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第93話 武器の新調

 時間はすでにお昼前となっていた。

信吾達は東京方面に向かうべく移動手段を考える。


 その前に信吾は空中に浮かび上がり明るくなった函館の街を見下ろした。

「あちゃー、殆ど何もねぇや、地形が変わってたり、山が吹き飛ばされて無いだけましと思っておくか」

 呟きながら進行方向を確認する。


 昨日の戦いの余波で、と言っても殆どトワのブレスと斬撃だが、周りを数キロ程、大空襲でも受けた有り様になっていた。


 下に降りてきた信吾は皆に話し掛ける。

「派手に暴れた様で、トワの姉さん。でも地形が変わったり山が吹き飛んだりする攻撃じゃなくて安心したよ。そんな攻撃放ってたら地球に変わってお仕置きする所だからね、気を付けてね」


「はーい」

 元気のいい声が聞こえてきた。


 ***



 朝ご飯を食べ終わり、雄也の件、イジメの件が終わってからの会話はもっぱら昨日の戦いの反省会であった。重く受け止めていたトワと、クモスケと、雄也だが、信吾は特には言及はしなかった。ただ、クモスケには少し注意をしようとしたが、本人は反省もしているし、仲間割れ等の事に関しては強くは言わなかった。

 クモスケは自分の不注意で信吾を怪我させてしまったと、深く反省していた。

 後は今回の一番要となる相性について皆の理解を深めることにした。今一度自分達の得意不得意を認識しながら、今後に活かす様に話し合いがされた。

そんなこんなでずっと話しをしていた為、お昼になってしまっていた。


「さてと、では、出発しますか」

 信吾が大きめのSUVを出して皆で乗り込む。

 その場で車ごと浮き上がり風を起こして飛行する。


 志保がビックリして声を上げる。

「飛んで行くってそのまんまですか、、」

「そう、ヒューってやってヒョイーだよ、ヒューヒョイ」

 志保は、あっ、また家入さんが出た、と思い、苦笑しながら津軽海峡を眺める。


 一気に本州入りして、青森県の東にある海へ到着。そこから海沿いで南下して行き、常磐自動車道経由で東京入りする予定を立てた。


 車を止めた信吾は大きなあくびをした。

「志保ちゃん悪いんだけど運転代われる?眠くなっちゃった」


 一晩見張りをしていてろくに寝ていない信吾が言うと志保は快く了解した。


「適当に運転してくれて構わないからね、多少間違っても飛んで修正も出来るし、なによりだーれも走ってないから気は楽だし、ガソリンなくなったら適当にパーキング入れば車はいっぱいあるから」


 そう言って3列目シートで寝に入る信吾。


 それから数時間が経ち、ひたすら海沿いを進む。

 雑談しながらトワが志保に言う。

「運転代わろうか?てか運転してみたい」

「えっ?トワさん運転出来るんですか?」

「したこと無いけど見た感じそんなに難しくはなさそうだし?」

 そう言って恐る恐る代わる事にした志保。

 それからトワは少しずつ慣れていき、暫くすると、ヒャッハーと言いながらとばしまくる。


 更に時間が経ち、途中休憩してるときに雄也が志保に言う。

「今度は自分に教えてもらってもいいかな?運転」


 そんなこんなで、手取り足取りを志保から教わる雄也。

 オートマなので、すぐに運転出来るようになり、安全運転で運行中。


 そして、信吾が寝てから十二時間後。


「くあああーよく寝た」

 余程疲れていたのか、ぐっすりと寝た信吾は色々と確認する。

 今の時間と今の場所、運転手の状況。


 そして一言

「どうしてこうなった?」


 信吾の質問にトワが答える

「いや、気が付いたらここにいた、みたいな?的な?」


「気が付いたらって、ここってか、これ日本海だよね?俺達太平洋側走ってたんだよね?ん?ん?新潟?」


 目を丸くしながら言う信吾。

「てへっ」

「てへっじゃないよ、まぁでも急ぐ旅でも無いからゆっくりしますか」


 そう言って適当に高速を降りて海沿いのホテルに入る。

 スイートルームなのか一番広くて高い部屋に入る。


 入ってからすぐにお風呂の用意をしてそれぞれが入る。

 夜もふけているのですぐに寝に入る一行。


 皆は寝てしまったが、たくさん寝てしまった為眠れない信吾は、暇つぶしに志保の家から持ってきた武器を自分なりに改造することにした。


 ヒヒイロカネの素材はまだまだあるので、それを少しずつ加えていき、硬度を上げる。その強度はクモスケの本気の一撃でも耐えうる強度となるナックルダスターの刃付き。クモスケは暗殺者のイメージで暗器の短剣や、ダガー、クナイや手裏剣等を改造して作り上げた。


 次にフォルガイム用の大剣を新たに作り、従来の大剣とは強度が桁違いの代物が出来上がった。更に大槌も悪ノリで魔改造して作り上げた。重さは裕に3トンは有り、さすがのフォルガイムでも片手では持てないであろう一品。下手したら身体強化ありきの道具になり得る。

 機能も付けて、内容は魔力を流すことによって手元を離れても戻ってくる様にした。ようは超凶悪なブーメランということだ。横薙ぎにぶん投げる事によってブーメランのように円を描く様に飛んでいき、敵を殲滅した後に手元に戻ってくると言う。凶悪極まりない一品だ。


 調子に乗ってトワ用に鉤爪かぎづめを作ることにした。龍といえば爪だろうと思い、人の姿をしている時の武器を作る。


 強度はもちろんの事、何よりかっこよくしたかったので、外観の色を漆黒にして、甲の部分は複雑にトゲトゲを加えて甲でも殺傷能力を上げるようにした。見た目は凶悪に見える。だがカッコいい。それを両手分作り一息つく。


 まだ眠くならないので、と言うか、あまりの鉤爪のカッコよさに逆に興奮してしまい、寝るにはまだ時間が掛かりそうだった。

 なので、自分用の武器を作ることにした。あくまでもメインはヒヒイロカネのバットで十分なのだが、やはり信吾も拳銃が好きだし、日本刀も好きである。

 拳銃はコルトパイソンを取り出して志保のデザートイーグルの様に強度を上げる。威力も増す様に口径を広げつつ、反動を抑える改造をするが、そこは拳銃好きの拘りもあり、反動をそこそこにして、楽しむことにする。

 志保のデザートイーグルの様に魔力弾にしようと考えがよぎったが、よくよく考えれば御神木の実の種もなかったし、せっかくのコルトパイソンの為、弾を込める楽しみも取っておく事にする。

 なので、強化マグナム弾を大量に作る。何ともまた凶悪で、物騒な物が出来上がってしまった。さすがに自重無しで作った為、次に作る日本刀は少し控えめにする事にした。

 取り出したるは打刀うちがたなを一本。今までと同じ要領で強度を増して、切れ味も鋭くする。それだけに留める。

 それだけでも十分驚異的で脅威的ではあるが、信吾は気付いていない。

 鞘に収めた打刀をニヤニヤしながら眺める。

 そのまま鯉口こいくちを握りつばを親指で押しては戻すといった行動をする。


 カシャンカシャンカシャンカシャン


 何度も出し入れしてニヤニヤが止まらない。はたから見れば明らかにヤバい人で、お近付きにはなりたくない見た目となっている。


 日本刀をカシャンカシャンしながら新潟について調べることにする信吾。

 観光マップや観光ガイドを空間収納から取り出して調べる。

 それから数分してやっと眠くなってきた信吾はようやく眠りに付いた。


  ________


 朝になり朝食を取りながら本日の予定を話す信吾。


「今日は1日思いっきり観光したいと思いまーす」

 脳天気な声にトワが返す。

「観光?どこを見に行くの?」

 その質問にすぐさま返す。

「まず清津峡渓谷トンネル、苗名滝、燕温泉、いもり池、高龍神社、他にも博物館的なのがあれば見てみたいかな、で、最後には三国街道にある宿で一泊する感じで行こうと思う。ちなみに移動は基本車ごと飛んで行きます。なぜなら、空からの景観が素晴らしいらしいからね」


 雄也と志保は戸惑いながらも頷いた。

 クモスケとトワは嬉々としてワクワクしている。


 朝食を食べ終えてそれぞれが服や、装備を整えて準備をする。信吾は着ていたスーツは戦闘で汚れてしまった為、今日は着流しを着ることにした。江戸時代を思わせる浪人の様な出で立ちで、袴と、足には雪駄、左側の腰には刀、着流しの中はさらしを巻いているが、さらしの中にはコルトパイソンが入れられている。懐に入れるには少々ゴツいが信吾は気にしない。

 信吾は昔テレビで時代劇を見て子供ながらに憧れていたのがあった。

 基本は腕を袖に通さずに服の中に腕があり必要な時しか出さないようにする。それがカッコいいと思いそうする事にした。


 腰に差してある刀と、懐にしまった拳銃がめっちゃ気になって聞こうかどうしようか迷っている志保がいる。


 雄也もパッツンのスーツから、ゆったり着れる着流しにする事にした。信吾とは多少かぶるが、色違いと形状を変えてみることにした、信吾は濃い茶色で浪人の姿だが、雄也は薄い水色でどっちかと言うと役人のラフな格好と言った感じだ。それに羽織を羽織っている。


 他の皆はいつも通りの格好となっている。


 そんな皆を見渡して、信吾が口を開く。

「あと、昨日寝る前に暇だったから作った」

 そう言って空間収納からクモスケ用の武器を一式取り出して渡す。使い方を説明したらクモスケは暗器を理解したようで、暗器らしくいつでも取り出せるよう、かつ隠せるように自分の糸で収納的な機能を持つ服を作り身につける。無表情だが「ありがとう」と一言言う。どこか浮ついていて嬉しそうにしている。


 続いて雄也には新たな大剣と、魔改造した大槌を説明付きで渡す。

「重すぎますよ!」とか「凶悪すぎて使えませんよ」とか言っているが、しっかりとお礼を言った口元はニヤついていた。受け取り、すぐに収納袋に入れた。


「次はトワな」

 そう言ってお気に入りの鉤爪を取り出す。

 取り出して渡した瞬間トワが飛びついてきた。

「ありがとう、めっちゃ嬉しいわ」

 抱きつかれながら信吾は背中をポンポンしながら鉤爪について説明した。簡潔に

「ドラゴンクロー、そのまんまだけど人に向けちゃダメだからな」

 冗談をはさみつつ照れを隠す。


「志保ちゃんは左足にこれを」

 と言って改造コルトパイソンを渡す。

 自分のを作った後に、そう言えば志保ちゃんの左足が空いてたな、と思い、作っておいた。反動はあるもののある程度抑えてある代物で、志保にも扱える物となっている。マグナム弾も一応渡すが、基本的には今までのデザートイーグルの魔力弾をオススメする。マグナム弾を補充するのに時間がかかるので、どうしてもと言うなら撃ち終わっても、弾丸の補充はせずに、余裕が出るまではデザートイーグルに変えて使用するのを条件に渡した。弾を補充してる時が一番危険なのは火を見るより明らかで、そこを懸念しての条件だ。

 それを言われた志保は、内心で、弾の補充を1秒以内に出来るようになる事を目標に頑張ることにした。

 普通に考えたらそんな事は不可能だが、この世界に来てから周りを見てその非常識さになんだか出来る様な気がした志保だった。


 そして先程気になって聞こうかどうしようか迷っていた志保に信吾は説明する。信吾の打刀と、志保の長ドスとの性能の差を説明して、そこまで強度と切れ味は変わらないと。コルトパイソンについては、信吾の方が反動が大きい位しか変わらない事を説明した。


 拳銃と弾丸をそれぞれ受け取って深々と頭を下げて

「ありがとうございます。大切に使わせていただきます」

 と言った。

「堅いな、もっと気楽に接してよ、距離感じちゃうよそれじゃあ、もっとこう、いいんだよ、トワみたいに抱きついて来ても?」

 と両手を広げながら言い、ニヤリと雄也をチラ見する信吾。

「ちょっと何言ってるんですか?信吾さんはっ!おかしなことばっかりいってないで行きましょう行きましょう」

 あたふたしながらツッコミを入れる雄也と、あまり気にしていない志保が屈託のない笑顔で「ありがとうございます」と言った。抱きつきはしていない。

 しかしその笑顔で嬉しいというのが伝わってきて満足した信吾。ふいに肩に重さが生じる。 


 トワとクモスケが抱きついてきた。

「これか?これがええのんかー」とトワ

「信吾はこれされるのが好きなのか?」とクモスケ


 またよくわからない状況になり収集がつかなくなりそうなところを雄也が間に入る。


「そろそろ行きますよー」と


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