表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/105

第94話 信吾のホラー体験

 武器を新調してウキウキしながら一行は車に乗り、空を飛行する。


 信吾の予定通り新潟を観光する。志保は嬉々としてスマホで写真を撮りまくっている。それについていく雄也。

 実に楽しそうである。


 信吾も基本はトワとクモスケと行動して観光を楽しんでいた。

 行きたかった所を周りつつ空から見て興味がそそられる所は一通り見て廻った。

 最後に宿に泊まるため三国街道の塩沢宿牧之通りへと向かう。


 比較的綺麗で古風な、いかにも老舗といった雰囲気の宿に入る。

 早速風呂に入る為、準備する。


 それから宿も満喫して、一同は寝る支度をする。

 布団に入り寝ようかと思うがなかなか寝れない信吾。

 暫く布団の中でモゾモゾしていると、部屋の隅からガタッと音がした。

 ビックリして気配察知をフルに使うが仲間以外の気配は感じない。薄暗い中、目を凝らすも何も見えない。

 するとまた何もない所でガタガタガタッと音がした。


 様子がおかしく思い身体を起こす。

 フッと後ろを何かが通った。咄嗟に振り向くと青白い炎が一瞬見えた。

 鳥肌が一瞬で全身を駆け巡る。


 仲間の皆は静かな寝息を立てて寝ている。

 皆を起こすまいと口に手を当ててゆっくりと落ち着く。


 深呼吸をしながら辺りを見渡す信吾。

 ふと耳元で低い声で唸り声が聞こえた。

「うううううぅーー出ていけぇここから出ていけぇー」

 震えた声で唸る声に咄嗟にその声の方向を向いた。


 そこには三つ目の生首だけがこちらを見て浮かんでいた。

「!!!っうわぁあぁあぁー!!」

 驚いて声を上げる信吾は思わず後ろに後退った。

 後退った先にトワが寝ていた。ぶつかった反動で起きてしまったトワは寝ぼけ眼で周りを見渡す。


「うーん、、ん?なんだ?」

何かに気付いたトワが続けて言う。


「お前、妖怪だな?それも低級?」

 と、トワが言いながら志保を起こす。

 志保の中にいたイズナが異変を感じてすぐさまイズナに変わった。信吾は雄也を起こしている。


「雄也雄也ゆーや!出た出た出た出た!オバケオバケオバケ!南無阿弥陀!成仏しなっせー!」

「うーん、うるさいですよ、落ち着いて下さい信吾さん」

 信吾の取り乱し方に逆に冷静に起きた雄也。


 イズナも起きて周りを確認する。

 トワが低級の妖怪を指さして聞く。

「あいつ、知ってる?」

 するとイズナが口を開く

「ふーむ、お前のその妖気、見上げ入道かな?何故頭だけなのか知らんが、なんの用だ?」

 顎に手を当てて見上げ入道に問う。


「出ていけぇー出ていけぇー」

 見上げ入道はそう言いながら仲間らしき妖怪を呼んだ。

 見ると狸が壁をすり抜けて四方八方取り囲む。

むじなか、下級と言うか、低級妖怪だな、数に物を言わせたか」

 物知りなイズナが言うとトワも参戦する。


「じゃ。妖怪退治と行こうか、夜な夜な寝てる所を邪魔してからに、覚悟しぃや!きゅうきゅうにょりつ!」


 トワが手のひらを上に向けて青白い炎が顕現する。

 それが広がり、信吾と雄也を包み込む。

 陰陽師の結界である。妖怪にはもう信吾と雄也に手は出せなくなった。


 すると今度は見上げ入道が何やら唱えている。すると幻術なのか、今までいた場所、すなわち宿の中にいたのが一瞬で外に出た。


 実際は外ではないが、周りが見上げ入道と貉の有利なフィールドとなった。


「キィいいぃやああああァァァ」

見上げ入道の叫び声というか、悲鳴にも似た威嚇がこだまする。


 その瞬間貉が襲いかかってきた、数に物を言わせた攻撃は不利かと思われたが、トワとイズナには全く通用しない。一体一体丁寧に妖術の風の刃と長ドスで退治するイズナ。


「うるさっ!やたら騒ぎやがって、このオタンコナスめ!くらえ!おんさんばら そわか!おんばざらーそわか!」

 トワも妖術ではなく、敢えて陰陽術を使って貉を退治する。

「久しぶりすぎて自信なかったけど、案外行けるもんだな、結界も消滅も」

「トワ姉さん、オタンコナスってなんすか?」

「オタンコナスはオタンコナスだよ」

「そうですか」


「ギィィヤアァァァァァァァァァあああ」

「ほんっとうるさいな、近所迷惑も甚だしい」

「ここまで来ると嫌がらせ以外の何者でもないな」

 と、トワとイズナは軽口を叩きながら殲滅していく。


 すると見上げ入道が一瞬消えたかと思ったらトワの真上から降ってきた。咄嗟に両手を上げて支えるトワ。

 だが見上げ入道は思った以上に重かった。

 更に頭だけだが、見上げ入道はどんどんと大きくなっていく。と、同時に重さが倍増していく。どうやら子泣きじじい的な重くなる妖術らしく、押しつぶしを目的とした攻撃である。


「ヤバい、ちょっと信吾か、誰か?なんとか出来ないか?このままだと押しつぶされる、、けど潰されたところで死にはしないけどねっ!」


 と言いながらプルプルしだした。

 信吾が近付いて

「おい!トワの姉さん大丈夫か?」

「出来れば急いでもらいたい、これを、何とかっ、、」

 更に大きくなる見上げ入道、支えるトワの足元の地面がへこみだす。


「オッケー分かった」

 何やら立ち位置を決める信吾、両隣にイズナと雄也を従えて口を開く。


「よくも驚かせてくれましたね!あなたの所業はとても看過できるものではありませぬ、よーくよく反省し、悔い改めなさい!イズさん!雄さん!こらしめてやりなさ、、、、」

「急げっつってんだろ!ヴォケカスダボ!はよいのかんかいおんどりゃー!かちまあすど!」

 言い終わるタイミングで被せ気味に怒鳴るトワ


「ファッ!?」

 ビクっとした信吾はヤバいと思い片手を上げて重力魔法を行使する。

ヤバいと思ったのは見上げ入道の重さではなく、トワの迫力にヤバいと反射的に思ったのだ。


 信吾の重力魔法で見上げ入道はどんどん重さが減少して、大きさは変わらずだが重さだけが減っていく。


「よしっ!こんなもんかな?雄也、思いっきり蹴っ飛ばせ!サッカーボールの様に」


「分っかりましたー」

 気のない返事をしながら助走をつけてジャンプからの

「スーパードライビングシューーートッ!!」

 ドガッと音がして物凄い勢いで何処かへすっ飛んで行った。


 トワが肩の力を抜いた。

「おい!なかなか面白い事をしてくれるじゃないか、うん?信吾君?」

「茶目っ気っすよトワの姉さん。それよりさっきのどこの言葉?」

「西の方言だ、長年生きてると方言なんてのはいつのまにか覚えてるもんだ」

「さすがっすねトワの姉さん!カッコいい!頭いい!」

「ふっふっふ、そうだろうそうだろう、もっと褒めてもいいんだぞ、信吾ちゃん」

トワの怒りも和んだ所でイズナが口を開く。

「姉さん、そんなこと言ってる場合じゃないぞ、信吾もトワの姉さんチョロいぜ、とか思ってないで、まだタヌキ共がいるけどどうする?」

 イズナが言うと雄也と信吾とトワも臨戦態勢となる。


 勝ち目の無い貉達は一目散に逃げて行った。

 その瞬間に辺りの景色がもとに戻り宿の中に戻った様だ。



「そう言えばクモスケは?」

 信吾が周りを見渡す。すると気持ち良さそうに布団に包まって寝ていた。

 先日信吾と添い寝してからは糸のハンモックでは寝ずに、信吾と寝ることにしたクモスケ。


「この騒がしさの中起きないって、大物ですね」

 と雄也が言った。


「布団が気持ちいいんだろうよ、まぁ片付いたからさっさと寝よ寝よ」

「ですね」


 再び床につくと今度はすんなりと眠りに付いた信吾であった。


  ________



 朝になり出発の時間となった。

 地図を広げて高速道路を確認する。

「ここから関越自動車道に入ってひたすら真っ直ぐに行くと、雄也の実家の近くまで行ける、ここだな」

 地図を指差しながら言う信吾

「そこから東京観光をする感じですかね?」

 志保が地図を確認しながら聞く


「いや、もう東京には見る様な所は残っていない。高い建物は全て跡形もなく消滅しているからな」

「えっ?」

 絶句する志保


「うん、ルシファー勢力の何者かが結界を壊すために手当たり次第高い建物とか、有名どころの神社を破壊していったからな、それで結界が壊れて隠れ婆さんとか色んな妖怪達が復活した、トワもその流れだ。ってかトワはズルしたっぽいけどな、卵に魂を移動させて転生みたいな事をね。まぁそれはいいとして、酒呑童子と茨木童子も結界に封印されていたはずなんだけどね」


 なるほどと納得している志保。

「えっとイズナは酒呑童子達が出てくるのが早すぎると言ってますけど、どう思いますか?」


 志保の疑問に信吾は答える。

「まぁ、考えられるのはルシファー勢力の何者か、いや、この場合はマモンだろうな、何らかの方法で無理矢理復活させたんじゃないかな、例えば下級妖怪達を捕まえて生け贄とかね、あ、あくまで推測よ推測」


 頷く志保、それに雄也が答える。

「隠れ婆さんや座敷わらしが逃げていたのもそういうことなのかもしれませんね、で、運良く信吾さんが保護したと」

「大体そんな感じかな、志保ちゃん、オケ?」


 頷く志保。


「まぁ、逆に低い建物ならあるかもね、適当に周ってみるのもいいかもね」

 そんな会話をしながら移動を開始する信吾達であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ