第18話 身体強化魔法
「さて、どこにどうやって行こうかな」
信吾はどうやって行こうか悩んでいた、
魔法を使っての空中移動、空間収納に入っている車での移動、はたまた空間移動か。
実は信吾は軽く空間移動については実践と実験が繰り返されていた。
結果としては見える場所への転移は可能だが、見えなくて把握できない場所は転移不可能。
しかし、一度行ったことがある場所は繋げられることが判明した。
そして空間移動は自信の能力なので魔力を使用しない、さらにゲートの様に開くので一緒に入ったものも転移される。といったところだ。
「よし、せっかくだから人類の夢でもある飛行で行きますか、クモスケは俺に乗ってればいいよ、じゃみんなまた来るね」
軽くエルフ達に挨拶して重力と風の魔法で飛び立った。
樹海を抜けて富士山と富士五湖を、少し距離をとった上空から眺めて信吾は呟く
「キレイだな、凄いよねこれ、この自然は富士山の噴火が元で湖や樹海なんかを作ったと言われてるんだよ」
言いながら辺りを見渡す。
他にも遠くの方で牛の牧場が見える。牛はいないが。
さらに富士山との反対側には八ヶ岳が見える。
樹海の木々は御神木と異世界の木々にほぼスペースをとられているがそれでも神秘的かつ広大だ。
クモスケに語りかけるとクモスケも自然の美しさに見とれているようだ。
信吾はふと八ヶ岳から見た御神木と富士山を見てみたいと思い、行き先を決めた。
そんな時ふいに気配感知に反応があった。
そちらの方をみると蜂が群れをなして飛んできた。
「一方はスズメバチっぽいけどもう一方は日本では見たことないな」
どんどん近付いて来る蜂達の驚異的な大きさに気付いた時にはスズメバチは飛びかかってきた。
「でっかいな!俺と同じ位のサイズかよっ!」
信吾は空間収納からシンプルな片手剣を2つ取り出して両手に1本ずつ持って二刀流状態で剣を振り回した。
そう、神様から授かった物質創造と言う名の錬金術で空間収納の中に入っていた鉄やら鋼やらの素材で簡単な武器は作っていた。
スズメバチは硬い甲殻で防御したり躱しながらカウンターで攻撃して来た。
それを寸前で躱す信吾だが何発かはもらっている、幸い針の攻撃は今のところなく体当たりが主だが油断は出来ない。
段々とスズメバチのスピードに目が慣れてこちらの攻撃が当たるようになってきた。スズメバチの甲殻以外の首や間接を狙って切っているが、数が多く減った気がしない。
「キリがないっ!クモスケ大丈夫かっ!?」
クモスケは糸と土で作ったモーニングスターで迎撃していたが、執拗にもう一種類の蜂がクモスケを狙う、
「その青いやつは、なんかクモスケに恨みでもあるのか?」
襲ってくる青い蜂も同じ様に切り伏せていくがやはりキリがない。
「クモスケ!一回地上に降りるぞ!捕まってろ!」
そう言って急降下で下に降りていった。
上空での戦いから地上での戦闘に切り替えた信吾はすぐさま剣をしまい、パチンコの玉を出して、追ってくる蜂を打ち落とせるか試してみた。
カンカンカンカンカン!
「かーーやっぱり硬いな、いい音で弾きやがって」
ここは眼下にあった広い牧場の一角。
先ほどの戦いから近接戦は不利と考えて、距離を保ちつつの攻撃でクモスケも固めた土の魔法を飛ばしている。
「クモスケ無理するな、魔力切れたらマズイからなっ!」
クモスケは前足を上げて答える。
蜂と言えば何が弱点なんだ?とりあえずやるしかない!信吾はそう思い広範囲での火魔法を展開する。
ゴゥーーっと音を立てながら蜂のまとまっている所へ出来るだけ温度を上げるイメージで展開する。半分以上が今ので黒焦げになった。
「よしっ!こんがり焼けたな、あともうちょっとだ!」
もう一度同じ極炎魔法を放つ
更に数を減らした蜂達は警戒を露にする、残った蜂達はスズメバチと、青い蜂の女王的な、一回り大きい蜂をそれぞれ取り囲んで守っている。
「でかいの含めてあと10体か、クモスケお前の糸を借りていいか?」
そう言って土魔法で固く固く圧縮して丸めたバレーボール位の玉を作り、クモスケに頼むと、すぐに巻き付けて長めに糸を出してもらった。
「よっしゃ!行くぜ!」
信吾は風魔法を展開しながら、少し助走を付けてボールを投げるっ!
ボールは信吾の投げる力プラス追い風の力でもはや人間には視認できないスピードで蜂を破壊した。ボールは蜂を撃破した後も勢いを止めず通り過ぎたが、クモスケの糸の長さの限界で糸が張り、ゴムの様に少し伸びた後、すかさず信吾は思いきり引っ張ると、ものすごいスピードで戻ってきた。糸を巧みに操る様に残りの蜂達を巻き込んで撃破、鋭い糸に両断される蜂もいたが、女王蜂は上手く避けていた。残りは女王蜂2匹とお付きの蜂2匹となった。
「ふうっ、あともう少しだな」
信吾は気を抜かずに蜂達と相対した。すると破れかぶれなのかお付きの2体の蜂が迫ってくる。即席のモーニングスターをしまい、また片手剣を出して二刀流で構える、一方は後ろに周り、挟み撃ちでの攻撃に出た、信吾は神経を集中して気配感知をフルに使い攻撃をいなしながらカウンターを当てていくが、蜂達は体当たりではなく針を使っての攻撃に切り替えた。信吾は気付かずに、お尻の針に油断した。
瞬間ブスッと音がした。
「クモスケっ!」
見るとクモスケがグッタリとしている。
信吾は片手剣を1本捨ててクモスケを片手で庇う。
信吾は無意識に魔力を高めた。そして瞬足で蜂達2体を切り伏せる。
その時信吾の体と剣は薄く青みがかかっていた。
その勢いで女王蜂2匹の首を切り落として戦闘が終了した。
女王蜂を倒した信吾はクモスケの様子を見る。
「死んで、、、、ないっ!まだ生きてる!間に合うか?」
信吾はすぐに治癒魔法をかけた。少し落ち着いたようだが、まだ激痛が走っている様だ。
おそらく毒で、毒事態はまだ消えていない、信吾は自分の知識を使って魔法を行使してみる、毒消しの魔法だ。
毒とは何だ?症状は?どこを刺された?
血清は?とにかく毒を消すイメージや毒を排出するイメージで魔力を当ててみた、するとうっすらと青みがかかってクモスケはみるみる良くなっていった。
「良かったー、でも少し安静にしてた方がいいな」
そういってクモスケを見ると、面目なさそうにうなだれていた。
「そうだ、あのでかい蜂達食べるんだろ?食えるか?それとも空間収納にいれておく?」
クモスケはピョンピョン跳ねながら女王蜂の所へいき食らい付いた。
どうやらもう元気になったようだ。
クモスケの食事風景を楽しみながら信吾は考える。
(あの青く光る現象は魔力だな、確かに身体強化魔法があってもおかしくは無いし、剣に魔力を込めて切れ味を良くする何てのは王道だったな、気がつかなかった)
そう思い今後の戦いに備え身体強化魔法と剣に魔力通した魔剣なるものの練習をするべく、試行錯誤を繰り返していた。しばらくしてパチンコの玉に魔力込めて投擲しようとした時に、クモスケがこちらに向かってきた。
お待たせ、といった感じで前足を上げてから信吾の肩に乗ってきた。見ると蜂達は全てキレイに食べ尽くされていた。




