第93話 世界平和
教室に戻ると葵がいた。
机の上に座り足をプラプラさせている。
「あ、耕平、ユーリ、お帰り。遅かったね」
「ちょっと話し込んでた。葵はこれから部活か?」
「ううん、今日は休みだって。あ、雨は関係ないよ」
それは知ってる。雨が降ったから家庭科部が休みになるとか謎過ぎる。
「そーいや、安曇野が探してたぞ?」
「うん? ミーコが? 何だろ? 今日は給食委員会で忙しいハズなのに」
「なあ、給食委員会って何なんだ?」
「え? 給食委員は給食委員だよ? 世界平和を目指してるの。取り敢えず、まずは日本からって言ってたけどね。今年の目標は路上生活者を日本から無くすことだって言ってたよ♪」
……
……?
「あれ? 耕平? 耕平? おーい!」
「……はっ! 悪い悪い、旋律してたよ」
給食委員会、何やってんだよ。給食から飛躍し過ぎだろ? つーか、給食要素どこ行った!?
「安曇野は何でそんなことを目指してるんだ?」
学校の委員活動の枠を抜けてるだろ? 生徒会でもやらんぞ、そんな活動……いや、だから生徒会よりも学校の権力握ってるのか?
「あたしが何だって? え? 夜咲耕平?」
「うお、安曇野美咲!?」
見た目の割りにと言えば失礼だが、音もなく現れた安曇野に俺は驚く。後ろにはスーツの給食委員がまるでSPのように立っている。つーか、サングラス! 何でだよ。給食委員会!?
「あ、ミーコ、委員会は終わった? 委員長お疲れ様」
呑気な葵は安曇野の背後の連中にも気にせず声をかける。海崎は……あれ? あいつどこ行った!?
「葵ぃ、今年もウチの委員会に入れなかったんだね」
「あー、うん、ごめんね。ミーコ」
「謝ることは無いさ。またボランティアに参加しておくれよ」
「うん、また呼んでね」
「あー、おい。安曇野、路上生活者を日本から無くすって具体的にどうすんだよ。日本には約二万人の路上生活者がいるんだぞ?」
「へぇ、よく調べてるじゃないかい。まずは募金箱の設置だね。一日二日のボランティアの募金活動じゃなくて、継続的に資金を調達する為、大型スーパー〝東友〟とコンビニエンスストアの〝セブントュエルブ〟の全国店舗に募金箱の設置を交渉中だよ。ついさっき〝セブントュエルブ〟からは『是非に』の言葉をメールで貰ったよ。ゆくゆくは許可を取ってそれを資金に株を運営して路上生活者を完全に無くす。あたしのいる日本から路上生活者や空腹者は出さないよ。夜咲、満腹の食事とは平和に直結してると思わないかい?」
ん? 意外と具体的だぞ!?
少し夢物語が入ってる気がするが。
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