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第26話 六ツ巴の攻防

 水族館に着いた信吾達は、後ろから尾行されている事を知っていた。

 クモスケは探知能力、信吾は気配感知で。

 那覇市の方で感知した強大な知的生命体の一人だ。

 信吾は感知したときから警戒を怠っていない。が、敵意が全くない、ただの偵察にしては様子がおかしいところがある。


 ヘビを倒した時の衝撃は那覇市の方まで届いていた。その時に確実に敵意と殺気を感じ取った。おそらくはもう一体の知的生命体だろう。

 そして今いる一体は偵察に来たんだろうけど、一向に戻る気配はない。ずっと着いてくる、が、接触もしてこない。攻撃もしてこない。

 クモスケと信吾は接触しようか迷ったが、しばらく様子見ということに落ち着いた。


 館内を気配感知で調べるとどうやら4つの勢力があり、互いに睨み合っている感じだ。

 クモスケは行ってみようとピョンピョン跳ねている。

 信吾は「よし、こうなりゃ出たとこ勝負だ!」

 気合いを入れて入っていく。


 そこにはヘビ、亀、ワニ、トカゲがいる。全て規格外の大きさである。

 ほとんど同じ位のサイズだが亀が一際大きい。逆にワニはそんなに元から変わっていない大きさだ。ヘビは倒したヘビよりは小さいがそれでも普通よりはかなり大きい。そして一番元と違い規格外なのはトカゲだ、普通なら手に乗るサイズだが、今やワニとさほど変わらないサイズだ。


 亀は分が悪いらしく首を引っ込めているが、油断なく隙を狙っている。ヘビは敵全体に「シャーッ」と威嚇を繰り返している。ワニは冷静だがトカゲは臨戦態勢で右往左往している。


 そこに信吾は入っていき

「お邪魔しまーす、お取り込み中悪いんだけど、俺も仲間にいれてくれないかな?」

 などと軽口を叩いた。クモスケは各々の威圧に少し警戒している。


 信吾は最初こそビックリしたが落ち着きを取り戻した。

 そう、水族館なのに爬虫類がいること。亀はわかるが

 その他はどこか違うところから来たのか、動物園なのか野生なのかはわからないが。

 しかしヨクヨク考えてみれば利にかなっている。水族館、そこは魚達の楽園、その魚達は殆ど姿を消している。おそらくはこの4体に補食され尽くしてしまったと推測できる。


 初手はやはり血気盛んな大トカゲだ。信吾に向かって突進してくる。信吾は落ち着いて対処する。

 空間収納から大剣を取り出し、両手で持ち振り上げる、頭の上で振りかぶった大剣をそのまま下に振り下ろす。ドスンッと低い音と共にトカゲの頭と胴体を縦に両断した。血と脳髄が辺りに飛び散る。


 その隙に動いたのがヘビだ、クモスケに向かって尻尾を振って凪払う、がクモスケは警戒していた為、危なげなく躱す。

 土魔法で硬めた土を糸で巻いて即席モーニングスターを小手調べ程度にヘビに放った。ヘビも躱すが、いきなり出てきた武器に警戒を露にした。

 続けてクモスケはモーニングスターを振り回しスピードを上げて放つ、ヘビは鎌首を持ち上げ向かってくるモーニングスターを受け流す。

 その隙に後ろからワニがヘビにかぶり付いた。そのままデスロールするがヘビも負けじと応戦する、噛まれたまま体をワニに巻き付けて締め上げる。

 ドスンッドスンッ、ギギギギギギッ

 ワニはデスロール、ヘビは締め付けでお互い規格外の音を出している。


 少し離れたところで信吾と亀が対峙していた。

 いかんせん甲羅が硬く致命打を与えられない、何度か大検で切り付けてはいるがビクともしない。

 クモスケの方を気にしながら考える、やっぱり魔法使うしかないかと思う信吾だが、今後の展開や何しろまだいる尾行してきている知的生命体の事も気になっていた。そのため魔力を消耗するのは極力控えたかった。

一瞬の隙だった、亀が尻尾を出して凪払ってきた。信吾は少し対処が遅れた、ガードはしたが踏ん張り切れずバランスを崩した、すかさず亀は頭を出して噛みつき攻撃をしてくる。

 その時信吾の腰辺りにクモスケの糸が巻かれ、ものすごい勢いで引っ張られる。



 ヘビとワニの攻防を見ていたクモスケはワニにヘビを補食されてたまるか!といわんばかりにワニにモーニングスターを叩きつけるが全く効いた様子がない、次に鎌で切付けるが案の定鱗に阻まれる。ハサミで粉砕を試みるが、ワニが横目でクモスケを見た、ヤバイと思い距離をとるクモスケ。遠距離で毒を吐くがデスロールで上手く躱されて、その毒はヘビにかかり一部が溶け始めている。完全に手詰まりだった。

 チラッと信吾の方を見ると何気にピンチになっている、正直あんな攻撃ぐらいで信吾はなんとでも対処が出来ると思ってはいるが、こっちも手詰まりだったので信吾と選手交代をするため糸で引き寄せた。


 ものすごい勢いで引っ張られた信吾はクモスケを見る、すると目があった、アイコンタクトでお互いの意思を察する。瞬時に理解した信吾はクモスケと入れ替わると同時に体勢を立て直し魔法を行使する。

 風と水の魔法二つを同時行使。氷結魔法をヘビとワニに展開する。みるみるうちに凍りついていくヘビとワニ。


 選手交代したクモスケは亀と対峙する。

 ワニとヘビに対して手も足も出なかったクモスケを見ていた亀は完全にクモスケを侮っている。

 かなり舐めた感じで威嚇してくる。がクモスケは冷静に油断なく構えている。

 動かないクモスケを見て、恐れをなして動けないのか、ヘビに睨まれたカエル状態だと判断し一気に補食しようと両手両足を素早く動かし前進してくる。まだクモスケは動かない、意識を集中させる。


 亀が大きな口を開けて一口でクモスケを口内へ入れて咀嚼する。噛んだ瞬間液体がジュワっと口内を蹂躙する。そしてゴクッと喉をならして飲み込んだ。


 そして信吾の方に視線を向ける。

 亀は思った。今補食したクモが人間の肩に乗っている?なぜだ?今補食したのはなんだ?


 クモスケは補食される瞬間に目にも止まらぬ早さで、それこそ残像が残るほどのスピードで後ろに飛び退った。と同時に土魔法で自分と同じサイズの土の玉を作り亀の口の中に残す。その土の玉に毒液を大量にぶっかける。亀は気付かずに咀嚼して飲み込んだ。

 それを見たクモスケは信吾の肩に戻って凍りついたワニとヘビを見ていた。


「グオオオオオオォォォォォォォォォォ」と断末魔をあげて亀がのたうち回っている、毒の苦しさにもがきながら少しずつ信吾の方に向かうが、飲み込んだ毒は全身に行き渡り、内蔵はほぼ溶けてしまっていた。そのまま動かなくなり亀は息絶えた。


凍りついたヘビとワニを見てクモスケは憤慨する、「また食べられないじゃないか!」と身振り手振りで怒っている様子に信吾は言う。


「しかたないだろぉーこいつらの鱗は硬すぎて物理攻撃が殆ど効かないじゃん?で、魔法で効果的かつ省エネなのはこの氷結魔法なんだよ」


確かに氷結魔法以外なら、身体強化と剣に魔力を通す攻撃だが、魔力を温存しているのと出来るだけ手の内を晒したくないって言うのが本音だ。

そう、まだいる尾行してずっと様子を見ているヤツが。


クモスケは残念そうにして土の弾丸を凍ったワニとヘビと信吾に放つ。氷像と化したワニとヘビは音を立てて粉々に崩れた。信吾は「イテテテテテテテテテテ」


弾丸をくらいながら空間収納からチーズを出す。

弾丸射出を止め嬉しそうにチーズを糸で絡めとる。

信吾もなんだか嬉しそうにニコニコして、チーズを食べているクモスケを見ている。


その後、最初のトカゲの残骸と亀の残骸を美味しそうに補食しているクモスケを見て信吾も食事にする。


食事が終わる頃に気付いたが、尾行して来たヤツの気配が無い。おそらくは自分の拠点に戻って報告と言ったところだろう。さほど気にしていなかった信吾は高級ホテルの拠点に戻るのだった。

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