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第12話 負傷とエルフ

 蟻達との戦闘が終わり、クモスケがデカ蟻を食べている。しっかりと糸で身動き取れない様にして腹部分を食べている。食べている。食べている。、、、「グロっ」小さく呟く。

信吾はグロとは言ったものの実はグロ耐性はあった。インターネットでグロ系サイトを見ても、AVのグロ系を見ても特になんとも思わない、耐性も付いているのもあるが、そもそもの話、グロ系を見ると吐きそうになったり精神が病んだり怖くなり何かに怯えるなど、それらは想像力によって引き起こされる一種の防衛反応だと思っている、その想像力を自らカットしてしまえばなんてことはない、、、と思っている、プラシーボ効果というのもあるし、お化けなんかも意識した瞬間から怖くなったりとか。

根拠はなく独断と偏見にすぎないが、信吾はそれで耐性をつけたのもある。いってしまえば「知らんけど」ってヤツだ。

 ただし匂いはダメらしく嗅覚というのは想像力を増大させてくれるものだと思っている、信吾の想像にすぎないが、、、

いつも臭いトイレに行くと想像してしまうことがある。

『この空気に混じった匂い成分は俺の肺の中を通って血液に入り全身を駆け巡るのだ』

と、そして息を止め酸欠で倒れそうになるまでがセット。

 などとどこか現実逃避のようにクモスケの食事をボーッと見ながら思うのだった。



「さてと、気を取り直して再出発しますか!」食べ終わったクモスケが前足を上げて返事をする。

 河口湖畔の比較的広い国道で、西に行くと樹海で目的地ももうすぐだ。

 車を走らせること30分、樹海に着いた。


「ここからは樹海に入っていくから徒歩だな」

クモスケに言うと肩に飛び乗って来た、車を降りてでかい木の場所までもう少しだ、木の根や枝などいろんなものが落ちていて上手く歩けないのでゆっくりと歩く、歩きながら「でかい木ってやっぱ世界樹ってやつかな?妖精とか?精霊とか?エルフとか?いるのかな?どうかな?クモスケぇ」

ワクワクしながらクモスケに話し掛けるが前足を上げて横に振っている。

「ないないって?お前は夢がないなぁーロマンだよロマン男のロマン、かわいい女の子が出てきてこんにちはだよー」

するとすぐ後ろから

「ガオオオオオオン」


 浮かれながら喋っていて気付かなかった、後ろから着いてきてた3メートルはあるんじゃないかって程の熊が雄叫びを上げながら威嚇してきた。

「デッカイ熊さん出てきてこんにちはーー、、、じゃねぇんだよ!」

 すかさず身構える、瞬間ものすごいスピードで突進してきた!「でかいくせに速いっっ!」ゴッ!ボキッ!左脇腹にもろに食らった体当たりは肋骨を数本砕いた、さらにでかい熊手で殴りかかってきた、脇腹の痛みを堪えて死に物狂いで必死に避けて距離を取った、空間収納からサバイバルナイフを取り出し熊の目をめがけて右手で投げる、左手は脇腹の痛みで外すのを直感で感じた。投擲したナイフは熊の左目に刺さった。

「グオオオオオオーー」痛みなのか怒りなのかわからない雄叫びを上げてる隙にもう1本取り出して「おかわりどうぞー」右目を狙ったが熊も警戒していたのかナイフは弾かれた!熊が突進してくる!

(くそっヤバイな!どうしようどうしよう!ドラ○もーん)

 すかさず空間収納からあるものを取り出してフタを開けてカウンターでぶっかける。すると熊はたじろいだ後、踊り始めた。

それは醤油だった、熊は醤油の匂いを嗅ぐと踊り出す、信吾はそれだけを覚えていた、何故匂いを嗅いだら踊り出すのか忘れていたが、ただ踊り出すということだけ覚えていた。

「今だクモスケっ逃げるぞ!」クモスケの方に手を伸ばし、クモスケはその手に糸を巻き付けてジャンプ!同時に走り出した、脇腹を押さえて痛みを堪えながら必死に走る走る、段々意識が薄れて来て視界もおぼつかない、徐々にスピードが落ちて、ついに倒れ込む。ゆっくりとすぐ近くにあった木にもたれ掛かりながら意識を失った。



 信吾はふと気が付くと、なにやら人間らしきひとがいる。敵意はないようだが、とにかく信吾は怪我で意識が薄ぼんやりとしている。視界も狭く瞬きをしてピントを合わせようとする。

目の前に暖かい光があり、ボンヤリ眺めていると、スッと体の中に入ってきた。

 瞬間目を見開きガバッと起き上がった。

「お目覚めの様ですね、肋骨の方は大丈夫ですか?」

 声の方を見るとイケメンで金髪のお兄さんが立っていた、

「あぁいや、だ、大丈夫?かな?痛くないんだけど?」

「それは良かった、まだ調子悪かったら言ってね、治癒魔法掛けるから」

 イケメンはそういって手招きしている。

(ついて来いってことか)

「あぁその前にいくつか質問いいかな?」

「どうぞ」

 そういってイケメンは促した

「えーとまずは、自分はどのくらい寝てました?」

「そうですね、5分位でしょうか、御神木の異変を感じてすぐに来たので」

「なるほど、あと自分の肋骨なんですが何本かイッちゃってたみたいですが、治癒魔法ってヤツで直った、でいいですか?」

イケメンは無言で頷いた。

「もうひとつ、あなたはエルフって種族でしょうか?」

そう、このイケメンは耳が尖っているのだ。

「それについては私達の住みかがあるのでそちらで詳しく説明しますよ、それに、わたしもいくつかあなたに質問がしたいので、お茶でも飲みながらお話ししましょう」

 エルフの住みかは木の上にあり、上手く太い枝を使いそこにログハウスが建ててある。

クモスケを肩に乗せ、木のハシゴを登って、ログハウスの中に入ると意外と広く、畳10畳程の広さがあり、そこには3人のエルフがいた。

連れてきてくれたイケメンエルフを入れて4人みんなで一緒に生活している様子。

「お初にお目にかかります、わたしは御神木の守護者リーダーのサリオンともうします。以後お見知りおきを」

真ん中にいたエルフが自己紹介してきたので

「あー自分は向井信吾っていいます、学がなく畏まった言い方が苦手ですがどうぞよろしくお願いします」

唐突に自己紹介が始まり、リーダーの左にいるのがティリオン、右にいるのがマンノール、ここまで連れてきてくれたイケメンエルフがマンマゴル。

最後に信吾はクモスケのことを紹介する。

「さて、何から話しましょうか、何か聞きたいことは?」

 みんなで部屋の中央のテーブルを囲って向かい合って最初に口を開いたのが

 サリオン。横でお茶を入れていたマンマゴルがテーブルにお茶を並べていた。

「そうですね、その御神木と言うのは急に現れた大きな木でしょうか?」

「うむ、ちょうど貴方が気を失ってもたれ掛かった大きな木がその御神木です。」サリオンが言う。

「えっ?あ、なんかすいません、夢中で走って来たので気付かなかったです、そうですか、あの大きな木ですね、確かに神々しいですね、それにしても高いですね、ここから少し遠いところから見ていましたが、8000メートルは余裕でこえてますよね?」

(どうやら世界樹ではなく御神木って言うんだな)

「どうでしょうかね、測ったことはありませんが、雲を突き抜けて天まで届いている高さははかり知れず、見上げても天辺が見えないというのは、さすが神が作り給うた御神木と言うだけあります」

「神様ですか!なるほどなるほど」

 頷き納得していると、

「ところで、ここへは何用でこられたのかな?」

「あぁそうでした!単刀直入にききます、この世界はどうなっちゃったんですか?人々は?ライフラインは?昆虫が大きくなっている理由は?自分の身体能力の向上は?エンジンやライターの火が大きいのは酸素が濃いから、でいいですか?で、それらのこと全て把握してますよね?」

 信吾は仮説を立てていた、こうなったのは誰かが裏で、そう神的な存在がいてこの世界を作った、言葉も日本語で通じているが、おそらく言語は違うはずだけど直接脳内変換されている感じだ、口元を見る限り。そして、酸素濃度。

 その昔人類が生まれるもっともっと前、地球は今より酸素濃度が濃い時代があり全ての生き物、植物なんかも数倍大きかった時代があった説が都市伝説なんかで噂されていた。

ちなみに現代も酸素濃度が濃い場所で治療すると治癒能力が向上するとされている。しかし確証が持てなかったし、検証もできなかった。

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