第九話 フラグ回収
ひとしきり喜んだ後でテンションが上がって、残りの缶詰も空間収納に入れて、「これじゃまるでファンタジー世界だな。身体能力の向上と言い5感、6感、7感の能力と言い、これでモンスターなんかが出てくれば完璧だな」
空間能力が第7感かどうかはわからないが、見事にフラグを立ててしまった事に本人は気付いてはいない。クモスケはあきれた様子で前足を振った。
すると案の定コンビニの屋根の上から危険を感知した、敵意や殺意と言った感覚が全身を駆け抜けとっさに身構える。
現れたのは体長1メートルを越える、
カマキリだ、
「カマキリ??カマキリってもっと小さいだろ!」
言い終えると同時に屋根の上から垂直の壁に逆さまに張り付きながら鎌を振り下ろしてきた。
ものすごいスピードで信吾の首を刈り取るかのように攻撃してきた!
身体能力の向上により動体視力も向上していて、鎌の動きがよく見えた。
危なげ無く身を屈めて鎌を回避しながら後ろに跳んで距離を取る、と巨大カマキリは壁に張り付いている足を蹴りながら、羽を広げて飛びながら突っ込んできた!
余裕をもって躱すとすぐさま鎌を連続で振ってきた!カマキリの動きを冷静に見ながら全てギリギリで躱す、が、信吾は攻撃に出れなかった。
なにしろでかくなったカマキリって気持ち悪くて素手で攻撃したくないって気持ちが脳裏をよぎってしまい、手が出せない状態に陥ってしまったのだ。避けながらも昔の事を思い出していた。昆虫などの虫を誤って潰してしまった時に黄色い体液がドロッと出てきたのとか、カマキリの中から寄生虫が出てきたのとか、、、。
そんなことを考えていた時に
ピタッとカマキリの動きが止まった。
よくみるとカマキリの足と鎌部分に細い糸が絡み付いて動けなくなっている、糸の元を辿ってみるとクモスケがコンビニの屋根の上から糸を出してカマキリを拘束して踏ん張っている、どうやら力は同じぐらいで今にも均衡が崩れそうに押し合い圧し合いしていた。
「ナイスだクモスケ!!」
叫びながらカマキリの頭目掛けて刈り取るように蹴りを放った、思い切りだ。
ちなみにカマキリの首は極端に細く脆い、体液もあまり出ない。
力の加減なしで放った蹴りはものすごいスピードでカマキリの首を刈り取り吹き飛ばした、大リーガーのホームランかってくらい数百メートルどこかに飛んで行き見えなくなった。残った胴体はズズンと音を立てて崩れて動かなくなった。