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第60話 5階層のアンデッド

 四階層の魔法陣の部屋で休憩をとった四人は大方体力も回復したので、先へ進むむべく立ち上がった。

 信吾達が入ってきたところから正面に魔法陣があり、右奥と左奥に二つずつ計四つの道がある。転移された先の蜘蛛がいた場所だ。それ以外には道は無くフォルガイムがキョロキョロと周りを見渡している。それを見た信吾は入ってきたところから真正面の魔法陣のその先の壁を見つめた。そして目を細めながら信吾が言う。


「多分入ってきたところから真っ直ぐ行ったところにあるんじゃないか?」

 信吾が指を指した先には不自然にスペースが空いている。四つの道の丁度真ん中だ。

 魔法陣に気をつけながら信吾がそこに行き壁を調べ始める。壁をペタペタと触っていると一箇所だけ感触が違う場所があった。そこはゴムの様な質感で違和感がある。おもむろに押してみたら一瞬にして壁が消え去った。ドア位の大きさの壁が抜けて先を見ると階段があった。

「ほらな、やっぱりあったな」

 そういって階段を降りる信吾。それに続いてクモスケと5号も降りていく。

 驚いたフォルガイムが後を追いかけながら信吾に聞く


「信吾さんよくわかりましたね?なんでわかったんですか?」

「いや、なんとなくかな?多分俺がダンジョンを作るとしたらそこかなぁ?って思って調べただけだよ」

「ダンジョンを作るとしたら?」

 フォルガイムが疑問に思ったことを口にする。

 するとニヤリと笑みをこぼした信吾が少しテンション上げて言う

「そうなんだよ!考えるだけでワクワクしてこないか?この設定をトゥトゥナ様がやってるとしたら俺も作れるかもしれないじゃん?だとしたらオリジナルのダンジョンをどう作ろうかとか、色々考えたら楽しいだろ?ここは難易度が低いから大した罠も無いしモンスターも弱い、って事は難易度に応じてだけどいろんな事が出来るんじゃないか?例えばトレーニングに最適な環境を作るとか?もしくは営利目的で作るのもいいかもしれないな。トゥトゥナ様がどんな意図で作ってるかは分からないけどな、あぁ異世界のダンジョンの維持、管理だよな」


 5号が階段を降りながらそうだと頷いた。


「なるほどっと、到着ですね。5階層の安地っすね」

「だな、なんか面白くなってきたな。考えれば考えるほどテンション上がってくるよ、なぁクモスケ!」

 嬉しそうな信吾を見てクモスケも嬉しそうに答える

「うん!信吾はどんなダンジョンを作りたいの?」


「そうだな、、階層に分けられるなら灼熱の砂漠地帯とか、アスレチックの森林、極寒の氷の世界とか、あとは水の世界とか、無重力の世界、逆に地球の十倍位の重力の世界とかかな、、考えればもっと出てきそうだけどな」

「そっか、僕はいろんな物が大きい世界がいいな」

「ん?大きい世界?」

「うん、そう。僕は前まで小さかった時はいろんな物が大きく見えてて、そんな世界で生き抜いて来たからこそ信吾と出会って今の僕がいるんだ。危うく他の生物に食われそうになった時もあったけどね、、でも諦めずに戦ったり、逃げたりの繰り返しでね、、そんな環境で強くなったのは確かなんだ」

「なるぼどなぁ、巨大ダンジョンか、、攻略の難易度高そうだな。でも面白そうだな!罠なんかも凝ったり出来そうだな」

 などとクモスケと信吾で盛り上がっているとフォルガイムが横から口を出す

「そろそろ行きません?その話は無事このダンジョンを攻略してからにしません?自分もちょっと興味あるし、、」


 フォルガイムの言葉で先に進むことにした一行。

 5階層の一本道を進んでいくとガチャガチャと何やら道の先で音がする。現れたのはスケルトンだ。ガイコツがガチャガチャと音を立てて迫ってくる。すかさずクモスケが土の弾丸を放ってガイコツは崩れた。だがバラバラになってもまだ動きを止めない。ガイコツは頭だけで、手だけで襲ってくる。信吾が頭に蹴りを放ち吹き飛ばすと、壁に激突して更にバラバラになって動かなくなった。クモスケは襲ってくる手を鎌状の足で切り刻むと手も動かなくなった。

 すると奥からまたガチャガチャと音がすると思ったら今度は数体いる様だ。現れたのは全く同じスケルトンが十体で、それを見た信吾は

「みんな走るぞ!付いて来い!」

 そう言うと複数の土の弾丸を十体のスケルトンに当ててバラバラにした瞬間、走り出した。全員信吾の意図を察して付いていく。


 走り出してしばらく、スケルトンを巻いたと思った時に前から何かの気配を察知した。急ブレーキをかけた信吾が警戒をすると、クモスケと5号も気付いて信吾の横に並ぶ。

 フォルガイムは気付かずに突っ込んで行った。するとドーーン!グチャ!グチャ!ベチャッ!っと音がしてフォルガイムが、ぎゃ~~~っと絶叫を上げているのが聞こえた。

 警戒しながらフォルガイムの方に近付くと、どうやらゾンビの様な見た目のモンスターがフォルガイムに蹂躙されていた。


 最初に突っ込んで行ったフォルガイムはトラックの如くゾンビ達を吹っ飛ばして三体一気に壁に叩きつけられて潰れた音がしたのだ。

 吹っ飛ばしたゾンビを見てビックリしたフォルガイムが絶叫を上げた。そしてまだ残っていた数体のゾンビ達がフォルガイムに襲いかかってくる。ひとしきり叫んでから状況を把握して冷静になるフォルガイム。襲いかかってくるゾンビ達をよく観察しながら対処する。冷静になったフォルガイムは無駄のない動きで躱しながら打撃を与えていく、時には土の弾丸を飛ばし、時には手刀で首を切り落とす。隙がなく相手を蹂躙しているフォルガイムを見て5号が驚いている。

「やっぱフォルガイムも強いんだな、、」

 と5号が呟いたかと思ったら既にフォルガイムの戦いは終わっていた。


「ナイスだフォルガイム、さぁ先を急ぐぞ!」

 ゾンビ達の匂いに鼻をつまんだ信吾が先に進む。クモスケもフォルガイムに親指を立ててサムズアップすると信吾に続いた。

「かっこよかったぞ!フォルガイム」

 5号がサムズアップしながら言うとフォルガイムは、ありがとうと、照れたように言って信吾に続いた。


 そして先に進むと奥に階段があるが、その階段を守る様に骸骨騎士が立ち塞がった。ガイコツではあるが鎧を身に纏い、更に腕が右と左合わせて六本もありそれぞれ剣を持っている。

 信吾達が近付くといきなり右腕の3本を横薙ぎに振るって竜巻が起こった。咄嗟に信吾が同じ様な竜巻の魔法で相殺する。

 竜巻を起こした骸骨騎士は同時に踏み込み剣で攻撃を仕掛けてきた。ガキンッと5号が剣に変化させた腕で二本受け止めたが手が足りない、残りの四本をクモスケが受け止めてフォルガイムが即座に飛び蹴りを放った。蹴り飛ばされた骸骨騎士は数回転がってすぐに立ち上がり構えた。


 信吾は骸骨騎士を横目で見ながらクモスケの耳元で何かを囁いた。クモスケが頷いたと同時に信吾はウインドカッターを六本の腕に放ち切り落とす。すかさずクモスケが糸を出して腕ごと剣を手繰り寄せる。


 剣を奪い、やっちまいな!と叫びながら信吾はフォルガイムに二本投げる。フォルガイムは受け取り走り出した。腕のない骸骨騎士にフォルガイムの剣撃が繰り出される。物凄いスピードで切り刻むフォルガイムは自己流だが二刀流を使いこなし、無駄がなく洗練された剣撃だ。まるで踊るような剣撃に見とれる5号。信吾とクモスケには一撃一撃が見えているが5号には見えていない。スピードに追いつけずに音だけが頼りだった。間もなく戦闘は終了して一行はドロップ品を回収した。


 ドロップ品は一本の剣だった。その剣は魔力が込められていて不思議な効果もあるようだ。5号はすかさず鑑定してみた。

「これはミスリルで出来てるな、しかも風の属性が付与されている。一振りするとさっき骸骨騎士が放った竜巻が巻き起こるな、大した威力ではないが、、しかし魔力を込めて振ると風の刃が出るみたいだぞ」


「なるほどなるほど、ミスリルか、ファンタジー世界には定番だな」

 信吾が5号から剣を受け取り眺めていると

「いいですねミスリル!それって自分に貰えたりとかって、、?骸骨騎士の剣は倒したら消えちゃったし」

「そうだな、まぁここを出るまでフォルガイムが使ってくれ、出たら大剣を使うかミスリルの剣を使うかはフォルガイムに任せるよ」


 そして6階層に続く階段を降り始める信吾達四人であった。


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