第52話 地下施設入り口にて
手を繋いで魔法陣の中に入った三人。
すると魔法陣が電気をつけた時の様に明るくなり、その光が信吾達を包み込んだ。
通常なら魔力を通して起動するのが通説だが、この魔法陣は乗っただけで起動するタイプのようだ。
光に包まれた信吾達は一瞬で別の場所に来たようだ。
今までいた場所と同じ体育館位の広さがあるが、出入口の扉以外にも大きなシャッターが二つある。一つは開いていてその中の乗り物を見て信吾が叫ぶ。
「ゆ、UFO!UFOUFO!ゆーほーーーー!」
いかにもUFOですと言わんばかりのそのまんまのUFOが鎮座ましましている。
「な、何者だ貴様達!」
UFOが置いてある奥の方から声がした。
信吾達は一斉にそちらをみると、これまたいかにも未来人です、といった格好をしている赤髪の美人なお姉さんがこちらを見て警戒している。
「あ、いや、初めまして、向井信吾っていいます。ちょっと用事があってここに来たんですけど、、ここって地底人がいる場所であってますか?」
「怪しいヤツめ、、、用事とはなんだ」
「あー、ちょっと困ってることがありまして、、えーと、神様からここの事聞いて、、」
ブオンッ!
「あっ危なっ!いきなり斬りかかってくることないじゃないですか!今俺が避けなかったら首取れてましたよ?」
いつの間にか持っている剣の様な刃物で切りつけてくる。
「うるさい!人間の分際で神から聞いたとは、見え透いた嘘を言って何が目的だ!」
ブオンブオンブオン
連続で斬りかかってくるが難なく避ける信吾。信吾が止めるように声をかけようとしたその時クモスケが動いた。
ザンッ!
未来人の右腕が剣ごと落ちた。
「おい!クモスケそりゃまずいぞ!」
信吾が近付いて治癒魔法をかけようとするが未来人は痛がる素振りを見せない。未来人が切られた腕を見るとその腕と剣が銀色の液体になり、吸い込まれたと思ったら切られた部分から腕が生えてきた。
「貴様ぁぁ許さん!」
興奮した未来人が右腕をマシンガンの様な形に変えた。
「お、おい、まずいぞフォルガイム盾だ盾を出せ!」
フォルガイムが盾を出したと同時に未来人が容赦なく撃ってきた。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
カカカカカカカカカカカカカカカカカカン
「よし、どうやら盾は貫通しないってクモスケ?」
クモスケは盾の内側に入らずに硬質化した手で全ての弾丸を弾いている。そしておもむろに左手を突き出して土の弾丸を拳より少し大きめのサイズにして一発放った。
ドンッと音がして未来人の顔面に大きな穴が空いた。
「おい、フォルガイムなんかどこかで見たことないか?」
「ええ、どこかの何かで見たような?」
「俺もそんな気がするよ」
「この後元どおりに戻る気がします」
「俺もそんな気がするよ」
案の定一瞬銀色の顔になったと思ったら元どおりに戻る未来人。
「ぐぬぬぬぬ貴様ぁぁこ、これならどうだ!」
するとみるみるうちに姿が変わっていくとその姿は信吾そっくりになった。
「おい!俺を攻撃するのか?」
偽信吾がクモスケに言った。が、直後にバラバラになっていた。
バラバラになった未来人の体が集まり合体して、また元どおりに戻る。
「き、貴様少しは躊躇したらどうなんだ?」
「お前は信吾に似ても似つかないし、そんなものに騙されるほどバカじゃない」
いまだに盾の内側にいた信吾とフォルガイムは小声で密談を始めた。
「おい、フォルガイムなんかあいつ弱くないか?実際この盾だってお前が殴れば簡単に壊れるんだぞ?」
「えっ?そうなんですか?」
「あぁ、前にこれと同じ素材で作った鎧をお前はパンチとも言えないようなパンチで破壊してくれたんだよ」
「あ、あぁあの時の事は正直あんまり覚えていないんですよね、なんと言うか断片的というかとぎれとぎれみたいな感じで」
「あぁ、そうか、、、なるほど」
未来人とクモスケが勝負とも言えないような攻防戦を繰り広げている。接近戦で未来人が攻撃を繰り返すがクモスケは攻撃を見切って全てカウンターで返している。そしてその都度クモスケの背中の鎌状になった足で切られては再生を繰り返している。
「あ、あれは液体金属でいいんですかね?」
「いや、ここは異世界みたいなもんだろ?だからいろんなモンスターがいてもおかしくはないだろ。切られても再生するなんてヤツはいっぱいいるんじゃないのか?」
「あ、確かに強い敵になればなるほどそんな敵が増えてきますね、、、ボスとか?、、」
「いや、スライムだろ、真っ先に思い付くのは」
「えぇ?いやいや、ボスキャラですよ」
「いや、スライムだね」
「いやいや、ボスキャラですよ」
「スライムったらスライムぅー」
「#@%*$&#!」
どこかから大きな声がした。声のした方を見ると未来人らしきの男の人が立っていた。
すぐさま未来人女の所に駆け寄って何か怒っている様子。だが言葉が違うのか全く理解が出来ない。
そしてしばらく話し合いをしたかと思ったら、未来人女が渋々魔法のようなものを未来人男にかけた。
「すみませんでした。このバカ女が早とちりしたみたいで、、とにかくすみませんでした、許してください」
未来人男が急に日本語を喋りだした。
「わかった許す」
「よかったありがとうございます。して、あなたが信吾さんで?」
「違う、僕はクモスケ、信吾はあっちにいる」
クモスケが信吾のいる方を指差す。
信吾はそれに気付いて盾の内側から出てきた。
「あ、どうも初めまして、向井信吾っていいます」
「初めまして私はTSR1号です。で、この女形がTSR5号です。そうです、私達はアンドロイドです」
どこかの漫才師の様な紹介をする1号。
信吾はそれをスルーしてスライムじゃなかったんかと落胆した。
「あ、あの?」
「あ、あぁすいません、アンドロイド?」
「はい、細かく言えばですけどね、実際ロボットでもサイボーグでもなんでもいいんですが、一応最新型のAIが組み込まれていまして、それぞれ1号から5号までが特殊な能力を備えていて、この地下施設の警備にあたっています」
「なるほどなるほど、確かに細かく言えばロボットは人の形をしていなく、ただ単純な作業をするってイメージだし、サイボーグとなると人間ベースに色々弄くって改造するってイメージだもんな、となるとアンドロイドがピッタリか、、ホムンクルスとも言えなくもないか?」
「ホムンクルスですか、少し違いますね。ホムンクルスは簡単に説明すると人間の精子を元に錬金術による魔法で造り上げるといった感じですのでまた違いますね。ちなみにクローンとも違います、クローンはそもそも卵子から造られるので、、、」
「あぁ、いいです、なんか頭痛くなってきた」
「そうですか、ではこの話は止めましょう」
「あそうだ、1号さんが入って来たときに言語が違ったようなんですが、今は通じてますよね?何かしました?」
信吾が5号を指差して聞いた
「はい、5号の特殊な能力の一つですね。神界にいる神様達の能力の劣化版みたいなものです。5号は戦闘能力こそ無いものの特殊な能力が重宝されています。しかしアンドロイドのくせに頭が悪いのがたまにきずですが、、、」
最後の方は小声になっていた。信吾は大きく頷いて納得する。
「で、俺の名前を知ってたっぽいけどアマテラス様から何か聞いてます?」
「い、いえ、アマテラス様から直々にではありませんがアマテラス様の使いの方が見えられて、信吾さん達が来ると聞きましたが、もう少し早いものかと思っておりました」
「うん、確かに何もなければすぐに来たんだけど、色々あって遅くなっちゃいました。てへ」
「ちょっ!なんでそこでふざけるんですか」
フォルガイムがすかさず突っ込みを入れる
「あ、クモスケはもう知ってるね、で、この、、人間?昆虫?サイボーグ?ん?え?あーーー鎧がフォルガイムです」
「最後諦めましたね?なんでもいいやって思いましたね?」
「お前は雄也だろ」
「クモスケさんも参戦してこないでくださいよ、ここ大事な場面ですよ」
信吾達のやり取りをジッと見ていた5号が突然口を開いた。
「そこの喋ったお前は何者だ?なんでそんなに強いんだ?」
「僕はクモスケだ、喋ったお前じゃない」
「ぐぬぬぬぬ、クモスケは何故そんなに強いんだ」
「知らない」
「ぐぬぬぬぬぬ!」
「漫画とかの創作物以外で実際にぐぬぬぬぬとかいう人はじめて見たかも、いや、違うそこじゃない。クモスケ、聞かれてて知らないはちょっと酷いと思うよ」
「ん、わかった、ごめん。うーん、信吾と一緒に頑張って強くなったんだ」
クモスケなりの一生懸命の答えだ。確かに間違いではない。
「ま、まぁトレーニングの成果かな、確かに俺と一緒に頑張ったよな、うん、そ、そうだえーっとあのUFOって乗れたりする?」
「無理矢理話変えようとしないでくださいよ、それにこんなところでそんなことしてたら話が全く進まないですよ」
フォルガイムが突っ込んでもっともらしいことを言う。
「そうだよ、ここに来た目的だ!あの1号さん、この地下施設で物質創造のアドバイスをもらえるって聞いたんですけど、どこに行けばいいですか?出来れば1号さんが案内してくれればいいんですけども、、」
「そうですね、では案内を、、、5号頼みます」
「「「「えっ?」」」」
1号以外の全員がハモった。




