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第87話 ファッションショー

 お風呂から出てまったりとしている信吾とフォルガイム。今は女性陣が入っているのをリビングでコーヒー牛乳を飲みながら二人で雑談をして待っている。


「フォルガイムさ、人間の姿になれるんだよな?ならないのか?」

「なれるっぽいですけどね、今はならないですよ」

「なんでだ?」

「服が無いからです。まぁ他にも理由はありますけど」

「なるほどね、今戻ったら全裸になるからってことか」

「まぁ、そうなりますね」

「他の理由は?」

「多分ですけど、弱体化しますね。当たり前なんでしょうけど、、でもこんな世界でいつ何が起こるかわからないのに無責任に弱くなってられませんよ」

「ふーん」

「ふーんって信吾さん」

 そっけない信吾の返事に若干不機嫌に突っ込みを入れるフォルガイム

「危険を感じたり、敵がいるようなところならまだしも、こんな安全な所でその心配は不要だと思うけどな、ましてや俺やクモスケ、トワもいるんだぞ?」

「うっ、確かに」

「だろ?それに服なら俺の空間収納にいくらでもあるし、それもわかってただろ?志保ちゃんに男物の服があるか聞いてみるとかさ」

「うう、、」

 と呻くフォルガイム

「他にも理由はありそうだな、、うーん、自分の容姿に自身がないとか?後は、、」

「あああ~もう!信吾さんは何で人の心を読めるんですか?そういう魔法かなんかですか?もうそれ以上は勘弁してください〰」

 頭を抱えて項垂れるフォルガイムを見る信吾


「あぁ、悪い悪い、まぁ本人が嫌なら無理強いはしないさ、悪かったなフォルガイム」

 信吾はフォルガイム、元の名前の【二葉 雄也】の過去に何らかの嫌悪があり、その心の奥深くにある何かに土足で踏み入れてしまったと思い、申し訳無く思ったのだ。


 フォルガイムは、はぁーっと深いため息をはいた。


 と、そんな話をしているとあっという間に時間は過ぎていくが、なかなか出てこない女性陣にちょっと心配になっているフォルガイム。

 ソワソワしだしたフォルガイムに信吾は「大丈夫だから落ち着け」と諌める。


 それから更に十分程でやっと女性陣がリビングに入ってきた。

 クモスケがいつも通り自分の糸で簡単な服を作り、志保から借りたであろう白のハーフパンツと白のフード付きジップアップパーカーを羽織っている。

 次にトワがクモスケの後ろから現れる。


 その姿は赤を基調とした浴衣で、帯は黒、柄は薄い赤と、白と、薄いピンクの花の模様があり、何より目を引かれたのは膝上5センチ位のミニスカートになっていた。

 ちなみに髪は黒髪で後ろにアップされている。髪形、髪色、長さは自由に変えられるらしくさすが古龍といったところだろう


「ふふっ、どうよーー似合う?」

 袖をフリフリさせながら言うトワに信吾は答える。

「いいんだけど却下」

「えっ!?なんで?」

「めっちゃ似合ってるしめっちゃかわいいんだけど、それじゃ戦えないし、旅もできないだろ?せめてミニスカじゃなければいいけど」

 かわいいと言われたトワが一瞬嬉しそうに微笑んだが、続く言葉に顔をしかめる


「んなこたぁーわかっとるわぃ、さっき志保に服を借りようと思って聞いたら、さながら服屋かってくらいいっぱい色んな服があったからちょっと着てみたかっただけだし?あと何着か見せるから付き合いなさいよ」

 指をビシッと信吾に突き付けながら言うと、後ろに引っ込んだトワ


 すると志保がトワとすれ違いで入ってくる。

 そのあまりにも変貌した志保に思わず声を出すフォルガイム

「えっ?どうしたの?髪切ったの?」

 驚いているフォルガイムに恥ずかしそうに答える志保

「はい、クモスケさんに切ってもらいました」

 長くモサッとしていた髪がバッサリと切られていて肩に届かない位のボブカットになっていた。見本の写真を見せられたクモスケがなんの躊躇いもなくバッサリと切った事にもびっくりだが、とても似合っていて思わずフォルガイムは呟いた

「かっかわいい」

 更に今まで着ていた制服ではなく、スポーティなノースリーブにデニムのショートパンツ、そして白いジャケットを羽織っている。腕を上げるとチラッと見えるお腹に目を逸らすフォルガイム

 ちなみに長ドスは背中に斜めに背負っている。

 銃は腰のベルトから下げられたホルスターが太ももの所に固定されていてそこに銃が収まっている。


「似合っていて動きやすそうだな」

 と信吾が頷いた。


 するとまたトワが現れた

 真っ赤なタイトなミニスカートに黒のキャミソール、その上から白のコートを羽織っている

 髪の毛はまだらに茶髪になっておりウェーブがかかっていてどこぞのキャバ嬢かヤンチャなギャルを彷彿とさせる。


 信吾がトワを見ながらウンウン頷くとまたトワは部屋を出ていった


 次はサラシを巻いて片腕を出しながら着物を着こなしている。いかにも極道の妻を意識している格好だ。髪は黒髪でうなじが見えるようにオシャレなアップで流し目をしてくるトワ


 信吾は内心どこに向かっているんだトワは?と思いながらもにこやかにウンウンと頷くとまた部屋を出ていった。


 次はリクルートスーツ、その次は青を基調としたパーティドレス、レディースの特攻服、更にナース服、ミニスカポリス、セーラー服、メイド服等のコスプレ衣装を着こなすトワ。

 何故そんな服があるのか?という事は思ってはいけないのだろう。


 ここまで来ると志保とフォルガイムも呆れているが、信吾は逆に楽しくなっていた。

「本当に服屋並みに色々あるな」

 と信吾は言うと、また服を変えたトワが入ってきた。


 今度は肩が出たタイプのチャイナドレスで、青い色を基調とした足のくるぶしまであるロングに、深いスリットが入っていて、タイツを履いている為、某ゲームのチャイナドレスの格闘家を彷彿とさせる。

 髪形は2つのおだんごヘアに長いリボンが垂れていた。


「トワ、それがいい!それで行こう!めっちゃ似合ってる上に動きやすそうだ。完璧だな」

 サムズアップしながら信吾が称賛するとトワも強く頷いた。

 それで行くならと「防寒対策」と言って志保がチャイナドレスの色に合うスカジャンを渡す。背中には東洋の龍が描かれている。

 実際古龍のトワは地球の寒さや暑さ程度、なんてことは無いのだが一応羽織っておく事にする。


「うんっ!」

 と志保は嬉しそうにしている。

 信吾はどこかでなんかのテレビで見たような、、チャイナドレスにスカジャン?と首を傾げたがすぐに「まぁ、いいか」と考えるのをやめた。


「さてと、女性陣の服は素晴らしい物があったけど、男物のの服はある?」

「えっ?っとー、、確かスーツ位しか無いんじゃないかなぁ?」

 と首を傾げながら上を見上げて考えている。


 考えているより見に行った方が早いと言った感じで志保はスーツの部屋に向かう。

 その志保に着いていくとズラッと並んだ色んなスーツが所狭しと並んでいた。

 白、青、灰色、ストライプ、ド派手な柄物。それらが全てハンガーに掛かってキレイに並べられていた。


「これももらってもいいかな?」

「あ、はい。大丈夫ですけど、信吾さんが着るんですか?」

 と志保が疑問を口にする。

「いんや、フォルガイムだよ」


 信吾の一言に一斉に視線がフォルガイムに集まる

 その視線にビクリと体を震わせたフォルガイムは

「あの、また今度着るから、とりあえず収納袋に入れておきます。ありがとうございます」

 と、何か考え事でもしている感じで答える。


「ま、本人がそう言ってるんだから、また今度着てもらうとして、俺もいくつか頂いてもいいかな?」

 信吾が気を使いフォルガイムに集まっていた視線を逸らさせる。

 いくつか空間収納に入れると、段々着たくなってきた信吾は一つのスーツを手に取り、ハンガーラックの影に隠れておもむろに着替え始める。

 下半身は見えていないが、鍛え上げられた上半身はある程度見えてしまう。


「おいおい、こんな所でいきなり脱ぐなんて」

「きゃっ!信吾さんっっ」

 トワが冷静に突っ込み、志保はかわいい悲鳴を上げて顔を手で覆った。が、隙間からバッチリ見ているというお約束をかます。


 そんな二人を無視してさっさと着替え終わった信吾。

 黒のシャツに白いダブルのスーツ。ネクタイは無し。それに合わせて金のネックレスが付けられて、さながらホストを思わせる格好だが、四十代という事もあり、貫禄が滲み出ている為、どちらかと言うと組織の幹部といったところだろう。


 それを見て志保が父親を幻視したのか、

「うわっっ」

 と焦った声を上げた。


「これ、相当たっかいスーツだね、生地が高級感出てるし、細かい所もしっかりと作られてる。縫い目とか、手触りとか」


「そうみたいですね、父はブランド物しか着ないですし、全てオーダーメイドだし、、詳しくは分からないですが50万以上のスーツが基本で中には100万を軽く超えるスーツもあるって言ってましたよ」

 と、何でも無い事の様に言う志保。

「オーダーメイドにしてはシックリくるな」

「信吾さんは父と体型が似てると思います、背も同じ位だし、、」

「なるほどね」


 信吾が納得しながらチャイナドレスのトワの横に立つと、サングラスを掛けてポケットに手を突っ込んで少し猫背になりポーズをとってニヤリと笑みを浮かべた。


 クモスケはジッと信吾を見ていたが、このシュールな光景に居た堪れなくなったフォルガイムと志保は目をそらしてスルーした。


 スルーされた信吾は、ふと部屋の奥に扉があるのに気がついた。

「こっちは?」

 と言いながら志保の返事を待たずに開けて入っていく。


 そこには紋付きの袴がズラリと並んでいた。他にも殿様が着るような袴や着流し、羽織、小袖、更に足袋や草履、下駄、雪駄、おまけに扇子まで揃っている。


 ひとしきり見回った信吾は、付いてきた志保を見る。

 志保もこんな所あったのかと言わんばかりにキョロキョロと袴を見ている。


「あの、志保ちゃん、、これも貰っても?」

 と、遠慮がちに言ってみると

「どうぞどうぞ!信吾さん似合いそうですね!」

 とにこやかに返事する。

「そうだねー、似合うかどうか分からないけど、浪人の武士みたいな着流しがいいかな〜、雪駄でも履いて腰に刀を差して歩いてみたいかな〜」


 信吾が着流しを見ながら言うが

「まぁ、とりあえずこの白いスーツで今日は行くよ、着流しはまた今度のお楽しみってことで」


 言いながら全てを空間収納へしまう。


 結局「どうせなら家にある物で、必要なものがあれば全部持って行っちゃって下さい」と志保に言われたので各部屋を周って回収していった。


 回収したものはアクセサリーや宝石、ブランド物の腕時計、今まで見てきた志保の家のコレクションを見ているとわかるように、とんでもない値段なのは想像に難くない。その他にも使えそうな家具一式など、ほぼ家の中がすっからかんになってしまった。志保も自分の部屋に行って私物を全て収納袋に入れたようで準備万端となった。


 いよいよ出発だ。

 と思ったら、なんだかんだしてるうちに日も落ちかけてきた。

 無理をせずに本日は志保の家に泊まることにしたした。


 ***


「なんだか修学旅行みたいですね」

 志保が誰とも無しに話しかけた。


 何故そんな事を言ったのかというと、家具の無くなった広いリビングで床が埋まる位の布団を敷いて、まるで修学旅行のように皆でざこ寝しているからである。


「あー分かる、懐かしいけどねぇ、、クモスケもこっちで寝ればいいのにね」

 相変わらずクモスケはハンモックを糸で作り天井にぶら下がって寝ている。


「そうですよね、、クモスケさーん?」

 志保がクモスケを呼ぶとグリンとうつ伏せ状態になり、糸の間から顔を出す。


「ひえっっ!」

 糸の間から顔だけ出ている光景に思わずホラー映画でも見たかのような声を上げる志保。

 電気が無く暗い為、信吾が気を使って薄暗い光球を魔法で作り出しているが、その薄暗さも相まって不気味さを醸し出している。


「クク、クモスケさんもこっちで寝ませんか?」

 するとクモスケはフルフルと首を振って断った。


「そうですか、、」

 と、どこか寂しそうに言うと

「まぁ、いつもそうなんだよ、多分何かしらの理由でもあるのかな?クモスケなりのさ」


 そう言ってフォローを入れる信吾

 不意にフォルガイムが口を開いた

「枕投げします?」

「家が潰れるから却下」

「ですよね~じゃ相撲大会とか」

「もっとダメだろ」

「アタイはプロレスごっこかな〜」

 フォルガイムと信吾のやり取りに参戦してきたトワ。

「一番ダメなヤツ」

「パワーボムとかスクリューパイルドライバーとかバックドロップ、、」

「絶対却下だ!」


「フフッ」

 3人の会話を聞いていた志保が思わず吹き出した。

 それを見た3人は志保に聞いてみた。修学旅行といえばどんな事をする?と


「トランプとかですかね?カードゲーム?修学旅行の定番じゃないですか?」

「ですよねですよね〜」

「流石にトランプじゃ家は破壊されないだろ」

「トランプやったこと無いから教えてちょ」

 志保のトランプ発言にフォルガイム、信吾、トワとそれぞれが返答する。


 そして定番のババ抜きを雑談しながら遊び、時折クモスケも雑談に混じりながら夜がふけていった。


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