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第37話 水族園

 カラスとの戦闘が終わり、しばらく車で走っていると近くに水族園が見えてきた。


「葛西の水族園があるけど、どうする?」

 誰とも無しに信吾が聞くと、フォルガイムが答える

「何しに行くんですか?」

「いや、遊びに?どんな海の生物がいるか見に行くんだよ、クモスケはどうする?」

「信吾が、行くなら、僕も行く」

「じゃ、行ってみますか」

 そう言って水族園に向かう三人


  __________


 水族園に着いた三人はまず入り口でパンフレットを持って中に入る。

 園内は静かで何もいない。分厚い水槽が割れて水が全部出てしまっている。

 中にどんどん進んでいくと、そこには大きなペンギンが出迎えてくれた。


「でかいでかいでかすぎですよ!あのペンギン!」

 フォルガイムが興奮しながら言うと信吾がパンフレットを見ながら

「あれはイワトビペンギンらしいぞ」

 冷静に言うと

「なんで、冷静なんですか!ヤバイですよ」


 ペンギンは見た目では2メートルを越えていてかなりの大きさ。こちらを警戒しながら見ている。

「じゃ、次行こう」

 信吾が冷静に言うとフォルガイムが慌てて

「えっ?い、行くんですか?」


「あぁ、どんな生物がいるか見に来たんだからな」

 言いながら歩いていく、次にタコが遠くの方で警戒している。タコも相当な大きさだ。

「あれは、マダコだな」

 言い終わると同時にカニがどこかから飛んできて、ハサミを突き刺して来た。


「逃げるぞ!二人とも」

 信吾が走り出すと同時にフォルガイムとクモスケも走り出した。

 カニがハサミの不意打ちを避けられてバランスを崩している。

 少し距離をおいて振り返る、そして信吾が言う

「あれは、ベニズワイガニらしいぞ」


「あれもかなりデカイですね、動きを見るとスピードも上がってますね」

 フォルガイムが分析していると信吾が冷静に

「多分この3匹で競いあってるな、他に気配を感じない、またワニとかヘビとか出てくるかと思ったんだけどいなかったな」

 二人で話し合っているとベニズワイガニが襲ってきた。

「フォルガイム頼んだ」


 信吾が言って少し離れると、フォルガイムが叫ぶ

「えっ?ちょっと!まっ」

 言い終わる前にベニズワイガニが両方のハサミで攻撃してきた。

 ガキンッガキンッ!と金属同士がぶつかった音がした。

 フォルガイムが両腕でベニズワイガニの両ハサミを防ぎながら叫ぶ

「信吾さーーん!」

 すると、遠くから信吾が言う


「フォルガイムー、お前は少し自信をつけた方がいい、勝てない相手じゃないぞ、、、あぁそうそう、こいつをお前にやるよ」

 空間収納からチタン製の大剣を出して放り投げる。


 フォルガイムは飛んでくる大剣をベニズワイガニから距離をとって片手で掴んだ。

「これは!」

 フォルガイムの2メートルを越える体躯にピッタリな大剣を見て、ニヤつきながら喜んでいるようだ。

 やる気になったようで、大剣を持ちながらポーズを取ったりしている。


「よし、あとは任せよう。クモスケ、とりあえずタコとペンギンは様子見だな、襲ってくる様なら倒すけど」

 それを聞いたクモスケが

「あの二匹、倒さない?食べない?なんで?」


「ん~、そこまで強くないって言うか、クモスケが強くなったって言った方がいいのかな?脅威でも無くなったし、あんまりやり過ぎると弱いものいじめになっちゃうからさ」

「んーー、わかった、信吾が、そう言うなら」

 しょんぼりしたクモスケを見て信吾が

「帰ったら美味しい物食べような、カニもタコも鳥もあるからいっぱい食べような」

 クモスケの頭を撫でながら言うと、クモスケは笑顔になって頷いた。


  ***

 実は信吾は今後の事を考えていた、異世界人が来るに従って異世界のモンスターがやってくる、と。そうなった時に確実に虫達は駆逐されるだろうと懸念していた。

 自分達の敵となる可能性があるなら討伐の必要があるが、そうでないのならある程度強くなってないとすぐに絶滅してしまう種が出てくるだろう。

 それにマンマゴルが言っていた重力の違いなんかも気になっている点だ。

 今の信吾は気になっている事が多すぎて、頭がパンクしそうだが、一つ一つ片付けていこうと考えていた。

  ***


「ドゴーン!」

 大きな音がして、そちらを見るとフォルガイムが一撃でベニズワイガニを撃破していた。

 フォルガイムは驚いて固まっている。

「フォルガイム凄いじゃないか、一撃必殺だな。

 じゃ行こうか、あの二匹は襲ってくる様子もないからもう行こうぜ」

 固まっているフォルガイムを引っ張って車に乗せる。

 もちろんベニズワイガニは空間収納の中だ。抜かりはない。



 車を走らせながら信吾がフォルガイムに話しかける

「フォルガイムー?フォルガイム?大丈夫か?どうしたんだ?黙っちゃって、、ははーん、さては初めて戦った相手が強いにも関わらず自分は一撃で倒してしまってビックリってところか?さらにこの大剣の切れ味といい、自分の頑丈さ、パワーなんかに驚いているとか、、かな?」


 少し間を開けてフォルガイムが呟く

「なんでわかっちゃうんですか?全部その通りですよ」


「だから言ったじゃん、お前は強いって、もっと自信を持ちなさいよ若者。カニに攻撃された時思わなかったか?あのレヴィアタンのパンチより全然効かないとか、普通の人じゃとても持てないような大剣を片手で軽々持っているとか、地面が陥没する位のパワーがあるとかさ、思った筈だよ。実際素手でも勝てたと思うけどな。自信を持つことは良いことだぞホント。但し自信過剰になって謙虚さを忘れるとしっぺ返しを食らうから気を付けないといけないけど」


 信吾の言葉を聞いたフォルガイムは下を向いて何やら考え込んでいる。

 しばらくそのままで数秒が経った。

 すると

「ふふふふふ、はははははははははっはぁー、、、ふふはふふふふっあーはっはっはっは、ひぃーひぃー苦しいぃーー」

 急にフォルガイムが笑いだした

「おい、大丈夫か?」

 フォルガイムを心配して信吾が聞くと

「さ、さすがですね信吾さん、凄いですよ。もう信吾さんの言う通りすぎて、ビックリですよ。なんでそんな手に取るようにわかっちゃうんだろうなぁ、、、、、、、、、うん、信吾さんのおかげで少し自信がついたかもしれません、、あ、ありがとうございました!」


「お、おう、それは良かったな、まぁ俺とクモスケのトレーニングについて来れてる時点で気付かないとおかしいけどな。それにしてもお前が笑いだした時にはとうとう頭イッちゃったかと思って心配したぞ」


「えっ?ちょっ!酷くないっすかそれぇー、でも自分も信吾さんがおかしくなったのかと思いましたよ、だってあのでっかいタコを打ち上げて、これがホントのタコアゲだーとかってやらなかったのが信吾さんらしくないっすよ」


「お前は俺を何だと思っているんだ?」


 信吾とフォルガイムが話をしていると横からクモスケが入り込んできた

「雄也、信吾の事、悪く言うな、弱虫」

「クモスケさん自分の名前はフォルガイムですよ」

「うるさい、お前は、雄也でも、フォルガイム、でもない、弱虫だ」

「いくらクモスケさんでもそれはダメですよ、悪い子にはお仕置きですよ」

「うるさい、弱虫なんか、こうだ」

 カンッと、クモスケが土の弾丸を飛ばした

「クモスケさん、やりましたねぇー悪い子はこうだ、こうだ」


「おおぉーい!やめろ二人とも、車が壊れる、めっちゃ揺れとるがなぁー!そもそもお前達話が噛み合って無いじゃねぇかよ」


 クモスケは信吾の事を悪く言うなと、一方では名前が違うと、噛み合わない二人を乗せて信吾は壊れそうな車をひたすら走らせた。


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