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第63話 太陽とレイスに背いて

スライムを倒した信吾達は、更に先に進むとまたスライムが現れた。だが対処法も確立したので増やすことなく消滅させていく。スライムを倒しつつ次の階層に続く階段を見つけ降りていく信吾達。


八階層の安全地帯を過ぎて奥へと続く通路を進むと、どんどん暗くなっていき光源がなくなって真っ暗になってしまった。

「何にも見えないんですけど?信吾さんは見えてます?」

「ああ、見えてるよ、クモスケも、多分5号も見えてると思う」

クモスケと5号は軽く頷いて返事する。

「慌てるな、フォルガイムは進化して昆虫の複眼も受け継いでるはずだから集中すれば見えるんじゃないかな?それか気配を探って目に頼らない方法もありっちゃありだけどな」

「あっ!見えてきましたよ!って奥になんかいる?」

集中して奥を見渡すとなにやら蠢く物体が見える。

それは丁度テニスボール位の大きさで無数に飛び交っている蚊だった。蚊にしては大きいサイズで信吾は面倒くさそうに溜め息をついた。しかもよく見ると蚊だけではない、蝿や蛾などの羽をもった虫達がブンブンと飛んでいる。信吾達は警戒しながらゆっくりと近づいて行くが襲ってくる気配はなかった。


そのまま無言のまま横を通り過ぎて進んでいくとテニスコート位の大きさの広間に出た。広間の奥にはいかにもゲームに出てくる魔法使いのとんがり帽子とローブを着た小学生位の背丈の人間?が立っていた。フードを深く被っているので顔は見えないので人間とも言い切れないが。


「うーん、クモスケと5号は後ろを警戒してくれ。で、俺とフォルガイムは魔法使いを」

小声で指示を出す信吾に三人は無言で頷いた。


すると魔法使いがフードの中の目を赤く光らせて両手を広げた。信吾は警戒するが魔法使いに動きはない、、と思った瞬間

「うわうわうわぁぁぁ!」

後ろで5号が悲鳴を上げている。

魔法使いから目を離さずに周囲の気配を探っていると、どうやら先程通り過ぎた所から無数の虫達が一気に襲いかかって来た様だ。

魔法使いが両手を上げた瞬間に襲いかかって来たということは、虫達を使役しているのだろうと検討する。


クモスケは襲いかかってくる虫達を冷静に両手と背中の足で一匹一匹叩き落している。

バシバシバシバシ、バシッ、バシッ、ババババシッ、

どこかリズミカルに叩き落している音がして警戒しながら横目でチラッと見ると、なんか見たことある光景だなと少し思案するとすぐに思い出した。ゲームセンターで若い人達がプレイしていたビートセイバーにそっくりな動きをしている。

「ぶふっっ!」

思わず吹いてしまった。


「クモスケいいぞーその調子で右へ左へステップ踏んでみようか」

「こうかな?」

虫達を上手くさばきながら右へ左へワン・ツー、ワン・ツーとコミカルに動き出した。


「ちょっとちょっと信吾さん!何してるんですか!遊んでる場合じゃないですよ!」

「おお、そうか微笑ましい光景に思わず見とれてた」


フォルガイムに軽く怒られた信吾は魔法使いの方に向き直り様子を見るが一向に動かない。

「これって両手を上げて虫達を操作してる間何も出来ないんじゃないですかね?」

「かもな、てかその推測があってるっぽいな」

二人が話しをしている間も微動だにしない魔法使いにフォルガイムはミスリルの剣に魔力を込めて風の刃を放った。だが風の刃は魔法使いをすり抜けて後ろの壁を抉った。

「えっ?すり抜けた?」

「まさかレイスってやつか?」

「ゆ、幽霊ってやつですね、どうします?弱点なんてあるんですか?」

二人の話しを聞いた5号は虫達をクモスケに任せて魔法使いの方に目を向けた。

「レイスは一般的には太陽の光が弱点とされているが、、、どうしたもんか、、後は実体化したのを見計らって攻撃するとか?」

「実体化は期待できないな、、となると太陽の光か」

確か居住区に浮かんでいた光は太陽と同じだったなと思い5号に聞く。

「5号、確か居住層にあった人工太陽ってどうやってできてるんだ?」

「あ、あれは魔導具で出来ていて、複雑な作りをしているからおいそれとは作れない代物だぞ?」

「うーん、そうか、、」


悩みながらゆっくりと左手で右手首を握って念じてみる。右手を上に向けて魔力を込めて

「弾けてまざれ!」

瞬間右手が光り輝いて魔力の玉が浮かび上がった。

その玉は光輝き、太陽の様な温かさを感じる。

「くぅ~〜めっちゃ魔力吸われた感覚だな、でも思った通りだ、イメージ通りに出来たぜ」

「ま、ままままさかっ!し、信吾、それはなんだ?居住層にある魔導具と同じ波動だぞ?」

5号が驚愕している。

「出し方はどうかと思いますけどね。ただ言ってみたかったとかですよね?」

フォルガイムの言葉はスルーして魔法使い改めレイスに向き直る。

レイスは急に明るくなった原因に両手を下ろし、後ずさりながらどこか影になる場所を探している。


虫達が襲いかかって来なくなりクモスケも警戒しながら信吾の隣に立つ。


「よっしゃ!行くぜ!プロミネンスフレアーサンシャイン!」

右手を突き出して光の玉をレイスに向かって放った。


「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

レイスはこの世の声とは思えない怨嗟のこもった断末魔をあげながら光となって消えていった。


「長い技名ですね」

「太陽っぽいだろ?」

その一言に一同しばらく沈黙する。


沈黙にいち早く背いたのはクモスケだ。

「あっ!なんか落ちてる」

クモスケがレイスの消えたところに走っていき何やら小さい物を拾い上げた。

「指輪?ちっちゃい宝石がはまってる」

クモスケが5号に渡す

「これはどうやら装備すると最大魔力量が底上げされるみたいだな、ちなみに3割程度だな」

5号が鑑定して信吾に渡す。

「どうする?誰が装備する?」

「信吾」

「信吾さん」

「信吾でいいんじゃないか?」

信吾以外の三人は同じ意見のようで

「わかった、ありがとうみんな」

装備すると信吾の魔力量が底上げされたのがわかった。

ただ、今減った魔力が全回復しない限り実感は湧かないが。


「それにしてもクモスケのビートセイバーは良かったな、あれは反射神経とか打撃の的確さとか、さばき方なんかの練習になるよな?」

「確かに」

「足を動かしてからは楽しくなってあっと言う間に終わっちゃった感じがした」

「面白いと時間を忘れちゃうからな」

「いやいや、ゲームじゃないんですから」


雑談を交えながら奥に進み階段を降りる。

九階層の安全地帯を通り奥へ進むと今度は更に広い体育館位の広間に出た。

「なんかダンジョンって感じがしなくなってきたな、最初は良かったけど今はもうただ出てきた敵を倒すだけになってるな」

「そうだね、もっと罠とか色んな環境のダンジョンがよかったよ」

「クモスケさんは全部が大きいダンジョンがいいんですよね」

「トゥトゥナ様も忙しいからネタ切れなのかもしれんな」

「なるほどね、ってなんじゃありゃ?でかいな」


広間の奥には四メートルは超えている巨体の一つ目が仁王立ちで立っていた。

「サイクロプスか」

「ですね、どうします?」

「どうするもこうするもないだろ、狙うはあそこ一択だ」

「目ですね」

「目潰しの呪文じゃないぞ」

「それは某アニメの破滅の呪文じゃないですか?ってか目潰しの呪文じゃないですからね」

信吾とフォルガイムのやり取りを見つつ5号は前に出る

「オーケー、ここからもっと近づいたらおそらく動き出すだろう、行くぞ」

どうも、きいろです。

久々の投稿となりました。

言い訳がましくなってしまいますが、リアルが忙しくてなかなか執筆が進まず悪戦苦闘しています。

リアルでは社畜なもんで、信吾のように上手く立ち回れればいいんですが、現実はそう上手くは行かないものですね。これからも不定期になりそうですが完結目指してボチボチやっていきます。

つたない小説を読んでくださってる皆様、ありがとうございます。

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