第46話 御神木の実
神界から帰ってきた信吾は霊体から自分の肉体に移り目を開ける。
「あ、お帰りなさい信吾さん」
「おかえりー」
フォルガイムとクモスケが出迎えてくれた。
「ただいま」
挨拶をして立ち上がる信吾。
「どうでした?神さまは?」
フォルガイムが聞いてくる。プレハブ小屋のところまで歩きながら答える。
「いやぁ~色々あって、ありすぎてちょっと自分なりにまとめたいところだな、まぁでも今後のスケジュールが一部決まったよ」
「そうなんですね、またまとまったら聞かせてください」
信吾が黙って頷いた
「そんなことより俺が意識無かった時いたずらとかしてないよね?大丈夫だよね?」
「大丈夫ですよ、クモスケさんはちょっとあぶなかったですけども」
「カンッ」と音がした。クモスケがフォルガイムの後頭部に土の弾丸を飛ばした。
「うるさいな、雄也は」
「クモスケさん、クモスケさんも信吾さんの真似をして幽体離脱をゲートが無いのにやろうとしてたじゃないですか」
「うっ、、それを言うなバカ雄也」
クモスケが顔を赤くしてまた土の弾丸を飛ばした。
「バカ雄也じゃないですよ、雄也ですよ、いや違うフォルガイムですよ」
信吾がいつもの流れになってきたのを笑いながら見ている。やりとりをしているうちにプレハブに着いていた。そして雨は上がり日が落ちて辺りが暗くなる。
なにやら広場の一角で無数に光っているところがある、近づいて確認すると白色、黄色、水色の火の玉で妖怪達が集まっている。
『うわぁあ!』信吾とフォルガイムが同時に叫ぶ。
怪談話に出てくる話の中の一コマの如く佇んでいる妖怪達に肝を冷やされた。
「あっ、すみません信吾様、私達です。驚かせて申し訳ございません」
雪女が謝罪する。
信吾とフォルガイムは強がっているが足はふるえている。
どうやら今後の話し合いを皆でしていたそうだ。
火の玉は三姉妹がそれぞれ出していた。雪女が白で、山女が黄色、海女が水色と色が違うだけで温度の違いではない。ちなみに光源のみなので熱くはない。
「私達は何かここで出来ないか思案していました、サリオン様とも話をして、「自由にしていい」とそう言っていただきました。なので少しこの広大な森を切り開いて畑を作って作物を育てようと思っておりました」
雪女が代表で話す。
「あ、あぁいいんじゃないのか?サリオンもいいって言ってるなら。それにしても妖怪の皆はいつも何を食べてるの?作物って訳じゃないよね?」
信吾が聞く。
「はい、私達は人間の生気か、生気の籠った植物や作物等を吸収して存在しています。
ちなみに私達には関係有りませんが、悪しき妖怪や怨霊、悪鬼羅刹の魑魅魍魎等は人間の悪気を糧にするか、直接人間を食しています。
しかし、復活してからは人間がいなく生気もないので私達は植物からのみの吸収しかなかったのです。
でも嬉しい事にここに来てからは御神木の聖気があるのでそれだけで私達は存在出来ています」
「なら大丈夫なんじゃないの?」
「そうなんですが、何もしないということもいかないかと、皆そう思い志願したのです。それで作物を育てればサリオン様達も食されると申されていたのでよろしいかと」
「なるほどね、納得した」
そういって信吾は空間収納からプレハブの倉庫を出して使えそうな農具を次々にいれていく。
「このくらいしか協力できないけど、頑張ってね。また必要だったら遠慮なく言ってね」
「あ、ありがとうございます」
妖怪達がそれぞれ信吾にお礼を言う。そして三姉妹が信吾に近づいてお礼をする。密着してボディータッチしながら、、、クモスケが能面の様な顔でこっちを見ている。
「近い近い!そうそう、ちょっとサリオンを呼んできてくれないか?」
分かりましたとすぐに三姉妹が呼びに行った。
「はぁぁー。やれやれ、あの三人はいつもセットで行動するのか?」
深いため息をついてボソッと信吾が呟いた。
「主さんにはお世話になりっぱなしでありんすね、今はなにも出来んせんが、いつか何かお礼が出来ればいいと思っておりんす、本当にありがとう」
座敷わらしのリンが言う。
「いやいや、俺は特に何もしてないよ」
リンの肩に乗っているコロポックルと一寸法師も頭を下げている。
しばらくしてサリオンが来た
「すいませんね夜分遅くに呼んじゃって」
信吾が言うとサリオンが答える
「いや、大丈夫ですよ。特に何もしていなかったので。それで何かありました?」
「あぁ、まずは妖怪達を受け入れてくれてありがとう、それに森を切り開いての作物作りの承認、ありがとう」
まずは前置きをはさんで、少し間をおいて続きを話す
「それと、御神木の実って今ある?」
「えっ?あ、はい、一つありますけど?どうするんですか?」
「食べたいんだけどダメかな?」
「えっ?食べる?しかし人間は食べると毒と言われていますよ?だから今までは私達しか食べていないのですか、、」
「あっ、あ~なるほどね、隠蔽的なのかめんどくさかったのか分からないけど、、、ま、ある意味毒なのかもしれないな。うん、実は御神木の実は神の実って言われているらしくて人間が食べると、、ま、早い話が魔法をエルフ達みたいにいくつも同時に行使することが出来るらしいんだ、で、アマテラス様からお許しもでたから」
サリオンが目を見開いて言う
「そ、それはちょっとビックリ仰天です」
「サリオンがビックリ仰天って言ったことにビックリ仰天したよ」
信吾がすかさず言った。
「分かりました、御神木の実はとても美味しくて、ここ最近は誰が食べるか決めあぐねているところでした。すぐに持ってきます」
サリオンが持ちに行ったのを見送って信吾達も食事の準備をする。
妖怪達も解散して各々自由にしている。休んでいる者もいれば遊んでいる者。信吾達をただ微笑みながら見ている者。
信吾とクモスケとフォルガイムで食事をしているとサリオンが戻ってきた。
「遅くなってしまってすいません。マンマゴル達に説明していたら遅くなってしまいました」
「いや、こっちこそいきなり無理言ってすいません。ちなみにマンマゴル達は何て」
「みんなに説明したらみんなもビックリ仰天してました。なので快く譲ってもらいました、これです」
ビックリ仰天をまた突っ込もうと思ったがやめた。
サリオンが差し出した実は毒々しい色をしていて大きさはさくらんぼより少し大きい位だ。
「ありがとう、これが神の実か」
信吾はジックリと見ながら呟いた。毒々しい色に少し戸惑いながら一気に口に入れて一口噛む
「ガリッ」と音がして
「いった~血ぃ出た血ぃー、、ん?うまいっ!」
「あっ、種があるの言ってなかったですね、すいません」
信吾はモゴモゴしながら種を出す
「これはいつもどうしてるの?」
「あっ、それはゴミですねいつも燃やしていますよ」
サリオンが答えると信吾が言う
「神の実の種を燃やすなんてビックリ仰天だよ」
と言ってさりげなく空間収納にしまう
「種を植えると生えてきたりしないの?」
「いや、それはないと思います。何度か試しましたが結果はなんにも生えない結果となりました」
信吾は何か条件があるんじゃないかと思った。
「いや、旨かったよ、食べたことない不思議な味でなんとも言えないけど、また食べたくなる味だったよ」
微妙な感想を言って完食した信吾は、早速同時に魔法を使えるか検証しようと思い、どこでやろうか思案する。
「それでは私はいきますね、おやすみなさい」
「あぁ、ありがとう。おやすみなさい」
サリオンが帰っていった。
「じゃぁ、自分も眠くなって来たんで寝ますね、おやすみなさい」
フォルガイムも自分のプレハブ小屋に戻って行った。
「ちょっと海に行って魔法を試そうと思うんだけど、クモスケも行くか?」
「行く行く!」
クモスケがピョンピョン飛びはねながら言う
「私達もついていってもよろしいでしょうか?」
三姉妹が言う
「あぁ、構わないけど、寝ないのか?」
愚問だった
「私達は基本的には睡眠を必要としません、それがアヤカシと呼ばれている所以の一つなのです」
「なるほどね。オッケーわかった、じゃついてきて」
空間転移のゲートを開き中に入る。
そこは前にクモスケとイカを釣った湘南、江ノ島の海だ。
真っ暗で何も見えなかったがすぐに三姉妹が火の玉の光源を浮かせる。
「じゃ、早速」
信吾が火、水、土の魔法をボールにして空中に浮かべる。そして一気に海に放った。
「おぉぉ!頭痛くならない!よしっ!成功だ」
続いて無重力の魔法を自分にかけて風魔法で飛行しながら水と風で氷結魔法を放つ。みるみるうちに空気が凍り付いていきダイヤモンド・ダストがキラキラと煌めく。
「よしっ!成功だ!」
飛行しながらの氷結魔法は、信吾が飛んでいる軌跡を辿るようにキラキラと煌めく。
そのダイヤモンド・ダストを見て三姉妹が
「キレイ」と呟く。
クモスケはジッと信吾を見ている。
信吾は飛行していると、ふと江ノ島の灯台に目がいった。そしておもむろに魔力を右手にこめて前に突き出す。
バーーーーーーン!と雷が灯台に落ちた。
ノッてきた信吾は飛行しながら獄炎の魔法を空に打ち放つ。ゴバーーーーーーーーッ!
辺りが一気に明るくなった。
次にトルネードで竜巻を起こし氷の刃と土の刃を竜巻の中に放つ
竜巻による轟音の中でガキンッガキンッと刃同士が弾き合っている。相当な殺傷能力を秘めている技だ。
少し疲れてきた信吾は砂浜にいるクモスケ達のところに戻って来た。




