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第15話 神界

 目を開けるとそこは色とりどりの世界だった、寝惚けたまま起き上がると回りには何にもない、ただ色とりどりの世界が広がっているだけ、地に足をついている感覚もないが足を動かすとその方向に進み出すような不思議な感覚。

ボーッとしたまま周囲を眺めていると、ふいにどこかから声が聞こえた。バッと声のした方向に振り向き寝惚けた頭をブンブンと振って覚醒を促す。

「こっちじゃ、そのまま進んでまいれ」


 言われた通りに浮いた足を動かし進んでいくと、色とりどりの世界が切れた、そこには真っ白な空間の真ん中にポツンと一人の老人が立っている。部屋の広さは6畳程度だが天井も壁も床も全てユラユラと歪んで見える、不思議な空間だ。

「あなたは?」

 信吾は大体察しはついているが聞いてみた。

「ワシは神じゃ、いや、神といってもいっぱいおるからの、神の一柱と言った方がいいかの、そなたが会ってみたいと思った様じゃから特別に招待したのじゃ」信吾はやっぱりと思った。


(会ってみたいって思ったっけ?あぁ寝る前にか、てことはここは夢の中?いや、現実か、戻れるよな?)


「戻れるぞ、しかしここは夢の中ではないぞよ、言うなれば神界じゃな」

「あ、心を読まれちゃう系ですね、なら迂闊なこと考えられませんね、ははは」

 苦笑いしながら信吾が言う。


「ふぉっふぉっふぉっ、その通りじゃ、しかし心を読めるのはワシが作ったこの空間だけじゃ」

「そうなんですね、、、で、自分を呼んだのは会いたいから会うだけってことはないですよね?何か用事があるとかですか?」

「察しがよいな、なぁに悪いようにはせんから安心せい。そうじゃな、エルフ達はそなたが巻き込まれに来たと言っておったが、ワシからすれば切っ掛けを作ったのがワシらじゃからワシらが巻き込んだと言ってもいいじゃろうと、そう思いそなたに何か詫びをと思ってな、呼んだまでじゃ、それにこれからの世界ではそなたの力は弱い故、少々の加護を与えようかと思っての」


「そういうことでしたか、お気遣いありがとうございます」

 少し頭を下げながら信吾は次の言葉を待った。

「少々の加護といってもわからんじゃろうから、選ばせてやろう、要は能力付与じゃ、どんな加護がよいか?」


 信吾は訝しながら言う。

「いや、どんなといわれましてもどんなものがあるのかわからないので何とも言えませんが、そうですね、例えば何でも防ぐ盾とか?なんでも切れる剣とか?それを能力にしたようなものでも?」


「ふぉっふぉっふぉっ矛盾か、なるほどのぅ、出来んこともないが、どちらか1つじゃな、ちなみに矛盾の正解は簡単じゃぞ、言葉のマジックとでもいうか、絶対同士がぶつかり合えば単純に技量が上ならば勝てるのじゃ、所詮道具にすぎんのじゃから上手く使った方が勝てるということじゃ」

 信吾はいまいちピンときてはいないが、なんとなく理解した。


「どちらか1つですか、いや、その能力が欲しいわけではないですけど、、、ちなみに他にはどんな能力がありますか?」


「そうじゃな、それこそなんでも出来るが、、、そなたの世界で言うチート能力じゃ、、、うーん、そなたの今後を考えると戦闘能力は必要じゃが訓練次第でなんとでもなる、そんな素質をもっておるから大丈夫じゃろ、、

となると物質創造かの?

それとも膨大な知識かの?それこそアカシックレコードにアクセス出来る能力とか。

それとも時間操作能力なんかもあるぞ?」

 信吾は驚きながら冷静をよそおう。


(これぞチート能力だって能力がわんさかあるな、物質創造か、、何にもないところからなんでもつくれちゃう的なヤツかな?

で、アカシックレコードは確かこの世の全ての真実、現在過去未来が宇宙規模で調べられる膨大な図書館って聞いたことあるな、、

あとは時間操作か、これこそ気軽に使えるようなもんじゃないな、それに上手い話には裏があるはず、能力を行使するためには何か制約のようなものがあるんじゃないか、、)


 無言で考えていると

「ふぉっふぉっふぉっ、頭がいいと説明する手間が省けてよいな」

「あ、考えてる事が読めるんでしたね、すみません」

「気にせんでもよい、そなたの疑問に答えようではないか。

そうじゃな、まず物質創造じゃが、何にも無いところからというのはさすがに無理じゃな、素材と魔力があればの話しじゃ。

例えば剣や盾のような単純な物質だけじゃないぞ、そなたの世界でいう複雑な構造をしておる自動車や、パソコン、AIまでもが素材さえそろえば創造できるのじゃ」

 身振り手振りで説明してから一息ついて信吾を見ると、信吾は目を細めて、横目で見ている。

そして黙って続きを聞きたそうにしている。


「ふむ、次のアカシックレコードじゃが詳しいことは能力を与えてからになってしまうところもあるが、そうじゃな、人間ではなくなってしまうとだけ言っておこう。人間のままでアクセスする事も出来るがあまりおすすめできんな」


 信吾は眉間にシワをつくり少し目を細めて考える

(アカシックレコードはないな、うん)


「ふむ、次じゃ、時間操作じゃが、止めたり少し先が見えるというのは戦闘にも役にたつからよいのじゃが、、

その他にも未来や過去に行ったり来たりする事も出来る能力じゃな。

確かにそなたの思った通り気軽に使えるようなものではない、過去を変える様なことをすれば罰せられる故。

しかし未来はそんなこと気にせんでも大丈夫じゃぞ、少し魔力が必要になるがの」


「時間操作はいいかもしれませんね、過去や未来に行けるのは魅力的ですし、罰せられるなら過去にいかなければいいだけ、未来に行って情報を得るのもありですね、ちなみに少しの魔力ってどのくらい必要なんですか?」


「そうじゃな、ワシらは無限魔力をもっておるから気にならないが、人間にわかるように説明するとじゃな、1秒につき1じゃ」


(うーん、、、?えっ!てことは、、、1時間で3600で、10時間で36000てことは、、、、24時間で86400、2日でその倍、1年で、、ざっと3千万位か、10年なんて言ったら億越えるな)


「あの、人間の平均魔力ってどのくらいですか?」

「そうじゃな、ちょっと待っておれ」

 そういって目を瞑った。そのまま数秒ほど経って呟き出した。

「人間であれば平民が100位かの、強いもので1000位じゃが、亜人種の特に戦闘を得意としている獣人は1000~2000、魔族は強くて3000程度じゃな、竜種の一番強いヤツで1万少し越える位じゃな」


「物質創造でお願いします」

 信吾は即答で答えた。



「あいわかった、物質創造じゃな」

 いうやいなや両手を前に出して集中し出した。

 信吾は何気に無限魔力が気になっていた。


(神様達は無限魔力を持ってるって言ってたな、なかなか魅力的じゃないか?いや、でも使う場面がないか、多分魔法は訓練すれば使えるようになるって言ってたし、魔力も使えば使うほど上がっていくと、、、けど人間の強いヤツでも1000程度だろ?うーん、魔族で3000か、と考えると無限魔力をもっててもあまり意味はないか?1000以上あれば大体事足りるってことだもんな)


 考えてると神様の両手がひかり出して、そのひかりが信吾の体に吸い込まれた。

「終わったぞ」

 神様は軽く微笑んで言った。

「えっ?あっ?本当ですか!あ、ありがとうございます」


 神様は微笑んでいる、微笑んでいる、

 なぜか沈黙が流れている

「あー、、では、そろそろ失礼しますね、、」

そういうと神様は、ハッとした顔をして

「いや、ちょっとまつのじゃ、そなたは今無限魔力の事を考えておったの?」


「あぁ、はい、でも1000位あれば事足りちゃうから大丈夫かなぁ?なんて思ってましたけど?」


 神様は横を向きチラチラとこちらを見ながら言う

「そうじゃな、ちと相談に乗ってくれたら魔力総量を5000ほど底上げする事も出来るのじゃが、どうじゃ?」

 胡散臭っ!と思い

「いや、結構です、帰ります」

「ちょっとまてまてまつのじゃ!魔力5000じゃぞ?魔族よりも上じゃぞ?それをちょーっと相談に乗るだけで手に入るのじゃぞ?これほどお得な事はないぞ?」

 神様が焦ったように捲し立てて言うと信吾は目を細めて溜め息をついた。

「自分が出来る範囲なら相談に乗っても構いませんがそれでもよければ、話は聞きますよ」

 神様はホッとした顔で躊躇いながらゆっくりと話し始めた。

「実はな、神達の仕事で、1つの部署がじゃな、仕事の効率が下がっておっての、全然成果が上がらずに、むしろ、下がっておっての、困っておるのじゃが、どうすればよいか何かいい案はないかの?」

 信吾は思わず眉間を押さえた。


「原因はわかってます?」

「わからぬのじゃ、今スサノオがトップでやっておるのじゃが立て直す為に部下の天使達を使いあわただしく動いておる、同時に教育もしておるのじゃが、どうも上手くいっておらんでの」


(突っ込みどころ満載だな、しかもスサノオってあのスサノオか?すごいな!いや、違う、そこじゃない。そもそも部署ってなんだ?会社か?なんの仕事だ?ってかもうそれが原因としか思えないな。多分)


 神様は心を読んでいたが何も言わず言葉を待つ

「そうですね、なんの仕事してるのかわかりませんがスサノオ様はその仕事で合ってますか?もっと体を使う仕事の方が良いのかと、いや、独断と偏見ですが、、

それとですね、あわただしいと言うのは人手が足りないからですかね?それでしたら人員を補充しなければなりませんが、、多分無意味でしょう。

私が気になったのは教育ですね、一方的な教育じゃないですか?もっと言えばスサノオ様が直々に机の前で延々と説教とか、しかもみんなの前でとか、、どうでしょう?」

 神様に目を合わせ答えを促す。


「その通りじゃ、正にその通りじゃ。して、どうすればよいかの?スサノオの教育で皆が成長してくれればと思って待っておるのじゃが一向に良くならんでの」


 信吾はまた溜め息を吐きながら

「本当にそう思っているなら直りませんよ?いいですか?」

そういって人差し指をたてて続きを話し始める。


「まず教育というならしっかりと教科書などのマニュアルを作って会議室とか他の部屋でわからない人達を何人か集めて、教えたら質疑応答させたり、理解しているかどうか確認するのが基本だと思うんですよね?

スサノオ様は多分怒り散らして自分の価値観で喋ったり、聞いている人の事を考えないで一方的に喋ってはい終わり、みたいな感じだと思うんですよ、そうなってくると後々の事が容易にわかるんですが、、

そうですね、その社員さん?天使さん?はやる気がなくなったり、精神的に追い詰められて病んだりとか?そのせいでもっと効率が悪くなりもっと怒られるの無限ループですかね?そんなことでは一向に良くはなりませんよ、なので一番簡単なのはスサノオ様を異動させるとかですかね?他にも方法は無いことも無いですが、それが一番手っ取り早いかと」


 神様は目から鱗といった表情で

「なるほどのう!良くわかったわい、早速スサノオを外すか!」

そういって目を閉じ誰かと話し始めた

「聞いておったかの?クシナダヒメ、そういうことじゃから後は頼む」

 すかさず信吾は聞き直した

「クシナダヒメ!?えっ?聞いてたんですか?もしかしてスサノオ様も聞いてたとか?」

「いや、安心せい、ワシが相談に乗って欲しいと言った時に念話でクシナダヒメにだけ伝えておったのじゃ」


 神様が言うと信吾はホッとした。

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