第七話 能力の検証
クモスケが仲間になって、一服しながらまた考える。
(身体能力向上の件だけど、あれって気配感知的な能力も向上したってことでいいのか?クモスケを感知したときに、後ろの方でも気配はあったが、昆虫なんかの虫っぽかったんだよな、敵意は感じられなかったし、、うーんこれって第6感ってやつか?霊的な存在も感知できる的な?うーん、第6感って気配感知もそうだけど昔の陰陽師とか今の霊媒師とかもそう言った不思議能力で除霊してきたって聞いたことあるな、都市伝説的な噂話にすぎないけど、、ん?ってーことはー、五感も強化されてる?ってことか?)
考えながらタバコを灰皿でもみ消して立ち上がる。
五感の1つ視力に集中すると、視界が徐々に明るくなる、まるでパソコン内の画像や動画を徐々に明るくする感じで、
「おおおおおおーすっげぇー」
遠くを見てみるとハッキリ見えた、約2キロ先にある建物の屋上にある金網の網目が細かく詳細に見える。両目で1.0の信吾には別世界に見えた。
自分の視力に驚き、感動しながら周囲を見渡している。しばらく堪能した後、次に聴覚に集中する。
徐々に風の音や虫の動く音が四方八方から聞こえてきて、まるで騒がしい工事現場ですぐ上には飛行機、横には電車が走っているぐらいの騒音となった。
「あーーうるせーーー」
耳を押さえながら聴覚の集中を切った。
「やばい、この分だと味覚と嗅覚もヤバそうだな。よっぽどじゃなけりゃ集中するのを止めよう。」
そう言って最後の触覚に集中する。
何をするかって考えて、おもむろに紙幣を取り出した。日本のお札はとても良くできており偽造が出来ないように様々な対策が施されている。目の不自由な方の為に細かい凹凸があり、普通の人は違いがほとんどわからない。
目を瞑り集中して紙幣を触ってみる、
すると凹凸が手に取るようにわかる。
「すごいなこりゃ、盲牌じゃ負け無しだな。」
盲牌とは麻雀の麻雀牌を目でみないで指の感覚だけで当てる技のこと。
「とはいってもこれは何の役に立つんだ?うーん、、考えてもわからんから保留~っと」
ふとクモスケを見てみる。
「うわっ!ビックリしたー」
一瞬クモスケが5匹に増えたかと思ったら脱皮した皮だった、しかも脱ぐ度に大きくなっていて今や拳ぐらいの大きさに落ち着いている様だ。クモスケは体の調子を確かめるように信吾の周りをグルグルと回りはじめた。
しばらくは放って置くかな、と思いまた腕を組んで目を閉じて考え込んた。