第65話 ダンジョン攻略結果と新たな真実
サイクロプスとの戦いが終わり、ドロップしたアイテムをフォルガイムが抱えながら先に進む一行。
階段を降りて最終の十階層に辿り着いた。
安全地帯を抜けるといきなりボス部屋らしく、中を覗くと何やら4足歩行の獣が威風堂々と佇んでいる。
「うん、見た感じまたケルベロスかと思ったけどどうやらオルトロスっぽいな、、確か兄弟なんだよな、ケルベロスとオルトロスって」
「さすが信吾だな、よく知ってるな」
オルトロスは双頭の獣で、たてがみと尻尾か蛇になっていて、とても凶悪な容姿をしている。頭の数が違うだけでほとんどケルベロスと言っていいだろう。さすがは兄弟だ。よく似ている。
「さぁてと、戦いの前にちょっと休まないか?さすがに連戦で魔力も結構消費してるっぽいから、出来ればある程度回復するまで安地で休まないか?」
「賛成!」
「いいですよ」
「了解だ」
各々安全地帯で休憩をとり体力回復に努める。
信吾は少し仮眠をとろうと横になって目を閉じる。
クモスケは天井に糸を飛ばして即座にハンモックを作って揺られながら休息をとる。
5号は特に何もせずにその場で座って辺りをキョロキョロと見回している。
フォルガイムは胡座をかいて何やらイメージトレーニングをしているようだ。
辺りに静寂が訪れる。
そのまま約3時間が経過した。
ガバッと起き上がった信吾を見て驚くフォルガイムと5号。
「ど、どうしたんですか?信吾さん」
「んん?うん、いや、腹減ってヤバい、何か食いたい」
「空腹で飛び起きたんですか?食べ物なんてないですよ?全部空間収納か収納袋の中ですからね」
「ああ、そうか」
明らかに落ち込んだ様子の信吾。
「いぃよしっ!ちゃちゃっと倒して、ちゃちゃっと戻って、ちゃちゃっと飯食う!行くぞ!」
「ちょちょちょまって下さいよ!なんの作戦も練らずに行くんですか?そりゃマズいですよ」
「そうか?俺の予想ではケルベロスと同じ位の強さだと思うんだ、だから魔力も回復したし、思いっきりぶっ放せばなんとかなると思う」
「あーー、うん、なるほど確かに。でも大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ、問題ない。なんならここで待ってるか?俺一人で行って何発かぶっ放すから、もしついてきても下手すりゃ巻き添え食うかもだからな」
「うっっ!」
信吾の本気の魔法を知っているフォルガイムは言葉に詰まって何も言えなくなってしまった。5号も何か言いたげだったが引き下がった。
「信吾行くのか?」
クモスケがハンモックから降りてきて信吾に聞いた。
「あぁ、ちょっと待っててな。そこから見守っててくれ、俺がピンチになったら助けてくれよな、クモスケ」
ポンポンと頭を優しく撫でながら言うとクモスケは頷いた。
信吾はボス部屋で鎮座しているオルトロスに向かって歩き出した。ボス部屋に入った瞬間にオルトロスは立ち上がり威嚇の咆哮を上げた。
「オオオオオオオオオオオオオオオン!」
ビリビリと空気の振動が伝わってくる。
「サンダーライトニング!」
オルトロスの咆哮と同時に魔力を練り上げていた信吾は雷の魔法でスタンの効果と表面の分厚い毛皮を黒焦げにした。
「地獄の業火に焼かれろ!爆裂火炎ヘルファイア!」
間髪入れずに火炎魔法を放ち、直撃の瞬間に大爆発が起こり熱風が吹き荒れる。
「嵐を呼び起こせ!ハリケーンストーム!」
炎が燃え盛っている中にハリケーンストームを叩き込んだ瞬間に熱風の刃と風の刃が中にいるオルトロスを切り裂いていく。
「はぁはぁ、ふぅ~〜〜」
深呼吸して息を整える信吾。徐々に湯気やら煙やら土埃やらが収まってきてオルトロスを確認すると丸焦げになった何かの肉塊がバラバラに散乱していた。
「腹減った〜」
クモスケ、フォルガイム、5号が信吾に近づいて来る。
「凄惨な現場ですね、明らかにオーバーキルじゃないですか?」
「そうか?これでもまだ生きてるようなら冷水ぶっかけて水蒸気爆発で吹っ飛ばして、更にその後凍らせる予定だったけど」
「信吾凄い!」
「なんとも、、これほどとは、、驚きを通り越して呆れるぞ」
「腹減った腹減った腹減った腹減ったー、早く戻って飯食いたいー」
「子供かっ!」
「あっ!ドロップアイテムだよー」
「食い物か?」
「いや、違うな、、」
ドロップしたのは液体が入った小瓶だった。それを5号が鑑定すると
「うーん、どうやら石化を解く薬らしいが、、、どう思う?」
「石化を解く?ってことは今後石化してくる敵が出てくるってことか?メデューサとか出てきたりして?」
「あ、信吾さんそれフラグってやつじゃないすか?」
「、、、ま、考えてもしょうがない、早くここを出よう」
「そうですね、、、」
オルトロスがいた場所から奥に進むと行き止まりで、そこには魔法陣が床に描かれていた。
四人は魔法陣に乗ると扉の部屋に転移して、一同安堵の溜め息をはいた。すぐさま空間収納が使えるか確認して、全てのドロップアイテムを収納した。
「クモスケもう開けちゃダメだぞ、絶対にだぞ、、」
「う、うん」
「フリじゃないからな?フリじゃないからな?」
「信吾さん、それ開けろって言ってませんか?」
「バカな事してないで早くトゥトゥナ様のところにいくぞ」
そのままトゥトゥナのところに向かった。
「皆さん、お疲れ様でした」
「はい、遅くなり申し訳ございませんでした」
「色々と話したいこともあるでしょうが、食事にしましょうか、信吾さん」
「そうですね、ありがとうございます」
食堂に行き夕食を取る。ダンジョンにいる間、時間の感覚が分からなくなりいつの間にか日が沈んでいた。
トゥトゥナも食堂の長テーブルに一緒に座りお茶を飲んでいる。
そして四人が食べ終わり、食休みをしているのを見計らってトゥトゥナが話し出す
「では、そのままリラックスしたままで良ければお話しさせてもらってもよろしいかな?」
「あ、あぁ、トゥトゥナ様さえ良ければこちらは構いません」
「では、信吾さん、改めてダンジョン攻略ありがとうございました。実はダンジョン自体はかなり前から作っていて、ほぼ完成していたのですが、調査兼攻略を信吾さんにお願いしようと思っていたんです。了承を得てから完成させるつもりで、朝それを説明して頼む予定だったのです。ですがイレギュラーがあったみたいで、、何かある前に対策とか注意を促せばよかったのですが、、とにかくすみませんでした」
「いえいえ、こちらこそ勝手なことしてすみませんでした。まぁでも大体予想通りでしたね、朝その話しをして、ダンジョンの内部とかの説明をしてもらって準備する予定だったってことですよね」
「えぇ、その通りです」
信吾が大きく頷く。
「ま、結果論ですが、特に大事にはなってないんで気にしていないですよ」
「ふふっ、そう言って頂けると幸いです」
「ドロップアイテムは頂いてもいいんですか?」
「えぇどうぞ、信吾さん達が獲得したものですからね」
一旦区切り皆でお茶をすする。
「では、単刀直入に聞きますが、私が設計したダンジョンはどうでした?」
トゥトゥナが身を乗り出して興味津々に聞いてきた。
「あ、えっと〜、、どうでしょう?ザックリしすぎてなんとも、、、」
「あぁ、すみません、ではダンジョンのモンスター達はどうでした?」
「はい、モンスターですね。最初のケルベロスは面食らいましたけどね。全体的には面白さもあり、ギリギリのモンスターもいましたがなんとか試行錯誤しながら攻略した感じですね。今思うと勉強させられるダンジョンかと思います、、あっ、そう言う意図があったのですね?」
「ふふっ、まぁご想像にお任せします。それはともかく色々と得るものがあったみたいですね。よかったです」
何か含みのある笑みをこぼすトゥトゥナ。
「それでは次に罠なんかはどうでした?」
全員がフォルガイムを見てすぐに目を逸らした。
「ちょっ!なんで目を逸らすんですか?」
「罠は微妙でしたね、、特に刺さらない針の山なんかはちょっと意味が分からなかったです」
「はははっ、微妙でしたか。面白いかと思って仕掛けてみたんですがねぇ、、」
「トゥトゥナ様はおそらくここのダンジョン以外を攻略する際に罠も注意しなくては身を滅ぼしかねない、ということが伝えたかったのでしょう」
「ま、そういうことだろうな、5号が言ったので間違いはないだろう」
トゥトゥナが大きく頷いた
「では、最後にドロップアイテムについて質問があれば受け付けますよ」
「ありがとうございます。でも大体は5号が鑑定してくれたのでわかります。貴重な品の数々、大切に使わせて頂きます」
トゥトゥナが口を開きかけた時
「あっ!すみません、忘れてた。最後のドロップアイテムですが、石化を解く薬が出たのですが、、石化してくるモンスターでもいるんですか?」
「はい、まぁ持っていても損はないでしょう」
「ん?ん?えっと〜、、答えになってないような、、あの、バジリスク、コカトリス辺りならなんとかなるかもしれませんが、メデューサだったらとても勝てる気がしないのですが」
「さすがですね信吾さん。博識でらっしゃる。では一つだけ忠告しておきます」
トゥトゥナは全員の顔を見てから続ける
「ルシファーの配下の一人にメデューサがいます。しかし上から数えるとメデューサが4番目の脅威度なのです、ということは更に上がいるということです」
「そ、それはレヴィアタンですか?」
「いいえ、レヴィアタンは下っ端とは言いませんが上位の悪魔に比べたらかなり劣ります」
全員が絶句した表情をする。
「そ、そのメデューサより強い化け物は一体?」
トゥトゥナは目を瞑り答えを呟く
「アバドンと巨人スルト」
全員がゴクリと喉を鳴らす。




