第五話 身体の異変
しばらく走って大体4キロかな?てところでスピードを落としてみるが、不思議なことに全く疲れていない、今からダッシュして戻れるぐらい全然余裕だった。
よし、いつもの公園に行ってみっかなーと思い、そのまま走って引き返した。
公園もさっきのコンビニも家の近くにあるので試しにスピードを上げて全力ダッシュよりちょい手前ぐらいの気持ちで走り出した。その瞬間
(うをっ!オリンピック選手並?いや全然それ以上だぞこりゃ!)
風を切っているのが肌で感じるのがわかる、
(昔バイクに乗ってすっ飛ばしていた時と同じぐらいか?)
案の定約4キロの距離を3分とかからず戻ってきてしまった。しかも全然疲れていなく、息も上がっていない。
不思議に思う反面ワクワクしながらも公園に向かう。公園についてさっそく鉄棒に掴まって懸垂をはじめた。
*****50、51、52、53
*****100、101、102
*****200、201、
「もう止めるか、まだまだいけるけど次だ次ー」
砂場に入りいつもの反復横飛びを始める。砂場の砂を巻き上げながら、ものすごいスピードで右へ左へと体を動かす、もちろんここでもいつもの数倍のスピード、踏み込みの力強さでだ。
砂場の砂が完全に枠の外に出てなくなりかけたときに止まって、一息ついてみたが、ここでも全然疲れていない。
1度落ち着く為に公園のベンチに座り頭を巡らせて考えてみた。
(この現象はなんだ?人がいなくなったことと関係している?色々と不思議な点が多々あるな、、まとめてみるか、)
腕を胸の前に組んで目を瞑って意識を集中しながら考える。
(うーん、、、昨夜からの異変、電気ガス水道の停止、人が急に、そう、忽然と消えたような現象、さらに、車が道路には一切無く全て駐車場に収まっている。で、俺の身体の異変、これは全部関係してるかもな、、)
ふとそんな意識の集中の中気配を感じた!しかも動いているし、完全に生物だ!目を開けて気配の方に振り向くと、何もいない、、、いや、いる!ベンチの上に小さな、小指の先ほどの小さな蜘蛛が、こちらを見ている、
(なんだっけこれ、、、ああ、ハエトリグモか、確か益虫で人間には害はないんだよな。)
ジッとみているとハエトリグモもたくさんある目でこちらを見ている、ふいにハエトリグモは前足を上げて挨拶するかのように1歩前に出た。
「おっすー」
信吾も片手を上げて挨拶する。
こんな世界になって人恋しくなっていたときに初めての生物だ、嬉しくなって先ほどポケットに入れたパンをとりだし細かく千切って蜘蛛の前に置いてあげた。
「口に合うかわからんが、あげるよ、食っていいぞー」
そう言うと蜘蛛はお辞儀をして食べはじめた。あっという間に無くなったので
「まだ食うか?いっぱいあるぞー」
といったら蜘蛛はコクコクと頷いた。
信吾はパンを千切っては置き千切っては置きを数回繰り返して蜘蛛は見事全部食べ尽くした。
食べ終わった蜘蛛は軽くお辞儀をして、また前足を上げて去ろうとしたが、
さすがに信吾は突っ込んだ。
「いやいやいや、どこから突っ込んだらいいかわからんが、まずは、俺の言ってることを理解してる?」
蜘蛛は両前足で○を作る。
「オッケー、じゃ2つ目、なんでこんなお前からしたらめっちゃでかいパンがまるまる入る?どこに入ってる?」
蜘蛛は首の部分を傾けてわからないといった雰囲気を出している。
「なるほど言語は理解しているがパンはどこに入ってるかはわからないか、、、、んーーまだ食えるか?」
興味本意で聞いてみた、すると蜘蛛は両前足で○を作る。
「よし!着いてこい!、、いや、肩に乗っていいぞ、連れてってやる!」
蜘蛛は頷いてからジャンプして肩に飛び乗ってきた。