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第16話 助言と魔法

 信吾はプレハブのベッドに戻ってきた。

無事スサノオ様を部署異動させると、約束通り信吾には魔力の底上げを行い、用が済んだとばかりに出口を開かれて帰ろうと足を進めたときに、ボソッと神様が「また困ったら相談に乗って欲しいのじゃが、、、」と言っていたが聞こえなかった事にして戻ってきた。

 そして考える

(いや~なんか疲れたな、クシナダヒメってなんの仕事してるのかな?いや、そこじゃない、エルフにしても神様にしてもなんか抜けてるとこがあるよな?うん、多分なんでもかんでも魔法とか神の力とかで解決して来たからそうなっちやったのかな?人の心はさすがに魔法ではどうにもならないって事だな、魅了とかも仕事では使い勝手悪そうだしな、あ~疲れた)

 信吾は落ちるように眠りについた。

 翌朝マンマゴルが起こしにきて時間を見ると9時を少しまわっていた。

「おはよう、寝過ぎたかも」

「おはよう、そうだな我々が起きて3時間は経っているからな、しかし疲れていたのだろう、問題ないぞ」

 朝の挨拶を交わし軽く伸びをして

「昨日神様に会ってきたよ」

 そういって立ち上がり顔を洗うため外に出た

 マンマゴルは目を見開き固まっている

 信吾は空間収納から朝の身支度に使用する一式を出して、顔を洗い、寝癖を軽く直して、歯を磨き、クモスケに挨拶、朝食の準備をしようと思いマンマゴルを見るとまだ固まっていた。

「お前の頭の中は今何が渦巻いているのか?」

 そう問うと我に返って目を瞑り。

「どうやって?いや、どんな神様だった?名前はわかるか?」

「うーん、名前はわからないけど、白ひげが立派な白いお爺ちゃん風の神様だったよ、部下にスサノオ様とクシナダヒメ様がいたっぽいけど、、、寝てたら勝手に呼ばれたよ」

「やはりそうか、その神様はアマテラス様だ、そして神界へは色とりどりの、、いや、何でもない、、、いやはや、少し驚いて固まってしまったな」

 信吾はクシナダヒメ様が出てきた辺りで大方予想はついていた、が、いかんせん抜けてるところがあった為にあまり驚きはなかった。

「とりあえずメシ食ってからみんなに詳細話した方がいいかな?」

 そういってクモスケと朝食を食べてから昨日話し合いをした場所に向かった。

 エルフ4人達とクモスケに昨夜あったこと、授かった能力の事、相談に乗ってもう1つ能力をもらった事、全て包み隠さず伝えた。

エルフ達はなにやら考え込んでいる。沈黙が続くが、一番先に口を開いたのはマンマゴル。

「な、なるほど、人間が神様に会うなど余り聞かないが、、、?」

続けてサリオンが言う

「私達はかれこれ1000年生きてはいるが、聞いたことあるのが私達が生まれてまもない頃だったな」

どうやら珍しいことらしいが信吾は言う

「会って大体わかったというか、予想はついたけど、神様や、眷属の皆さん、申し訳ないけど今回の転移やらの計画の見直しをした方がいいかと思います。と、言うのもかなり大雑把な計画かと思ったので、そのいくつかを紙に書きますね?、、あ、日本語わかります?」

「あ、あぁ翻訳の魔法があるから大丈夫だ」

「わかった」

 と言ってサラサラ書き出した。


 内容は自分の予想からはじまり、計画上の見落とし、懸念事項、解決方法はあえて書かない。

 紙を渡しながら信吾は言う

「まず、ザルすぎるのが体温スキャン、俺も感知されないのもおかしいが、昆虫や虫も体温が無いわけじゃない、クモスケも昆虫ではないし、分け方としては変温動物か恒温動物かで分けるのが普通だけど、、多分昆虫だけ残すつもりだったかもしれないけど、他の変温動物も残っていると推察される。変温動物は無脊椎の動物と、爬虫類、魚類、あとなんか、、なんだったかな、、、あぁ両生類か。で、多分そちらの世界には昆虫がいなくて珍しいから保護しようと、でもモンスターなんかにすぐ負けるから酸素濃度や補食能力をつけて強化しようってとこか?でも生態系は変わると思うけどね。

で、多分そのガバガバな計画のせいで無脊椎動物以外に俺みたいな人間、もしくは動物がどこかにいるかもしれないね。だから酸素濃度をなるべく早く元に戻す様に」

 一呼吸置いて、4人を見渡すとみんな真剣に聞いている。


 信吾は1度頷くとまた話し出す

「次に消滅しようとしてたけ件ね、変更で埋めるって話しになったけど、これもよく計画というか段取りを組んでやること、いつ、どこを、誰が、どのくらいで、どうやってってね。

 それをやることによって無駄を省き、効率がよくなり、失敗も未然に防げると思うよ」


 また4人をみると、なるほど、と言った感じで頷いている、さらに信吾は続ける。


「昨日俺が、『元々の世界が危機的状況で退っ引きならなくなり作ったってとこかな?で、必要ないものは除外してつくり、今後危機的状況に陥った元々の世界の住民が引っ越してくる。』って言ったんだけど、危機的状況になったのってもしかして神様達の誰かの失敗が原因なのでは?と推測しますが、どうでしょう、それを考えるとどうしてこの世界を作ったのかがわかってくるけどー、、、そこら辺はあえて聞きたくないので流してください」

信吾はこれ以上面倒事に巻き込まれたくないので詳細は聞かないようにした。

エルフ達を見ると下を向いていたり、目が泳いでいたりと、もはや詳細を聞かなくても一目瞭然だった。

 そして小声でボソボソと「そもそもなんで俺がこんなこと、、いや、自分からここに来たんだっけ、、しかも治癒魔法で助けてくれたしなぁ、、エルフ達は関係ないのかもな、神様が悪いのか、うん、そうだな、今度会ったら物質創造じゃなくてただの錬金術ねって突っ込んでやろう、うん」

ブツブツ独り言を言っていると、サリオンが恐縮したように言う。

「そ、それでなんですが、ここに書かれている事について信吾さんは手伝っていただけると?そんな風に書面には見られますが、、、」

「あぁ、そうですね、やってもらうのはあなた達ですが、わからないことの助言や、後追いまでするつもりではいますよ。だから安心して下さい。投げっぱなしジャーマンはしませんから。どうせしばらくここにいるんだし」

4人はホッとした表情で頷いて、その話は終了した。


軽く今後の話を雑談混じりでしてから、マンマゴルとクモスケと一緒に外に出た。


 丁度昼食の時間となり、エルフ達は木の実を少し、クモスケはチーズがお気に入りなのでチーズを中心とした食べ物、信吾は軽くレトルトのラーメンのみで食事を終えた。

「じゃ早速魔法を教えてください先生!」



 しばらくエルフ達と共に過ごすため今後当面の予定は魔法を教えてもらうこと、と同時に建物を埋める段取りを組み、どこからやるか、いつやるか、どうやってやるか、などをじっくりと話し合う事になった。そしていよいよ魔法が使える事にワクワクしながら信吾はマンマゴルにそう言った。


「まずは、簡単な魔法から実践してみるから見ててくれ」

そうマンマゴルが言うと小さい火、水、風、土の魔法を行使した。

「まずは魔力の循環がどう体内で流れているかを感じてもらいたい、次に詠唱だが、私達エルフは無詠唱で魔法を行使出来るが、人間を始め獣人や魔族達も詠唱して魔法を使っている、稀に無詠唱で行使できるものもいなくはないが特に珍しい」

 そう言うと詠唱を唱え出した。


「大いなる神よ我に力を与えたまえ、ファイアー」

 すると魔力に応じた大きさの火が手から放たれた。

 火はすぐに魔力と消えて霧散した。

「なるほどね」信吾が小さく呟く。

 そしてマンマゴルは説明する

「詠唱とは神に呼び掛け、力を貸していただく為に魔力を対価として魔法を行使する。そしてその対価に相応しい魔法が行使出来るようになる。と、そういうことだね」


チラっと信吾を見ると頷いている。

続けて説明する

「そして、ファイアボールやアローなんかもイメージ1つで行使出来るようになる、非常に簡単で誰でも使える様になる」

「なるほどね」信吾はまた頷いた後に続けた。

「今行使した4つの魔法以外に治癒魔法と何があるの?」

「他にはカミナリや重力、空間魔法なんかもあるが魔力を多く使うし、難しいぞ、イメージが及ばなければ人は行使できない」


 信吾はとりあえずやってみることにした

「大いなる神よ我に力を与えたまえ、ファイア」

 空に向かって放ってみた。ゴウッ!とスプレー缶を噴射させて火をつけた位の火柱が上がった。信吾は頷きもう一度空に向かって手を掲げた、次に無詠唱で行使してみると、ゴウッとまた火柱が上がった。

 また頷き、続けて何かしようとするとマンマゴルが突っ込んできた。

「ちょっとまてーい、いきなり詠唱して魔法を使ったと思ったら体内の魔力循環は完璧だし、次に無詠唱だと!?」

ありえないといった顔で信吾を見ている。

 また頷き、突っ込みをスルー、そして手をマンマゴルに差し出した、握手でもするかのように。

「マンマゴル、握手しよう」

 そう言うとマンマゴルは訝しながら手を出してきた。無詠唱で静電気をイメージして流す。バチッっと音がなりマンマゴルはビックリして咄嗟に手を離した。

「なっなっなっ、なん、だとっ!?」

「ははは、いいリアクションだね」

 マンマゴルは指先を擦りながら横目で信吾を見ている

「うん、大体わかった、結論から言うと君たちの世界の人達ってなんでもかんでも魔法で解決しようとするから物事の本質がわからなくなるんだよ」

信吾は人差し指を立てて続ける。


「火と水なんかもそうだけどカミナリなんかもどうして起こるかなんて考えた事なんて無いんじゃないかな?今のは静電気を起こしたけど結構な魔力を吸われた感覚があったんだよね、これが落雷クラスになるとごっそり魔力を持ってかれることになる。だから詠唱しようとイメージしようと使えないって事かな」

 信吾はマンマゴルの体内の魔力循環を第6感能力の気配察知に似た能力を使い、魔力の流れが色を付けた様に見えていた。


 マンマゴルは呆れた様に口を開いた

「なんともまぁ、すごいな、信吾はすごいな」

 語彙力がない言葉を言い、諦めた感じに肩を落とす

 信吾は次々と魔法の試し打ちをしてみる。


 チラッとクモスケを見るとジッこちらを見ている

「クモスケ、お前の糸と魔法で何かできないかな?多分俺の言ってることが理解できるならお前も魔法は使えるはずだし、もっともっと強くなることが出来るぞ」

 そういうとクモスケはピョンピョン跳び跳ねた。

 まずは基本の火、水、風、土の4属性を魔力循環と共に教えながら1つ1つ行使してもらう。

「そうそう!そんな感じで循環させながら手のひらの方に魔力を持ってくる、その時に思い浮かべるんだ!」

 クモに手のひらがあるのかどうかはわからないが某テニスの人のように熱く熱く思いを込めて教えていると

 地面の土が少しづつ盛り上がってきた

「おおおおおおおおおおおっっっ!」


 結果クモスケは土魔法以外は使えなかったが魔法が使える一番最初の虫となった。

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