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第70話 龍の正体と歴史

 ドラゴンとの対話を打ち切ってUFOに戻ってきた信吾は椅子に体を投げ出し苛立たしげに足を組んで考え込む


「信吾さん何があったんですか?」

「信吾大丈夫?」

 フォルガイムとクモスケが心配して声をかけるが、黙ってしまった。5号もどうしていいか分からず目を泳がせている。

 すると唐突に

「あーーーあいつムカつく!ちょームカつく!一方的に上から目線で話しを終わらせやがって!挙句の果てに攻撃してきやがった!話しにならねぇ!」


「信吾さん、いつから輩になったんですか?喋り方が下品ですよ」

「信吾落ち着こ、深呼吸して」


 フォルガイムの言葉はスルーしてクモスケの言葉に反応して深呼吸をする。

「すぅーはぁー落ち着け落ち着けすぅーはぁー」

 クモスケが信吾の背中をさする

「ありがとうクモスケ、落ち着いたよ。危うくあいつらをシメにいくところだったぜ」

「シメるとかって今日日聞かないですよ」

「そんなことよりシメられるのかって話しよ、逆にシメられちゃうんじゃないか?」


 またもどうでもいいことを言っている四人にイズナは言及する

「あのなぁ、どうでもいいだろそんな事。そっちがダメならあっちの龍の方に話しを聞きに行けばいいだろ?」


「まぁ、そうなんだけどさ、茶目っ気だよ茶目っ気」

「こんな時に茶化してんじゃねぇよ」

「まぁまぁ、イズナも楽しもうぜ、もっと肩の力抜いてさ、男たるものもっと余裕を持たないと志保ちゃんに嫌われちゃうぞ」

「なにっ!嫌われちゃうのか!」

「なんか意外な反応ですね」

 フォルガイムの突っ込みにイズナは顔を赤くした。


「大分落ち着いたようだな、なら今日はもう寝ないか?ここから少し離れて監視してれば大丈夫だろう。恐らくあの龍も朝まで起きないぞ」

「あ、そうだな、もうこんな時間か」

 5号の言葉に信吾が反射的に腕時計を見た。時刻は22時を過ぎている。

「長い一日だったような感じがするな、ダンジョン攻略から急遽北海道に行って志保ちゃん助けて、そのままアメリカ大陸目指してドラゴンと対話してって、とても一日で出来る事じゃないぞ」

「空飛ぶ絨毯が速すぎるのが原因じゃないですか?」

「まぁいいか、飯食って風呂入って寝るぞー」

「いいんですかーい」


 食事の後にシャワーを浴びようとしたが、残念ながらUFOにシャワー室は完備されて無く、5号のクリーンでキレイにしてもらってから眠りについた。

 _____


 翌朝、夜明けと共に起きて身支度を済ませる信吾。

「おはよう」

 イズナを含めて四人はすでに起きて温かいスープを飲んでいた。

全員が朝の挨拶をする。

 信吾も皆にならって椅子に座るとウトゥがスープを持ってきてくれた

「ありがとうございます」

「冷めないうちにどうぞ」

 そういってウトゥは下った。

「ウトゥさん、ウトゥさん、、、ん?なんかどっかで、、、まさか」

 信吾はスープを飲みながら何か呟いたと思ったら空間収納から一冊の本、歴史が書かれている本を出してパラパラとめくっていく。

「やっぱり、ウトゥさんってかなり偉い人だったんだ」

 信吾がウトゥに向かって話しかけると

「いやいや、そんなことはありませんよ、昔は色々と愚行を重ねていただけですよ、今となっては耄碌して隠居生活ですよ」

 腰の低いウトゥに信吾は伝説のカリスマを垣間見た。


 軽い朝食を取りながらウトゥについて雑談をしていると外から大きな音がした。


 ドーンドーンドーンドーン

「グアアアアアアアアアアアアアアアーーーー」


「うるっさ!」

「あの龍がお目覚めかな」

「んじゃ、いっちょいってみっか」

 全員準備は出来ていたのでいつでも出れる格好だ。

「今回は皆で行くぞ、なんで?って言われる前に言うけど、昨日のドラゴンと意思の疎通が出来たんだ、あの龍も意思の疎通は出来るはずだし、ある程度の知能があって話し合いが出来ると思う」

 信吾の言葉に全員が頷いた。


「なるほど、根拠はなさそうだけどなんか説得力あるな、ちなみにオイラも行くけどいいか?」

「いいのか?万が一ってことも無きにしもあらずだぞ?」

「大丈夫だ、志保はオイラが守るから気にするな、、それにちょっと気になることがある」

「気にするなっていったり気になるって言ったりよくわからんやつだな」

「お前は理解力がないのか」

「イズナが理解不能な言い回しをするからじゃん」

「理解不能ではない、、、」


 信吾とイズナがギャーギャーと言い合ってるのを周りは温かい目で見守っていた。


「そろそろ行きませんか?」

 フォルガイムが口火を切った。信吾とイズナは言い合いを止めて真剣な顔になった。


「よしっ!んじゃ行ってきます」

 軽い感じでウトゥに挨拶するとウトゥも片手を上げて送ってくれた。


 地上に降り立つと朝日が眩しく思わず目を細める

 早速龍の元に行き話しかけることにする

 寝ぼけた感じで体を動かしている龍に近づいて行くと、向こうも気がついてこちらを見た。


「あのー、言葉分かりますか?会話ってできますか?」

 恐る恐る話しかけると龍が目を見開いて口を開けた


「あんた、日本人?」

 何故か龍は日本語を喋った。

「えっ?あ、はい、日本人です」

 ビックリして答える信吾、クモスケ達は驚いて固まっている。

「えーマジで?感動するんだけどー!何何何?何しにきたの?名前は?どこ出身?皆も日本から来たの?」

「えっ?ちょっっ、質問が多いな、えっとまず俺達は皆日本から来た、で、俺の名前は信吾、向井信吾。出身は千葉生まれの山梨の田舎育ちです」


「マジで?ウケる〜千葉って言ったら東の海沿いのアレ、、九十九里って言ったっけ?あそこ前にムカついたから地面ごと食ってやった事あったんだよね〜懐かしぃーー、で、山梨かぁーあそこは確か山ばっかりだからアタイは好きなんだよね〜でも調子に乗ったバカどもがいたから処々の山に封印してやったこともあったな〜ナツいわぁーマジ」

 嬉々として弾丸トークを繰り広げる龍に呆気に取られる一同。

「あのーあなたは?」

「アタイ?アタイはただの龍だよ?」

「いや、そうじゃなくて、、いくつか質問いいですか?」

「うん、いいよー何でも聞いて!久々の日本人だしぃー」

 目を輝かせている龍に質問をする

「あなたは転生者ですか?元日本人で龍に転生したとか?」

「ブブー違いまーす」

「、、うーん、じゃ日本にいたけど異変があって巻き込まれて龍に変身した日本人とか?」

 我ながら何を言っているのか分からないが質問しなければ進まない為、無理矢理言葉を出す

「ブブーまたまたざーんねーん」

「じゃ神様の使い」

「ブブー」

「天使」

「ブブー」

「悪魔」

「ブブー」



「ちょっといいですか?」

 段々といい加減になってきて、悩んでいる信吾にイズナが入り込んで龍に問う

「ん?君はーー日本人の中に憑依してる狐か?アタイが寝てる時に随分暴れてくれたって話し聞いてるよ?でも危うく陰陽師に退治される所を日本人に助けられたとも聞いたことあるけど??」


「うっ!まぁ、はい、、」

「おおかたその恩返しとして、、、」

「うわぁぁぁぁぁぁぁーーーーー」

 龍が話をしている途中で大声を出して遮るイズナが焦って続ける。

「オイラの事はいいです、あなたの事です、多分ですけどあなたの事を昔聞いたことがあります、最も伝説として語られているものの見たものは一人もいないと、、」

「うん、続けて続けてっ!」

 龍は興奮したように続きを促す

「伝説の化け物はとにかく大きいらしく、頭には二本の角が生えており、怒ると空を飛び回り嵐を呼び、異な妖術を使い炎を吐き、尾を振っただけで大地が裂け人々を呑み込んでしまうと言う伝説で、その化け物は日本の誕生と同じ頃生まれているにも関わらず確認した者は殆どいない、と、、それはあなたでしょうか?」

「うーん40点かな、、化け物ってのが大きな減点かな、それ以外は大体あってる」


「なっ!それって隠れ婆さんが言ってたことと全く同じだな」

「隠れ婆さん知ってるのか?」

「お前こそ知ってるのかよっ!」

「アタイを除け者にしないでぇー」

「あ、えぇ、ところで、あなたの名前は?龍さんと呼ぶのもなんかアレなんで」

「アレなんでのアレがよくわからないけど、でもアタイは名前無いんだよね、神龍とも呼ばれてたし邪龍とも蛇竜とも呼ばれていたからどうでも良かったけど、適当に呼んでよ。何なら名前つけてくれる?」

 信吾とイズナが目を合わせてまた龍に向き直るとイズナはブルブルと顔を横に振って断る

「そんなおこがましいです!伝説の化け、、いや、龍になんて、、」

「今また化け物って言おうとした?」

 龍がイズナを睨む


「いやぁー、名前つけてもいいけどネーミングセンスないからなぁーちょっと考えさせて」

「えっ?信吾さん命名しようとしてるんですか?それはちょっとやめたほうがいいと思いますよ?」

「おっ!君も日本人だね、何やら進化してるっぽいけど、元は日本人だね。どこ出身?」

「あ、えっと東京生まれの東京育ちです」

「あぁー東京か、色々ありすぎて逆につまんないんだよねぇー逆に」

「色々って?」

 信吾は龍のテンションと取っ付きやすさに親しみが湧いてすでにタメ口となっていた。実に自然と。


「例えば結界かな?あれはアタイでも抜け出すのは困難だったよ。結界は戦国末期頃から本格的に貼られて江戸時代を経て、明治維新頃の陰陽師が衰退するまでかなり強力な結界だったからね。その頃はアタイも結界に閉じ込められてずっと日本を見てきたの、つい最近まで。ちなみに結界の存在は聖徳太子がいた時代からあったけど、大したことなくてね、それからちょっとしてから安倍晴明が出てきて色々やるんだけどこれも大したことなかったね、結界より他の能力の方が凄かったかな?式神とか、懐かしぃねぇ〜」


「お、おう、生き字引とはこのことか、つい最近まで日本を見てきたからこそ、その喋り方なんだな」

「そう!女子高生の話しが好きでね、アタイも女だから共感しちゃうの!でもたまに悪い事とかの事件に巻き込まれたりしたときなんかはやっつけてたよ!偉い?」


「偉いというか、、結界に閉じ込められてたんだろ?どうやって助けたんだ?」

「ふふーん、教えてあげようではないか!それは安倍晴明が使ってた式神を真似たら出来ちゃったのだ!」

「出来ちゃったのだ、ってマジか」

「マジマジ、簡単だったよ、式神って三つあって一つは思念で作る式神と、藁人形とかの人形で作る式神、あと一つが悪人を倒した後にそいつを式神にしちゃうって方法なんだけど、なんせ閉じ込められてるから思念で作るしかなくて、力も足りなかったから用が済んだらすぐに消えちゃったけど、何回かはやっつけたよ」

「偉いっ!それに博識!」

「えへへ〜アタイ日本の事ならなんでも知ってるよっ!なんでも聞いて聞いて」

「そうだな、俺も歴史好きだから聞きたいことは山程あるけど、、強いて言えば織田信長って何者?転生者並みに凄いことにしてるっぽいけど実際はどうなの?武田信玄も最強って言われてて引き分けはあるけど負けなしって本当?信長でさえ負けたことがあるのに」


「はははっ、転生者じゃないよ、織田信長ってちょっと変わった普通の人間だよ、でもね、ここだけの話、本能寺の変では死んでないのよ、もう大体先のことがわかっちゃったっぽくて明智光秀と話合わせて一芝居打ったってわけ。ちなみに明智光秀も本能寺の変の後にすぐ殺されたって言われてるけどそれも実は死んでない。そのまま福島の方に身を隠してたけどね」

「お、驚いたな、まぁ、歴史なんてそんなもんか、見たわけでもないし、それに史実なんて人を悪く伝えようとするもんな、真実は闇の中ってのがいっぱいあるんだろうな」 


「うんうん、その通り、中国とかヨーロッパの歴史なんかも凄い書き換えられてるらしいからね。でねでね、織田信長が引いて関ヶ原の戦いがあってトントン拍子で徳川幕府でしょ?織田信長と徳川家康って仲良くてね、、、で、信玄の方は子供の頃に相当苦労してたっぽくてね、今で言う中学生くらいの時に寝る間を惜しんで勉強してたの、昼は経験を積んで、夜は寝ないとかで、いつの間にか今で言うショートスリーパーってヤツ?しかも毎日3時間程度しか寝てなかったの。でもなんで電気もないのに勉強出来たって思うかもだけど、、あ、ロウソクじゃなくてね、アイツ真っ暗なところでも目が見えていたみたいなの、適応したのか、神の加護なのか、特殊能力かはわかんないけどね、で、単純に人より何倍も時間を有効に使って自分をレベルアップしてたってわけ、だから負けなし、努力の結果かな」

 嬉々としてとして喋る龍に興奮気味で前のめりになる信吾。そんな信吾を後ろに引っ張るフォルガイム


「ちょっと信吾さん!長いですよ」

 小声で言うとクモスケも

「早く本題に」

 と先を促す。


「お、おおぅ、そうだな、で、本題なんだけど」


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