第二話 現状確認
暑い夏が終わり残暑も比較的和らいだ少し肌寒い位の夜道を、信吾は眠い目を擦り車を走らせた。慣れた道をゆっくりと進み10分程。国道沿いにあるホームセンター、電気屋、薬局、スーパーマーケットが一緒になっているショッピングモールに来た。国道挟んで反対側には食べ物関係のチェーン店が並んでいる。
牛丼、ラーメン、ハンバーガー、カレーに大手のファミレス、さらにホテル型の温泉施設が建っている。
とんでもない広さの駐車場はなぜか満車となっているが人の気配がしない。
スーパーマーケットの横を走っている小道を挟んで向こう側は、地元の中学校がある。
災害時にはそこが避難所になっているが、グラウンドも体育館も誰もいなかった。
とにかくしらみつぶしに店を回って誰かいるか捜してみる。
「誰かいますかー!!」と声を出しながら一軒一軒お店を見て回るが、誰もいない。
焦燥感を抱いたまま温泉施設に行き自動ドアを手動で開く、あいかわらず電気が通ってないから
自動でドアは開かないし辺りは暗い。フロント手前は広場になっており、観葉植物が不気味さをかもし出している。
待合室にはソファーがあり、奥にはカウンターがある。書類やパソコン、カウンター奥にはロッカーのような収納できるスペースがある。
全体的に見た感じだと荒らされていることも無く、整然としている。
半ばあきらめ気味にエレベーターの横にある階段を登っていくと、2階は共同スペースになっており、小さな食堂と
おみやげ屋のスペースがあり、少し離れたところに共同の入浴施設がある。
ボーっとしながら誰もいない脱衣所を、服を着たまま抜けて大浴場の洗い場に入る、やはり誰もいない。湯船のお湯はかなりぬるくなっている。
大浴場の隅のほうにサウナがあり、扉を開けて入ってみるとムワッと暖かい湿気が体にまとわりつく、
サウナも大分冷めていたがおそらく35度から40度位だ。
無意識にサウナの中の木でできた座る場所に腰を下ろして
「はぁぁーー」
と深いため息をつく。
今が何時なのかはわからないが、どうでもよかった。
信吾は疲れきってしまい少し横になって休む事にした。
すぐに出るつもりでいたが、横になって目を瞑ったら疲れていたのか、すぐに意識を手放してしまった。