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第88話 函館山と新たな刺客

 朝になり、旅の準備を済ませて外に出た信吾達。

 もちろん朝のトレーニングは欠かさない。


 トレーニング後、スーツに着替えた信吾とチャイナドレスを着たトワ、全身鎧のフォルガイム、いつも通りの格好のクモスケと長ドスを背負って足には銃を携えている志保達一行が門を出る。

 客観的に見たら絶対に近づきたくないと思える一団だ。



 移動は、一気に隠れ婆の所に転移してもいいかとも思ったが、クモスケとの二人旅を思い出した信吾は東京までは観光がてら車で行くことにした。


「悪いね俺のワガママ聞いてもらっちゃって」

「いえ、大丈夫です。皆で楽しく旅行みたいでワクワクします」

「アタイもこういうの嫌いじゃないよ」


 ハイエースを運転しながらの信吾の言葉に志保とトワが答える。

 ちなみに助手席にはクモスケ、2列目シートにはトワと志保。3列目シートにはフォルガイムが一人で座っている。


 ひたすら南へ走っているとチラホラと巨大化したアリやトンボ、蜘など強い気配は感じるが襲ってこないのでスルーをする。

 すると志保が信吾に問いかける

「あの、信吾さん、巨大化した化け物とかって退治したりはしないんですか?」

「ん?あぁ、襲ってきたら迎え討つけど、敢えてこっちから仕掛けたりしないよ」

「そうなんですね」

 少し不安そうにしている志保に説明する


「この辺に人がいて危険があるなら討伐しなきゃだけどそんな事もないし、特に害はないだろ?今の所は」


「確かにそうですね」

 納得した志保は頷いた。


「でも志保ちゃんって銃とか撃ってるとき人が変わったようになるよね?なんか頼りになるって言うか自信に溢れてて、言っちゃ何だけど嬉々として撃ってる感があるよね」

 信吾が言うと恥ずかしそうに俯いてから

「その、狙撃とかには自信があります、はい」

 と言った。


「いいんじゃない?例えば鹿とか熊とかの間引きとかって賛否両論あるけどさ、いたずらに殺処分するのはダメだけど、増えすぎると人に危険が及んだり、害があったりするじゃん?それをどこかの団体さんは可哀想とか酷いとかって言ってるけど、襲われたり田畑を荒らされたりした本人からすれば、生死に関わってくるからね、そんな時は志保ちゃんが活躍してくれればいいんだよ」

 と、信吾が少しフォローする。


 それにフォルガイムが信吾に聞き返す

「襲われたり、田畑を荒らされたり、なんてことには無縁で、殺すのはダメだって言ってることに対してはどう思います?」


「んーそうだな、、ぶっちゃけ内情は詳しくは知らないけど、、、今しか見てない?先を見てない感じかな?例えば鹿とか、熊がアホみたいに増えまくってってなった時、考えられるのはやっぱり被害だよね、最悪な状況になって責任がどうのこうのってなって、やっと動き出したんじゃ遅いんだよね、、まぁ表面上でしか分からないけど、何か手があるのかもしれないしね、なんとも言えないよ」


信吾の考えにまたフォルガイムが質問する。

「団体の人達は保護するって言うらしいですけど?」


すかさず答える信吾。


「保護自体はいいと思うよ、只どこで、どうやって、誰がって事かな、増えすぎたのを全部保護するとなるとお金だって場所だって必要になる訳だし、、まぁ、そこをクリアしないとって思うけど、あくまで俺の推測でしか無いから対応策はあるのかもしれないけどな、逆に異世界に来て冒険者ギルドってのはそこら辺のイザコザを解決してくれる組織かもな」


「なるほど、異世界の冒険者ギルドとかってそのモンスターバージョンって事ですね」

「まぁ、そんな感じかな、、、まぁ中世のヨーロッパなんかでは普通に色んなギルドがあったっぽいけどな、商業ギルドとか?詳細までは分からないけど、まぁ、利権がうんぬんカンヌンとかって話しだったかな?よくわからん」


 そんな話しをしつつ一行は北海道の函館に到着した。

 観光がてら一行は函館山に向かう事にした。

 山の天辺から景色を眺めると、そこには日本とは思えないような建物がいっぱいあり、はじめて来た信吾は驚きを隠せない。

 志保は道民なので、分かることを説明しつつガイドをする。


「いやー来てよかったよ、素晴らしい景色とのどかな雰囲気がいいよね」

 信吾が笑顔で言う。

 とフォルガイムも大きく頷いた。


「楽しんでもらえて、道民としては嬉しいです」

 志保はニコニコしながら答える。


 近くの公園で軽くサンドイッチやオニギリを食べながら話しをする。


 信吾は食べながら地図を広げる。


「この後だけど、ここの立待岬ってところから飛んで本州に行く予定だからそれまでは案内宜しくね志保ちゃん」

「わかりました、、って、飛んで行くってどうやってですか?トンネルは?」

 首を傾げながら聞く


「車でヒューってやって、津軽海峡を見ながらヒョイーだね、ヒューヒョイー、わかるかな?」


 志保は益々意味が分からなくなるが、「信吾さんだから」と無理矢理納得して頷いた。


 話をしているとクモスケ、フォルガイム、トワがピクリと身体を震わせた


 信吾も眉間にシワを寄せながらその発生源の敵意の正体に目を向ける。


 目を向けた先には空を飛びながら向かってくる何か。


 パッと見50体位のガーゴイルと、そのガーゴイルを率いる頭がカラスの様な人型の何かと、その両脇にいるゴツい鬼と妖艶な鬼。


 両脇の一体は真っ赤な体で緑の頭髪、頭には二本の角が生えている。

 もう一体は青白い体で長い銀色の頭髪が妖艶さを醸し出している、角が一本といった特徴。


 禍々しいオーラを放ち近づいてくる。


「あ、あれは、なんかヤバそうっすね」

 フォルガイムが言うと信吾がかえす

「函館山に観光に来たんじゃないか?」

「んなワケないでしょ」


 フォルガイムが突っ込んだ時、30メートル先に降りて来たカラス頭が喋った。


「我はマモン、貴様ら下等生物共に朗報だ、我の配下となる事を許そう。否は認めない」

 その発言に信吾は辺りをキョロキョロ見回す。

「あなたですよっ!こんなときにボケないでくださいよっ!」

 と小声で突っ込むフォルガイム


 気を取り直してマモンを見据えて信吾が答える

「ルシファーの配下のマモンか、強欲と言われるだけあって理不尽な要求だな、断ったら?」

「貴様の命をいただく、と言いたいところだが、四肢を奪い、生かさず殺さず、貴様の全てを、何もかも奪うとしようか、そう、何もかも全て」

 カラス顔で恍惚の表情を浮かべている。


 そんな表情を見た信吾は苦い顔をしながら言う。


「悪趣味だな、しかし、断ったら四肢をもがれちゃうんなら抵抗するしかないよな」

 チラッと皆をみるとすでに臨戦態勢となっている


 クモスケとトワは無手で、フォルガイムは大剣を担いで信吾の前に立つ。志保は信吾の隣で銃を構える。


 ふと何かに気付いたトワが口を開く 


「お前、酒呑童子か?でそっちの一本角が茨木童子だろ?」

 二本角の酒呑童子がニヤリと口端を上げて答える


「その妖気、古に伝え聞く古龍か、、」

 それだけ言って沈黙する酒呑童子。


 一瞬トワに興味を示した反応を見せたが、すぐに興味を無くしたといった感じで信吾を見据えた。


 さて、どうしたもんかと作戦を考えながら信吾が小声で尋ねる。


「俺の見立てだと実力で言えば、クモスケ、フォルガイム、トワの3人はマモンと、酒呑童子、茨木童子の上を行ってると思う。だけど俺と志保ちゃんは確実に実力不足ってところだけどどうだ?トワ?」

 急に振られたトワは目を泳がせながら答える


「ん~~まぁ、確かにそんな感じ?みたいな?」


「まぁ、分かってるからそんな気を使うなって、で、だ、皆には前衛として前に出てもらって、俺と志保ちゃんは後衛としてガーゴイルを遠距離から攻撃しながら3人を援護する、でどうだ?志保ちゃん行けるか?」


 皆に話し掛け、最後に志保に視線を向けて言う。

 志保は緊張しながらも決意を持った目で頷き返す。


 クモスケとフォルガイムも頷き、トワは「志保ちゃんの事頼むな」と言ってからマモンを見据える。


「そうと決まれば先制で行かせてもらうぜ」


 と言って信吾は空間収納からヒヒイロカネのバットを取り出して頭上に突き上げる。ヒヒイロカネのバットを媒体とした魔力が渦を巻きながら形を作る。

 魔力を込めて行くと上空には直径30センチ位の火球を生成。着弾と同時に爆発性を持たせた火球をマモンの後ろに控えているガーゴイル目掛けて落っことす。


 ドンッ!と音と共に爆発し、爆風が衝撃波となってガーゴイルを襲う。巻き込まれたのは近くにいた3体のみ。

 軽い挨拶程度で成果は期待していなかったが、結果は上々。


 砂煙が落ち着いたと同時にクモスケとフォルガイムが突撃する。


 クモスケは酒呑童子、フォルガイムは茨木童子と対峙する。

 トワは残ったマモンに警戒しながら近づいて行くとガーゴイルが襲いかかってくる。


 それを見ていた信吾は土魔法で杭を作り放つ。ガーゴイルは腹に大きな風穴を開けて倒れ伏す。

 志保も確実にガーゴイルの眉間を狙って殲滅していく。


 そんな中マモンはトワに話し掛ける。

「愚か者め!戯け者め!我に歯向かうなどと身の程をわきまえろ虫けら共!虫けらは虫けららしく我に従っていればよいのだ!」

 マモンの怒りに冷静に返すトワ


「あんまり喋らないでもらっていいかな、お前が喋るだけでここら一体の品位が落ちる、あ、お前カラスだったか、ならそこら辺のゴミでも漁って大人しく食ってろ」

 そのトワの煽りに更に激昂するマモン


「貴様あああ~殺す殺す殺す殺すーー」


 怒り狂ったマモンは死神が持っているようなデスサイズの大釜を虚空から取り出して横薙ぎに振るう


 大振りに振られたデスサイズを体制を低くして難なく避けたトワは、ガラ空きの脇腹に回し蹴りを叩き込む


 ズガッと音と共に吹っ飛んでいったマモンは道路脇にあった電柱に激突した。

 マモンがぶつかった電柱は折れてトワの方に倒れてくる。その電柱を両手で掴んだトワは電線もろとも持ち上げ上段からマモンに向けて叩き込む。


 体制を立て直したマモンは咄嗟に上空に飛翔して電柱を回避した。


 回避されたトワは舌打ちをしながら周りを見渡すと、ガーゴイルがトワを囲んでいた。


 一斉に襲いかかってくるガーゴイルに持っていた電柱を横に持ちグルリと一回転して薙ぎ払う。そのままグルグルと回転力を増してハンマー投げの要領で電柱をマモンに向かって放り投げた。


 慌ててかわすマモン。


 トワは拍子抜けといった感じでマモンを見据えながら上空から降りてくるのを腕を組みながら待っている。


 地上に戻ってきたマモンは怒りに震えながら口を開く


「き、貴様あああ~よくもよくも、、」

 何やら我を失っているマモンに喋らせまいと被せ気味にトワが口を挟む

「あー、怒ってるとこ悪いけど拍子抜けだよ、弱すぎて、こんなに弱いとは思わなかったよ。最後に言いたいことあるか?今からお前の首を跳ねるけど」


 その言葉に逆に冷静になったのかマモンは無言で両手を広げた。


「ん?お手上げか?悪いけど命乞いは意味が無いぞ」

 とトワが言うと


 何やらマモンは呟いた


「サモンゲート」

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