第四話 朝のひととき
コンビニに着いた信吾は、相変わらず電気が止まっている自動扉を手動で開けて、「誰かいますかー?」
と大きな声で呼び掛けるが反応無し。
「じゃさっそくいただきますかな」
と独り言にしては少し大きな声で言いながらカゴを持って物色し始める。ぬるくなった缶コーヒーとパンを2つ、おにぎり2つをレジに持っていき、
「お願いしまーす、、、、、やっぱり誰もいないよねーー、持ってっちゃうよーーごちそうさまー」罪悪感からか少し足早にドアを抜けて外に出る。
お店の横にある灰皿の前のベンチに座りおにぎりを剥いて口に放り込んだ。ちょっと固かったが食べられないこともない。パンを1つ食べて缶コーヒーで流し込む。食べ合わせが悪いが、コーヒーが飲みたい気分だったので仕方がない。
残ったもう1つのパンは後で食べようと思いポケットに突っ込んだ。
ふと横に置いてある灰皿を見て辞めていたタバコを吸いたくなってしまった。なぜだろうか、イライラしていたのか、落ち着かなかったのか、とにかく店に入り昔吸っていたタバコを手に取り、
「ごちそうさまっす」
そう言って外に出て、車の中に非常用にストックしてあったライターを手に取り、またベンチに座りタバコに火をつけた。ボゥワー!とライターの火が前髪を焦がす勢いでついてビックリしたが、なんとかタバコに火をつけて落ち着いた。
コーヒーとタバコの体に悪そうな組み合わせを飲みながら、この後どうしようか考える。
ふと、週一でやっているトレーニングでもやるかなーと思い、立ち上がってコーヒーの空き缶をゴミ箱に捨てて、走り出した。
信吾は40歳になったときに体の衰えを感じてから週一で、休日の朝から走り込み、そのまま公園の鉄棒で懸垂、砂場での反復横飛び、家に帰って部屋での腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワットをこなしていた。最初の頃は全然できなかったが今はランニング4キロ、懸垂と腕立てとスクワットが50回、腹筋と背筋が100回と、この2年続けて出来る様になった。
たまにジムには行くが特に筋肉を付けてムキムキマッチョマンになるつもりもなかったので、程々にしていた。
それ以上に今の仕事の影響も多い。4トンのトラックにパンパンになるぐらい手積みして、更に手下ろし、配送が遅れれば駆けずり回って積んだり下ろしたりでスタミナと体力はかなり強化されていた。