第10話 行き先決定
カマキリとの戦いが終わってクモスケがこちらに向かってきた、
「ありがとな、助かったよ」とひと言、
クモスケは「気にするな」と言わんばかりに前足を上げて、おもむろにカマキリの腹部分に食いついた。「うおっ、お前そんなもん食うのかよ!モザイクかけろモザイクをっ!」と言いつつ、よくよく考えるとクモスケは元々昆虫のような虫を主食として食べていたから不思議ではないのか、と内心焦りと冷静さが入り交じった複雑な心境に陥った。
「しっかしよくよく考えてみるとクモスケもでかくなったんだから他の虫もでかくなってて当たり前か。昨日までの俺だったら確実に食われてたなぁ、、」
ブツブツて呟いていると、あっという間にクモスケはカマキリを平らげていた。
固い羽と足は残していたが。
しばらくしてまた脱皮をはじめた。リニューアルしたクモスケは大きさは変わっていないがクモスケの体の中の何かが大きくなった気がした。言葉に出してその現象を言うならば、レベルアップだ。
ステータスの数値があるならば、おそらく今までの1.5倍近く上がっている、それは今完食したカマキリの力を半分プラスしたような感じと言った方がわかりやすいかな。
クモスケも体に感じる違和感から、軽く走ったり糸を出したりしている。やがて納得したようにこちらに向かって「お待たせ」と、言った感じで前足を振った。
やはり色々と突っ込みどころ満載だったが。まず敵が出てきた、と言うか敵になった?元々昆虫と人間では戦う相手にもならなかったのが大きくなったが故に敵となったと言った方が正しいだろう。
『全ての生き物が同じサイズになったら最強は昆虫だ。』
なんて言ってた人がいたことを思い出した。そんな敵がクモスケのようにレベルアップなんてしたら、、、そう思うだけでゾッとした。
「こりゃのんびりしてられないな、、どうすっかなー、、、」
頭の中で今後の行動を考えていたのは2つある。1つは東京に行き、人がいるのかどうか、それとこんな世界になった原因の手掛かりがつかめるかな?
と言ったフワッとした考えが1つ。
もう1つがこんな世界になってから生えてきただろうとてつもなくでかい木が1本、富士山のふもとにある富士五湖周辺の樹海ら辺に不自然に生えている。朝明るくなってから気が付いたが見てみぬ振りをしていた。
しかしこうなってはチンタラしていられないので捜査、探索対象に入れざるを得ない。幸いここからだとどちらも遠くはない。東京は2時間弱で富士の樹海は1時間半位で着く。
「よし決めた!でかい木のとこまで行くぞ!あそこには何かある気がする。」
根拠のない事を言いながら目的地を決めた信吾であった。




