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第64話 アッパレなサイクロプス

「行くぞ!」


 気合いを入れて九階層の広間の奥にいるサイクロプス目掛けて攻撃を開始するべく前に躍り出た。

 サイクロプスは両手に持っている大きな棍棒を構えて突進してくる。

 信吾達四人はバラバラになり4方向からサイクロプスを囲み、まずはフォルガイムが剣に魔力を込めて風の刃を目に放つ。同時にクモスケも土の弾丸を目に放つ。

 サイクロプスは棍棒を振り回し風の刃と土の弾丸を撃ち落とした。


 サイクロプスは弱点の対策は完璧で、完全に目に対しての攻撃は防いでいる。

「そりゃそう簡単にはいかないよな」

 呟いた信吾は一瞬にしてサイクロプスの足元まで肉薄して蹴りを放つが

「くぁ〜かってぇな、なんちゅう固さなんだ」

 サイクロプスも足元の信吾に攻撃をするがやはり重心が高い為上手く攻撃が当たらず何度も床を棍棒で叩いている。信吾は避けては蹴り、避けては蹴りを繰り返しダメージにならない攻撃を加えている。


 その間にもクモスケとフォルガイムは目に向かって土の弾丸と風の刃を放つが当たらない。

 サイクロプスの動きに隙はなく常に四人の動きを警戒して攻撃と回避、防御に徹している。


 しびれを切らしたクモスケは遠距離攻撃をフォルガイムに任せて直接目を狙うために地面を蹴り、サイクロプスに向かって跳び上がった。

 サイクロプスは棍棒を振りかぶってクモスケにフルスイングする。クモスケは糸を出して軌道をそらしながらギリギリで避けつつ目に向かって鎌状の足を突き刺す。


 ガキンッと大きな音がして見るとサイクロプスは目を閉じて目玉を守っていた。


「おいおいおいおい、どんな瞼してんだよ!」

「でも微かに血が出てるよ」

 クモスケが信吾の横に降りて見上げる。

 サイクロプスはゆっくりと瞼を開けてギロリとクモスケを睨みつける。


「がああああああああああぁぁぁ!」

 耳をつんざく咆哮を上げて棍棒を振り下ろしてきた。

 信吾とクモスケは左右に別れて回避する、クモスケの方向に追撃するがクモスケのスピードには追いつけない。

 すかさず信吾はサイクロプスの後ろにまわり、膝裏を思いっきり体重を乗せて蹴りを入れた。ただの蹴りではなく重力の魔法で自分の体重を五倍にしての蹴りだ。

 サイクロプスは膝カックンされた状態でバランスを崩し片手を地面に付いた。


 一瞬の隙を見せたサイクロプスにフォルガイムとクモスケは見逃さない。フォルガイムはミスリルの剣を突き出してクモスケは鎌状の足をそれぞれ突き立てる。

 だがまたしても目を閉じて防御されてしまった。


「二人共一旦距離を取れ!」


 信吾の号令にフォルガイムとクモスケは瞬時に距離を取った。

 また4方向に別れてサイクロプスを囲む形になった。

 サイクロプスも先程の攻撃を警戒して膠着状態となった。

 お互い睨み合いが続いたが、ふとクモスケの頭に直接声が聞こえてきた。


「クモスケ聞こえるか?俺だ信吾だ。リストバンドに魔力込めて小声で喋ってるんだけど、聞こえたら同じ様に魔力込めて返事してくれ」

「ん、、、聞こえる。そっちは?」

「あぁ、問題ない。じゃ、作戦会議だ」

 同じ様に聞こえているフォルガイムと5号も軽くアイコンタクトで頷く。

「さっき二人が目に攻撃した時に目は閉じてたけど、何故か口が大きく開いていたんだよ、一回目もそうだった、今度はそこを狙ってクモスケの毒を飲ませるんだ」

「あっ!なるほどその手があったね」

「でもさっきので相当向こうも警戒してるからそこまで持っていくのが難しそうなんだよな、まさに難易度爆上がり状態」

「んん、なんとかなる、なせばなる、頑張ってみるよ」


「あっ、それと5号はまた俺の剣になってくれ」

「わ、わかった。私も何もできずにヤキモキしてたところだったんだ」


「フォルガイムもなんとか隙を作れるように立ち回ってくれ」

 四人はアイコンタクトで頷き合い

「よし!じゃヒィーウィーゴー!」


 信吾の掛け声と同時に四人が動き出した。

 5号はすぐに信吾の鎧と剣になり、クモスケとフォルガイムはサイクロプスに牽制しつつ隙を伺う。


 フォルガイムは足元でチクチクと、クモスケは糸でサイクロプスの頭上を縦横無尽に動き回り時には蹴り、時には土の弾丸と相手を翻弄している。

 サイクロプスも片手の棍棒で防御しつつ、もう片方の棍棒を振り回すが、二人のスピードに追いつかず空振りに終わる。空振りに終わってはいるが当たれば一溜りも無いほどに破壊力は凄まじい。


 そんな中、信吾は飛行で距離を取りつつ、サイクロプスの周りをグルグル回りながらファイアボールを当てていく。あえてサイズをバラバラにして大きくて熱いファイアボールと小さいファイアボールを無数に当てて気を散らす。


 サイクロプス的にはクモスケを一番警戒しているようで、一瞬クモスケに気を取られたサイクロプスは隙を見せた。


「フォルガイム行くぞ!」

 信吾が左足の膝裏を狙って突っ込む。

 フォルガイムは信吾の声に瞬時に反応して右足の膝裏を狙って突進した。


 同時に膝裏をカックンされたサイクロプスはモロにバランスを崩してそのまま仰向けに倒れた。

 信吾とフォルガイムは地面を蹴ってサイクロプスの顔面目掛けて跳躍する。

 サイクロプスは目を閉じて防御に入った。と同時に口が大きく開いているのを確認すると即座にクモスケが上から大量の毒を口の中に流し込んだ。


「ゴクンッ」

 と飲み込んだ音が辺りに響き渡った。


 サイクロプスから距離をとって様子を伺う。すると

「がああああああああああああああああああああ」

 サイクロプスは棍棒を放り投げて雄叫びを上げながら両手で喉を掻きむしった。

「があああああああああっ!がああああああああっ!」

 仰向けに倒れながら手と足をバタバタしながら藻掻き苦しんでいる。最後にビクンッと全身を震わせて動かなくなった。


「エグっ」

「クモスケさんの毒って強力なんすね、、、」

「敵ながらアッパレだった!」

 サイクロプスが苦しんでいるときに鎧と剣から元に戻った5号も二人に続いて一言呟いた。


 3人の感想を聞いたクモスケは胸を張ってドヤ顔をしている。


「いや、5号さんの敵ながらアッパレって何なんすか?」

「言葉の意味はよくわからんがとにかく凄い自信だな」


 戦いの余韻に浸っているとサイクロプスが光ってダンジョンに吸収されていった。

 と同時にアイテムがドロップされた。

 何かのインゴットらしい。5号が近づいて、鑑定して見ると口を開けたまま固まってしまった。


「えっ?5号さん?大丈夫ですか?」

 顔の前でブンブンと手を振ってみるが反応がない。

「口の中に毒流し込んでみるか?」

「えっ?いいの?」


「おおおいっ!やめろ!それだけはやめろ!」

 意識を取り戻した5号がクモスケから瞬時に距離を取った。

 はぁーーと大きな溜め息をついて5号が説明をする。


「これはヒヒイロカネのインゴットだ」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥?」

 3人とも反応が薄く、クモスケにいたっては首を傾げてハテナマークを浮かべている。

 またまた大きな溜め息をついて説明をする。


「いいか?これはかなり希少な素材なんだぞ。例えば金属で言えば鉄、鋼、銀、銅、金、白銀と価値が上がるのは分かるよな?で、これは魔法金属の中でも白金と同等の位置にいる最上級の魔法金属なんだ。ミスリル、アダマンタイト、オリハルコンの次にヒヒイロカネだ」


「なるほどな、凄いなそれは。もしそのヒヒイロカネで武器や防具を作ったら向かうところ敵無しか?」

「いや、それは難しいな、なにせ加工が難しくて一流の鍛冶職人でないと加工ができないどころか、下手くそが手を出せば例え出来たとしてもお粗末な代物となってしまうだろう」

「うーん、ま、とりあえずそれは後で考えよう」

 加工うんぬんは後回しにした信吾は続けて言う

「それよりそんなデカくて重い物を誰が持つかって話しよ」


 形こそ延べ棒の様な形だが、大きさがコンビニの電子レンジ位の大きさがある。


「ここは一番力持ちのフォルガイム君。君に任せた」

「えぇ~、、、わかりました」

 フォルガイムは逡巡したが、皆の視線に押されて渋々了承した。


「さっすがフォルガイムだな」

「頼んだぞ」

「やっぱりフォルガイムは頼りになるな」

 3人の言葉にフォルガイムは

「いやいや、そんなことないですよ〜、任せて下さい、こんなもの軽いですよ、軽い軽い」

 フォルガイムは上機嫌で軽々と持ち上げて見せる


(((チョロいな)))

 単純なフォルガイムに三人は見事な連携で誰も傷付く事なく心置き無く先に進むことにした。

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