第八話 能力の検証②
クモスケは自分の身体を試すように、奇っ怪な動きを続けている。その横で信吾は考えた。
(5感、第6感ときて次はなんだ?もしかして第7感もあるか?、、でも第7感ってなんだ?確かーーこれもまた都市伝説的な噂だけど、瞑想だかチャネリングだかで異次元にいけるとか?でもそれって幽体離脱だよな?)
「よしっ!ちょっとやってみっかな」
勢い勇んで座禅を組んで目を瞑った。
そして丹田に意識して、精神集中してみる。
すると突然の浮遊感にビックリして目を開けると今までの景色と重なるように、目の前に色とりどりの世界が空中に口を開けている。
恐る恐る中に入ってみると視界がグニャリと曲がり、動こうとすると浮遊感のせいかうまく体が動かせない、それどころかなんだか段々と奥に吸い込まれていく感覚がある。
(まずいぞ、まずいヤバいヤバい)
と、焦りながら体を動かすもなかなか戻れない、「クモスケーっ!」と無意識に叫んだ瞬間、足にクモスケの糸が絡み引っ張られた。色とりどりの空間を出たと同時にポッカリ空いていた口が閉じた。
「助かったよクモスケ!ありがとう!」
ホッとため息を吐きながらお礼を言った。
クモスケは糸を引っ込めながら前足を振って答えた。
「しっかしなんなんだろうな今の、異次元空間としか思えないけど、奥に行ったら戻ってこれなくなる感覚がしたんだよなぁ、、異次元空間、異次元空間?空間?空間に干渉出来るってこと?ドラ○もんの4次元のポケット的な?もっと言えば空間を応用して空間と空間を繋げればどこでも○アみたいなことも?いや、それがさっきの色とりどり世界なのか?」
ワクワクとドキドキが入り交じった感覚で、少し期待しながらまずはポケットをイメージして空間に収納出来るか試してみる。
「まずは、このチーズだ!」そう言って先ほど残ったチーズを手に取り意識を集中させる、すると真っ黒な空間がチーズを持った手を丸ごと飲み込んだ感じに現れた、少し驚いたが、
「これは今俺が出した空間だよな?うん」
言いながら深呼吸して、チーズから手を離し真っ黒な空間を消す。チーズが消えた、のはいいが、取り出せなくては意味がない。
今度は空間収納から取り出すイメージでまた真っ黒な空間を出す。例によって手を丸ごと飲み込んだ形になり、中に入ったチーズをイメージすると手に吸い付く感覚があり、握ってみたあとすぐに空間を消す。
「やった!成功だ!すっげーよ!」
めちゃくちゃ喜んだ。