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第一話 異変

 とある田舎にあるごく普通のサラリーマンの俺、向井信吾42歳。

 現在運送会社に勤めて10年ちょっと、時刻は23時を少し過ぎたところ。

 やっと配送が終わり、給油をしてから会社の車庫にトラックを戻すために帰路についた。

 安定の社畜っぷりで、毎日休憩も無く働き詰めで、疲労困憊状態。

 半ばあきらめて現実逃避をしながらの今日この頃。

 

  *****



 信吾は若いうちに結婚して、子供も二人、長女18歳と長男15歳で、

 あと少しで成人してお金もかからないであろうと、

 今後の生き方に思いを馳せてウキウキしながら、いつも運転している道を走っていた。

 会社前の100メートルもないくらいのトンネルに入ってすぐに

 何か違和感があり前後左右をチラチラ見ながら意識を集中していると、

 ん?なんかいつもよりトンネル長くね?と思った瞬間、

 本当に走ってるのか?と思うほどに上下左右の揺れを感じなくなり、

 まるで外の景色だけが流れているような感覚が5秒ほど、、


 しかしすぐにいつも通りにトンネルを抜けて、

 何事もなかったように先の交差点に差し掛かり気付いた、信号が停電の時のように止まっていた。

 んん?信号が止まってる?と思い

 一度トラックを止めて周囲を見渡してみる、いかんせん田舎道だから周りは木に囲まれていて何も無い。

 信号や街灯の明かりが消えているため真っ暗だった。不気味な闇がどこまでもどこまでも続いているようで背筋が寒くなる。早く帰ろうと思いすぐに車を走らせた。



 走っていると完全に何かがおかしい、人はいないし車も走ってない、

 電気も止まっているようでどこもかしこも真っ暗。

 さらにコンビニの前をゆっくり通るが中には誰もいない様子。

 しかし駐車場は満車状態と不自然ではあったが、

 この時点ではただの停電でみんなどこかでおとなしくしてるのかな?と思っていた。



 様子を見ながら会社にたどり着き、車庫にトラックを戻してから事務所に向かう。

「お疲れ様ー」といいながら真っ暗な事務所のドアを開けるとやはり誰もいない。

 会社自体は年中無休の24時間稼動で誰もいない事は基本的には無い。

 災害では物資の運搬を率先してやる会社なので

 誰もいないのはおかしい。とりあえず真っ暗すぎて不便なので事務所の端にあるロッカーを開けた。

 中にはリュックサックに入った災害の時に使うヘルメットや非常食、LEDライト等が入っている。

 社員分あるのでひとつ持って外に出た。

 足早に自分の車が置いてある駐車場に向かいながら家族の事が無性に心配になった。

 妻に連絡とってみようと思い、スマホを取り出してかけようとするが繋がらない、

 よく見ると圏外になっていた。



 仕事終わりの点呼(退勤時の確認)もとっていないが誰もいないのなら仕方が無い。

 さっさと家に帰ろうと思い自家用車を走らせた。

 市街地に入り、ゆっくりと進みながらヘッドライトで辺りを照らしながら見回してみるが

 あいかわらず人の気配は無くゴーストタウンかってくらいの静けさで、深い闇が広がっている。

 段々と自分にも余裕がなくなってきて焦りが見えてきた、

 落ち着かなくてはダメだと思いながらも嫌な予感が脳裏をよぎる。



 自宅は県営団地の2階で、会社からもそう遠くはない、10分程車を走らせて団地の駐車場に着いた。

 駐車場には所狭しと全ての駐車スペースに車が止まっていた。

「あぁやっぱりみんな家でおとなしくしてるのか」と、

 ほっとしながら独り言を言って車を止めた。急いで家のドアまで行き鍵を開けて中に入る。

 時間が時間なので静かに「ただいまー」

 と言いながら、やはり真っ暗なのでライトを照らしながらリビングに行き妻を呼んだが、、いない。

 寝てるのかと思い寝室に行ったがやはりいない。

 家中全部くまなく捜したが妻だけじゃなく子供たちもいない。書置きも無い。

 一気に血の気が下がって目の前が真っ白になり足元がふらついた。

 何とかこらえて、ブンブンと頭を横に振りとにかく深呼吸して落ち着く事にした。

 とりあえず今出来る限りの現状把握をする事にする。

 電気は止まっていて水もガスも止まっている上にスマホも圏外、

 さらに人っ子一人いない。災害と言った災害も起こった様子も無い。



 とにかく人に会いたい、人に会ってどうなっているのか聞きたい、と思い、

 疲れた体に鞭打って外に出た。

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