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第72話 混沌

 信吾に戻れと言われたクモスケとフォルガイムは信吾の前に立ち臨戦態勢をとる。

 トワはドラゴンと睨み合い、お互い牽制している。


「どういうつもりだ?クソドラゴン」

 信吾が怒りを抑えながらドラゴンに問うと

「貴様達は我らの縄張りに入った時点でただの餌なのだ。一度去れと忠告したにも関わらず、好き勝手しおって人間風情がっ!」


 もう一匹前に出てきたドラゴンが

「大人しくしておれば調子に乗りおって。大人しく餌となり我らの糧となれ」


「そうか、そういう事か、、」

 信吾は怒りを抑えながら、空間収納からヒヒイロカネのインゴットを取り出す。

 チラッと5号の方を向くと、5号が持っていた治癒ポーションを飲ませていた。

 イズナは意識が朦朧としている様だが、なんとか大丈夫なようだ。

 ヒヒイロカネのインゴットに魔力を込めて形を変えていく。その形は野球の金属バットの形で、柄の部分に滑り止めとしてビニールテープを巻いていく。巻きながら5号に問いかける

「5号、ヒヒイロカネって魔力の通りがいいんだよな?」

「あ、あぁ、ヒヒイロカネは魔法金属だからな、ってヒヒイロカネを錬成?えっ?どうなってる?形が?」

「あぁ、俺が今作った。斬れないなら叩くだけだ」

 残ったヒヒイロカネを空間収納にしまいヒヒイロカネのバットを肩に担いで歩き出す。


 そのままドラゴンに近づいて行く信吾。

「そんなもので我らドラゴンがやられるとでも思っているのか?片腹痛い」


 信吾が意識を集中させて一気に踏み込む。

 一瞬でドラゴンの足元に肉薄して、ヒヒイロカネのバットをドラゴンの足の指に振り下ろす。

 ゴキッと骨が折れた音がした。

 間髪入れずに目にも止まらない速さで打撃を加えていく。

 さすがに細い骨は折れるが太い部分は無理なようだ。

 足の指に打撃が入った時

「グゥッッ!」と、

 思わずドラゴンが呻いたが、すぐに骨は回復し、元通りになるようだ。

 チョコマカと動く信吾に尻尾や爪で払おうとするが、信吾は猛スピードで動き回り、回避しながら打撃を与えていく。一見ダメージは通っていないように見えるが、信吾はそのままのスピードで無数に打撃を加えていく。


 徐々に徐々に足元から上へ上へと打撃を加えていく。

 ドラゴンは爪を振るって信吾に攻撃するが、当たらない。

「人間がぁ!チョコマカと小ざかしいわっ!」

 言いながら尻尾を動かそうとするが動かないことに気付く。

 信吾が飛行で肩の高さまで飛び、目を合わせる

「動けないだろ?バーカ」

 信吾がドラゴンに向かって中指を立てて煽る。


 信吾の言葉にドラゴンは自身の身体を見ると足から胸の部分まで凍っている事に気付く。

 信吾は打撃と共にヒヒイロカネのバットに氷結の魔法を纏って無数に打撃を与えていた。その打撃を与えていた所が全て凍り付いている。


「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!しねぇぇぇぇぇ!」

 怒り狂ったドラゴンがブレスを吐こうと口を大きく開けた。

 信吾がニヤリと口端を上げる。

 その瞬間に信吾は大量の水の魔法を口の中に叩き込む。


 ドラゴンが怨嗟の声を上げた時に、息を吐き切って、次にブレスを吐こうと大きく息を吸い込もうとした瞬間を信吾は見逃さず、ドラゴンを水で窒息させた。

 一瞬にして肺に水が満たされてドラゴンが白目をむいて倒れ伏した。


 もう一匹のドラゴンとクモスケ、フォルガイム、トワが睨み合っていたが、いつの間にか皆が信吾の動きを追っていて呆気に取られていた。


 一匹倒したが、信吾は油断しない。警戒しながら残りのドラゴンを見る。ふと意識の外から気配がするのを感じた。


「#@$%=%$#*&@!」

 何やらおかしな声が聞こえた。声の方を見ると全身甲冑を纏った兵士のような人物が二人立っていた。

 全員がそちらを見る。


 すかさず5号が翻訳のスキルを発動する。

「ドラゴンが暴れているとの報告で調査しに来たのだが、これは一体どう言うことだ?」


「おい!あんたらここから早く逃げろ!」

 訝しげに信吾を見た兵士二人は

「お前は何者だ?詳しく話しを聞きたいが、、」


 奥にいたドラゴンが動いたのを信吾は気付いた。

 ドラゴンがまたバスケットボールぐらいの大きさの岩石を、その兵士に投げた。

 一瞬で兵士の前に行き、飛んでくる岩石をヒヒイロカネのバットで叩き割った。


 兵士は何が起こったか分からずに困惑している。

「おい!クソドラゴン共!この兵士は関係ないだろ!」

「我らの縄張りに入ったのだ、既にそいつらは我らの餌なのだ」


 するとどこからともなく黒い陰が現れた。現れた瞬間にゾクッと背筋に悪寒が走る。と同時に全身から汗が吹き出した。

「つ、次から次へと何なんだっっ!」

 周りを見るとドラゴン達も固まって震えている。

 兵士達はその陰の禍々しさに気を失って倒れた。


 トワや、クモスケ、フォルガイムも陰を見た瞬間震えて固まってしまった。 

「何が起きてるんだ?こんな威圧感は今まで感じたことがないっ!」

 トワが苦い顔をして言う。


 信吾はワケが分からずに、このカオスな状況に焦りを感じながら5号の所まで行く。

「イズナは?」

「大丈夫だ、今は眠っているだけだ、、、」

「そうか、、良かった。だけど、5号、あの陰は何か分かるか?」

「わ、わからないな、だが、ヤバいのはわかる」

「だな、俺も足が震えちゃってまともに動けそうにない」

 ドラゴン達も距離を取るため後ずさっている。

 その隙にクモスケ達も信吾と5号の所まで警戒しながら近づく。

「信吾、どうしよう、、僕こんなに身体が震えるの初めて」

「アタイもだ、こんな事初めてだ」

 フォルガイムは頷くだけで言葉も出ないようだ。

「ドラゴン達も逃げようとしてるところを見ると奴等の仲間じゃなさそうだな」


 会話をしていると陰が大きくなり、あれだけ眩しかった太陽が消えるかのように闇が広がり辺りが暗くなる。


 信吾達は光が無くなり視界を奪われるが、夜目が効くように目に集中して魔力を込めた。

 視界は多少暗いがなんとか見えるようになった。


 そして徐々にその禍々しい陰は形を成していく。まるで空間そのものが形成をしているような錯覚に陥る。


 形を成していくに従って、信吾は撤退を視野に入れたが、身体が思うように動かない。陰の威圧感、禍々しさ、畏怖、絶望感に苛まれ今にも意識が飛びそうなのを必死に堪える。


 その陰は人の形になり古代ギリシャ人の様な布を巻いた格好をしている。頭には角が生え背中には大きなコウモリのような羽が生えている。一目で悪魔と分かる見た目で顔は穏やかに信吾を見ている。

 と、思ったら口端を吊り上げ笑みを浮かべた。


「初めまして、わたくしはアバドンと申します。お見知りおきを」


 信吾は耳を疑ったが、この威圧感に信吾は、紛うことなき最悪の悪魔だと認識した。


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