第54話 チートアイテム
少し休憩をとる信吾達は黙々とお茶をすすっている。
沈黙が流れ、ズズズーとお茶をすする音しか聞こえない。
そして遂に沈黙を破ったのは信吾だ
「なぁクモスケ、俺は昔な、お祖父さんのお葬式の時にお坊さんがお経を唱えてるんだけど、右手にお払いの時使うような棒の先にバサバサがついてるやつを突然、えいっっ!って言って持ってる棒を投げたんだよ、で、すぐに拾ってまた唱えだしたんだ。俺その時笑っちゃってさ、、、、、、、うん」
「えっ?それだけですか?急に何を言ってるんですか?しかもクモスケさんに向かって言ってますけど、当の本人キョトンとしてますよ?」
「よし!いや、ちょっとリセットしないとさ、無理だから」
「なんのリセットですか」
信吾とフォルガイムのやり取りをキョトン顔で見るクモスケ。
「じゃ、また質問大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「なんかすみませんね、本当は物質創造の事を聞きたかったんですが、どうも気になる点が多くて、、まぁでも話ばっかり聞いてても進まないのでまた追々でお願いします。では、本題の物質創造の件なんですけど」
そういって空間収納から作り途中のスカーフを取り出して説明する信吾。
「なるほど、これはなかなかの代物になりそうですね。確かに難しいですね、うーん、魔法を吸収して、かつ自分の魔力に還元するとなると、、ドレイン、空間、適正、吸収、、なるほど、分かりました」
なにやら単語を並べたと思ったら自分で納得したトゥトゥナ。
「信吾さんまずですね、魔力を吸収した後に溜めておく場所を造りましょう、信吾さんの空間能力と物質創造を組み合わせて」
言われるがままに信吾はやってみる。
「はい、そして次にクモスケさん、ここに魔力を込めてみてもらえませんか?」
クモスケは何かに魔力を込めたことなど無かったが、魔法を使う時と同じ感覚と教えてもらいながら少しずつ流してみた。
「もう少しですよ、今クモスケさんが流した魔力によって吸収した他人の魔力がクモスケさんの魔力に適正、受け入れる体制が出来ました。ここからまた信吾さんの力で所有者の身体に吸収させるためにひと手間加えます」
また信吾は言われるがままに物質創造の能力を行使する。
「はい、完成しました」
なんともあっさりと出来てしまった。
ここの施設を考えるとそれも朝飯前なんだろうが、なんとも言えない空気になってしまった一同。
そのままクモスケはスカーフを貰い首に巻く。クモスケはニコニコで嬉しそうだ。
「ありがとう」
そう一言いったクモスケが続けて
「僕もちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
トゥトゥナが頷きながら
「いいですよ、なんでも聞いてください」
ニコッと笑いかけた。
「うん、えっと、なんか頭の中から声が聞こえるの、子蜘蛛達の声が。これって何かの能力なのかなんなのか分からないのと、同じように信吾の声とかって聞けないのかなって、、、」
「なるほど、面白そうですね、TSR5号ちょっとこちらへ」
そういって5号を手招きする。
「はい、トゥトゥナ様、何でしょうか?」
「ちょっとこの子見て貰えない?能力鑑定で、特に念話みたいな能力があるかどうか」
「分かりました」
すると5号はおもむろにクモスケの手を両手で握る。
しばらく目を瞑った5号がゆっくりと目を開く。
「クモスケ、お前は凄い能力をたくさん持ってるんだな、それは強いわけだ。しかも覚醒までしているとはなんとも、、」
「5号、それで?肝心な念話の様な能力はあるのか?」
トゥトゥナが先を促すと慌てた様に5号が答える。
「は、はい、確かにあります。これは蛇の能力から得た物でしょう。同じ、そうですね、同族となら念話で意思疎通が出来る能力ですね」
それを聞いて動物の知識に強い信吾が答えた。
「あっ、何か聞いたことあるな、蛇が仲間が死んだ時に遠くにいる蛇が騒がしくなったってどこかで書いてあったな、それで不思議な能力というか、念話の様な物で意思の疎通を図っているのではないかと言われているとかなんとか」
「うん、その能力でしょうね。そしてそれを応用して念話が信吾さんと出来ないかって話ですよね」
すると立ち上がってどこかに行ってしまったトゥトゥナ。
すぐに戻ってきたトゥトゥナはリストバンドの様なものを5つ渡してきた。
「これをはめてみてください、はめたらそこに魔力を通して見てください、あ、クモスケさんもどうぞ」
言われた通りにはめて魔力を込める。
すると目の前にフォログラムの様に文字が浮かび上がる。そのままクモスケを見ると【正常】【100%】と出た。
「ん?これは」
「あ、なんか信吾の声が直接頭に響いた」
「ふふふ、そのアイテムは今は5つしかないんですけども、全部あげます。で、肝心なアイテムの効果は、どんなところにいても、どんなに遠く離れていても通信が出来るだけではなく、状態異常の有無と、生命力を示しています。言わばHPと言ったほうが分かりやすいですかね」
「えっ?こんなに凄いアイテム貰っても?通信どころか見た相手の状態が分かるなんてチートアイテムを」
トゥトゥナはニコッと微笑んで頷いた。
「いや、でも何もお返しが、、、」
「いや、いいんですよ、、あ、でも一つだけお願いがあります」
信吾が顔を上げてトゥトゥナを見て嫌な予感が頭をよぎる。
「ふふふ、そんなに警戒しないでください。まぁ、お願い事っていうのは、そこにいるTSR5号を一緒に連れていって欲しいの、旅のお供にね」
それを聞いた信吾はまんざらでもなさそうだ。何しろ言葉が通じない相手に何かして通じる様にした能力も去ることながら鑑定まで使えるとなるとかなり欲しい逸材だ。
「えっ?こいつ弱いからいらないと僕は思う」
「な、なんだと!」
クモスケの言葉に思わず反論しようとする5号。
「まぁまぁクモスケちょっと待ってくれ、俺は特に問題はないと思うぞ。ん、、、いや、多分、多分」
なんとなく信吾は初対面の時を思い浮かべていた。あの時確か早とちりで攻撃されたこと、1号がアンドロイドのくせに頭が悪いのがたまにきずとも言っていた。それを鑑みるに、もしかしたら5号を俺たちに押し付けようと?とまで勘ぐってしまう信吾。
「信吾さん、違いますよ。私はただ5号が旅のお役に立てればと思いまして提案したまでです」
ニコッと微笑んで信吾を見る。
「何か考えてる事が分かっているみたいな発言でしたけど、心を読んでます?」
「いや、そんなことは出来ないですよ、ただ顔に書いてあったので、ふふふ」
「、、、分かりました。ありがたく頂きます」
そういって話が一段落ついた。
「では、そろそろ地球に会いに行きますか?」
トゥトゥナが言った。
「あ、そうですねお願いします。ちなみになんですけどここって何人位で住んでるんですか?この地下施設に」
信吾が何気なく軽く聞いた。
「はい、そうですね、シュメール人が50人位で私含めてレプティリアンが3人、あとヴォイニッチ手稿を解読した人間が10人で、あとはアンドロイドでここの施設を警備している4人ですかね、何しろ私達は戦闘に関しては素人同然ですから、強いアンドロイドと強い武器でいざというときに備えています」
しれっと5号の事を抜かして言ったトゥトゥナ。
「なるほど、意外と少ないんですね」
「まぁ、少ないと言えば少ないかも知れませんが、ここ北極の反対側の南極側でも同じように施設があり同じような人数がいます、そして情報を共有しながら地球を維持しているのです、、あ、ちなみにこれは地球だけではないですよ、月や太陽、火星等にも地下施設はあり、同じ様に惑星を維持しているのです」
「今のが一番驚いた。とんでもなくぶっ飛んだ話を聞いたような、、、」
ブンブンと頭を振り切り替える信吾。
「では、行きましょうか」




