第57話 ダンジョン(仮)での会議
ケルベロスとの戦闘が終了した信吾とクモスケ。
フォルガイム達とケルベロスを挟んで反対側にいた信吾とクモスケがゆっくり歩いてフォルガイム達の所に戻ってくる。途中クモスケに治癒魔法を掛けて傷を治してあげる。
「ちょっと信吾さんどう言うことですか?獄炎の炎の魔法使ってるじゃないですか!」
「かっかっかかかっこいい、、」
「酸素が一気に無くなるんじゃなかったんですか?」
「かっこいい、、かっこいい」
「クモスケさんも無茶しないで下さいよ!」
「カッコいい、カッコいい」
「騒がしいなお前達は、少しは落ち着けって」
信吾が歩きながら言い、5号の前に立つ
「信吾さん火の魔法って、」
「フォルガイムちょっと待て、後で答える。先に5号に聞きたいことがある」
「、、、カッコいい、、あいやぁい、違う。ゲフンゲフン。聞きたいこととはなんだ?」
上の空から急にキリッとした5号が済まし顔で言った。
「このダンジョンはどうなっている?入ってまだ一階層らしいのにあんなモンスターが出るなんて、誰も攻略なんて不可能だぞ?そこら辺はどう思う?」
「わ、私にはわからない、何かのバグかもしれない、、けど、でも、、恐らくこれはトゥトゥナ様の意図だとは思う、ケルベロスは門番として有名だから、、、いや、すまない忘れてくれ。あまり適当な事も言えない。根拠も何もないんでな」
「わかった。次だ、このダンジョンは何階層まである?」
「私が聞いているのは十階層までと聞いている。ちなみに初心者向けのダンジョンで弱い敵から始まって十階層のボスで終わりと聞いているが」
「う~ん、初心者向けで弱い敵から。十階層ボス、、、か、となると最初だけの不具合って可能性も無きにしもあらず、か、、、なぁ、ここの入り口で助けを待つって手はどうだ?」
「ふむ、恐らくは無駄だろうなぁ。」
「なんでだ?理由があるのか?」
「これは私の推測でしかないんだが、トゥトゥナ様はこの事を知ってるかも、、ケルベロスの件はわからないけど、以前言っていた事があるんだ」
そう前置きをして5号は続ける
「完成間近だから誰かここの調査員を決めようじゃないか。と、私達警備員五人で話し合ってはいたんだが、未だに決まってはいない。そこで信吾達が現れた。もしかしたらトゥトゥナ様は最初からこうなることを想定していたのかもしれないな」
信吾が片眉をあげてクモスケを見る。
「僕は何も知らないよ」
クモスケが悲しい顔で否定する。
「いや、クモスケを疑ってる訳じゃないんだ、ただ偶然が過ぎると思ってな、、、これも神の業で運命の導きみたいな感じなのかな?知らんけど。そう考えるとなんかゾッとするな。けど納得できる推測といえば納得できるな」
信吾は顎に手を当てて考える。
「あ、それとさ、5号これって何か分かるか?ケルベロスを倒したときにドロップしたんだけど、、見た目はファンタジーに出てくるポーションっぽいんだけど」
信吾が透明なガラスのビンに入った水色の液体だが、角度によっては虹色にも見える液体だ。
5号はそれを見て、はっ!としたかと思ったら、手に取りじっくり見始めた。
「やはりトゥトゥナ様は分かっていたって事だな。そしてケルベロスを倒したらドロップするようにした、と」
5号はニヤニヤしながら自分で納得して頷いている。
「うん、オッケー。まぁそれは分かったんだけど、肝心なソレはポーションって事でいいのかな?」
「ポーションではないぞ。これはな、つい最近トゥトゥナ様が研究に研究を重ねてやっとの思いで作り上げた代物なんだ。効果は欠損した部位をも再生して体力も魔力も全回復する薬、言ってしまえばエリクサーってとこかな」
5号がドヤ顔で説明する。するとクモスケが口を開いた。
「今の話って単純に考えて、今日トゥトゥナ様がダンジョンを完成させて、僕たちに調査をしてもらおうとしてただけじゃないかな?ただ僕が開けちゃったから内事情を知らずに入っちゃっただけとか?」
一同がクモスケの言葉に固まった。
「なるほどな、確かに5号の話をまとめるとその線が濃厚だな。本当は詳しくダンジョンの事とかケルベロスの攻略方法とかを事前に説明してもらってから挑む予定だったのかもしれないな」
「それだ!」
5号が納得して頷きながら言う。
「仕方がないな、じゃ先に進むか」
信吾が言うとフォルガイムが何やらいいたそうに信吾を見ている。
信吾がフォルガイムを見て
「あっ、火の魔法の事か、あれはな、、」
「信吾さん、すいませんでした」
「お、おう?どうした急に」
「やっぱり信吾さんは凄いですね、一個も二個も三個も先を読んで考えてる、、それなのに自分ときたら、一人で焦ってテンパって、どうでもいい事言っちゃったりして、、」
「あぁそうか、まぁ確かに模擬戦の時にも言ったけど焦って周りが見えなくなるのは頂けないな、常に冷静になるのを意識してみ?で、一歩引いて視野を広くしていろんな事を想定してみるんだ。すると答えも出てくるし、いろんな見方も出来るんだ、結構これ大事なこと。冷静に、視野を広く。な」
するとフォルガイムは深呼吸をしてから深く頷いた。
「はい!」
フォルガイムは落ち着いたのだろうか、少し雰囲気が変わり喋りだす。
「今冷静になって、視野を広くしてみたんですけど、炎の魔法って物理法則無視してる感じですか?酸素を必要としないとか?で、それとは逆にクモスケさんの炎は魔法じゃなくてスキルみたいな魔力を使わない?とか、かな?」
「おっ、早速だな。まぁ、ほぼ正解だ。補足するとだな、クモスケは魔力を使ってないわけじゃない、ベルゼブブからラーニングした炎のブレスは、炎こそ物理法則にのっとってるけど大きさや強さとかの調整は魔力を使ってるんだ。ちなみに俺の魔法は完全に物理法則を無視している。だから浮きながらでかい砲弾を前に打ち込んだとしても後ろに反動で飛ばされたりもしないんだ」
「な、なるほど奥深いですね」
フォルガイムとの話が一段落ついたと思ったら5号がおもむろに信吾の両手を握り目を見つめてきた。
クモスケが警戒しながら5号を見る。
するとそのままの状態で5号は目を見開きながら喋りだした。
「信吾の鑑定をしてみたんだ、どうも普通の人間とは比べ物にならないくらいの強さから始まり、能力や魔法の威力やチートっぷりが不思議だったんだが、、とんでもないな、複数の神の加護とは聞いていたが、精々2つか3つかと思っていたんだ、たが火、水、風、土、雷、時、生、死、と8つの神の加護を授かっている。これは凄いんだぞ、人間は精々頑張って1つ授かるかどうかなんだよ、、、信吾、お前は何かするときに思った通りに出来たこととかないか?やってみたら出来ちゃったとか?」
「あ、あぁよくあるぞ、そんな時はまずこんなことできたらいいなって思って一応やって見るんだ、そしたら出来ちゃったってのが多いかな?でもどうしても無理だったこともあるから特には気にしてなかったんだけどな、でもその加護って多分こっちの世界に来てから授かった加護もあるはずだから増えてるってことか」
「そろそろ離れてもらってもいいか?5号」
クモスケが5号の真横で言う。いまだに手を繋いで見つめ合っている5号と信吾。
「うわぁ!」
5号が奇声を上げて跳びずさる。なんだか真っ赤になって
「ち、違うんだ別に変な意味はないただ鑑定してただけなんだからなっ!」
早口でまくし立てる5号。
「ま、最後の死の加護が気になるところではあるけどな」
小声でボソッと呟いた信吾だった。
「よしじゃあ先に進むとするか、虎穴にいらずんば虎子を得ず、何事も為せば成るってな感じだけど、まぁ初心者コースって事だからこっからは大丈夫だとは思うけど、一応罠とかは注意して進んでいくぞ。オッケー?みんな」
「オッケー」
「了解です」
「わ、わわわかった」
それぞれが返事をした。




