しい食べ物に必ずしも「インパクト」があるとは限らない。
「へぇ〜」っとなるだけだ。
それで、ネットで調べてみるとインパクトがある食べ物はすぐに見つかった。
『地蜂せんべい』
驚くべきことに、クロスズメバチを焼き込んだせんべいである。
粉々にして生地に練り込んだわけじゃない。
黒い成虫がそのままの姿で顔を出しているのだ。
産地は長野県の大町市。
このせんべいの開発者は大町市の大町地蜂愛好会の会長である。
せんべいをきっかけに大町をPRするということだ。
売れないと誰しもが思ったそうだが、これがまさかの大ヒット。
さすが食の冒険者である日本人、と言う事だろう。
「秋」とは関係ないが、「インパクト」はある。絶対に。
さっそく部長に報告した。
「食べてきて」
は?
おわり
お読み頂き、ありがとうございました。